次の日の午後。
 約束通りに、桜井翔が、やって来た。
 「すいません、約束通り、来ました。誰か、いませんか。」
 誰も返事がない。
 その時、後ろから、声が聞こえた。
 「はい。」
 「え、あ…。」
 「あ、ごめんね、驚かせちゃったね。」
 と、声をかけた女性が言った。
 「いいえ、大丈夫です。」
 「そう、それならいいんだけどね。」
 「あの〜。」
 と、桜井が言った。
 「あ、そうだよね、私は、ここのオーナーであり、大野智の姉の美樹です。」
 「お姉さんでしたか。ぼくは、アルバイトの桜井翔です。」
 「智から、聞いてるわ。」
 と、美樹が言った。
 「そうですか。ところで、大野さんが、いないんですが。」
 「智、いないの。」
 「はい。」
 と、桜井が言った。
 「もしかして、まだか。翔くん、そこで、ちょっと待ってね。呼んで来るから。」
 「はい。」
 「それじゃあ、待っててね。」
 と、言って、奥の部屋へ入って行った。
 数時間たって、奥の部屋から、二人出て来た。
 「桜井くん、ごめんね。」
 「本当に、智は、昔からそうなんだから。」
 「桜井くんの前で、怒らないでくれよ、姉ちゃん。」
 と、智が言った。
 「誰の前でも、私は、怒るよ。」
 「なんか、いいですね、姉弟って。」
 「いいのかな。」
 と、美樹が言った。
 「はい。ぼくは、一人っ子なので。」
 「そうなんだ、翔くん、一人っ子なんだね。」
 「姉ちゃん、なんで、下の名前で呼んでるんだよ。」
 と、智が言った。
 「私はね、自分より年が下の子は、下の名前で呼んでるんだよ。」
 「だから、松潤も、下の名前で呼んで呼んでるのかよ。」
 「そうだよ。」
 と、美樹が言った。
 「あの〜、大野さんも、下の名前で呼んでもいいんです。」
 「そう言ってるよ、智。」
 「本当に、いいの。」
 と、智が、言った。
 「はい、いいです。」
 「それじゃあ、さっそく、下の名前で呼ぶね。翔くん。」
 「はい。大野さん。」
 と、翔が言った。

             
                 続く