私のハチミツのラベルには「立体農業実験俱楽部」の名がある。

1年に1回ほど、訳を聞かれる。

「立体農業」は、コープの創始者である賀川豊彦が貧しい農民を救うために提案した農業生産性を高める手法。地で種をまき、ヤギから乳を搾る。空間の中間では果樹を育て、上ではミツバチを飛ばして蜜をとる。立体的に農業をすれば、狭い空間でも豊かな生産ができるというもの。

私の結論は、「賀川さん、しんどいわ」。

でも、今の社会を憂いている。農業経済学の鈴木宣弘さんも声を上げているが、孫世代のことを考えれば、今声を上げないと、とんでもないことになる。

米を中心に生産者が激減している。第一次産業を軽視した社会は必ず滅びる。「太陽が沈まぬ国」と豪語したスペインの重商主義を見ればわかる。

今や、第二次産業さえ軽視するこの国、半世紀後は絶対に暗くなる。

まずは、第一次産業の生産物価格をあげることを社会が容認すべき。すべてはそこから始まる。

国の基は農業だ、と喝破した賀川の言葉を聞くときが来ている。