おい、サソリ。 お前、なんで毒持ってんだ。
「知らね。 小さいからじゃね?」
蠍は餌を獲った時に、鋏で固定した餌に尾部の針を刺し、毒液を注入し、鋏角で小さくちぎって食べる。
餌にしてるもの以外からも、随分恐れられ、嫌われてるぞ。
「迷惑な話だ。しかしそれを言うならお前らこそだ。」
肉食で、昆虫などを餌にするが、時にはトカゲなどの小動物を襲う。
それほど大食いではなく、絶食に耐えるものが多く、中には一年以上の絶食に耐えるものもある。
そもそも見た目が怖いよな。
「そりゃ、お前らの感覚だろ。俺らは大人しいもんだぜ。」
主に夜行性で昼間は岩の下や土の中、何かの隙間に居る事が多い。
元来活動はあまり活発ではなく、じっとして獲物が通るのを待っていたりする。
クモ類で蛍光現象は、サソリだけが持っている特徴。
お前がデカかったら超こえーよ。
「俺らはお前らが超こえーよ。俺たち以外もみんな言ってるぜ。」
蠍は多くの肉食動物の格好のエサにされている。
なぜ毒を持った生き物がいるのか不思議だ。
「なぜ自分達の都合ばかり優先させようとする生き物がいるのか不思議だ。知恵を持ったからか?」
よくしゃべるサソリだな。
「全く自然の声を聞かない人間だな。 もっと謙虚に生きろよ。 人間。」
オマケ <経済に毒針を刺す官僚というサソリ>>
日本の経済政策のことを考えていたら、有名な寓話を思い出した。
サソリとカメの物語だ。大きな川を渡りたいと考えたサソリは、背中に乗せてくれとカメに頼んだ。
カメは断った。サソリに刺されたら死んでしまうからだ。
「心配するな」とサソリ。
「もし君を刺したら、僕も沈んでしまうんだから」
カメは安心し、サソリを背中に乗せた。しかし向こう岸に近づいたとき、サソリはやっぱりカメの首を刺した。
「こいつめ!」。カメはうめいた。「なぜこんなことを!」
サソリはあっさり答えた。
「仕方がないよ。刺すのが僕の習性なんだから」
過去10年の日本を見ていると、政策立案者はサソリの役を演じるのが習性となっているようだ。
そして国民は、カメの役を演じる運命らしい。1990年のバブル崩壊以後、景気回復の兆しはすべて、経済政策という「毒針」で刺し殺されてしまった。景気を回復させるはずの政策が、逆効果をもたらしている。
寓話の中の2匹の動物を待ち受ける悲惨な運命は、誰の責任なのか。
一見すると、サソリが悪役にみえる。
しかし、サソリは自然の習性に従っているだけだ。
一方、カメはサソリの依頼を断ることもできたし、水に潜ってサソリを振り落とすこともできたはずだ。
私に言わせれば、悪いのは両方だ。もしかしたら、2匹とも最初から向こう岸に渡る気がないのかもしれない。あるいは2匹は何か特別な関係で、抱き合って心中するつもりなのかもしれない。
日本のエリートに国民を刺す習性があるとしたら、日本の国民には刺されて喜ぶ習性がある。両者の習性が変わらないかぎり、景気回復はむずかしい。
ニューズウィーク日本版
2004年11月17日号 ピーター・タスカ