今日は風が強かった。風呂に浸かっていても、裏山からの吹き下ろししか聞こえてこない。


 田んぼの畦道はいつもの散歩道だが、この時期は雲雀がやかましい。田起こし前でれんげ畑と化しているそこら中で奴らは鳴いている。


 芭蕉も「永き日を囀りたらぬ雲雀かな」と詠んだが、多少は呆れ果てていたのではないか。


 鴨の親子がたまに小川を泳いでいるが、彼らはカメラを構えただけで飛び立ってしまう。


 対して、雲雀はれんげ草に隠れて姿も見せない。なのに鳴き声は増幅していくばかり。小憎らしいほどだ。


 風が強い今日もそれは変わらなかった。


 が、ふと上空を見上げると、向かい風の中、一羽が懸命にホバリングをしている。必死にその場に留まろうとする姿にしばし見入った。


 小さな体が発する生命力に圧倒された。やかましいと二度と言うまい。