「立命館学園一時金訴訟をすすめる会」公開質問状に対する総長候補者の回答について
* 公開質問状の本文と回答は以下をクリックしてください。
[公開質問状(一次)]
/[川口候補回答]
/[坂根候補回答]
/[飯田候補回答]
/[谷口候補回答]
/[公開再質問状]
/[飯田候補再回答]
/[谷口候補再回答]
/[川口候補再回答]
/[坂根候補再回答]
●民主的なリーダーシップを発揮しうる総長を
この度私たちは、4名の総長候補者に対し、学園民主主義の確立の前提として、一時金カットの不当性、不法性に関する基本的認識と、解決に向けた姿勢を問いました。その目的は言うまでも無く、全学園の代表者であり、常任理事会の議論をリードする責務を担う総長として、一時金訴訟問題の早期かつ全面的解決にむけて、問題の根源を検討し、且つイニシアティブを発揮しうる人物か否かを判断することにあります。
私たちが一時金問題の訴訟を決意した理由は、根拠のない一時金カットの提案が不当であったことに加え、理事会が組合との交渉を一方的に打ち切って一時金カットを強行し、なお且つ京都地方労働委員会のあっせん案をも無視して交渉を拒否し、不当労働行為や不誠実団交など誠実交渉義務に反する行為を続けたことにあります。そのためこの訴訟では、①訴額の支払い、②交渉を拒否して一方的に決定したことの違法性に対する責任の明確化、③民主主義の回復あるいは新たな創造、の三点を要求しています。
ただし私たちは、この一時金問題の訴訟を契機とした08年度の平均6.3%ベアでの理事会と教職員組合との妥結と、それを前提とした法人側の提案を受けて(「一時金訴訟の解決のために」2009.4.29常任理事会)、法人との和解協議(法人は、前掲文書で「訴訟取り下げに関わる協議」、後に「和解協議」と称しています)のテーブルにつき、現在は裁判所での和解協議も行なっています。
しかしながら法人側は、これらの協議においてもなお、不誠実な態度を続けています。その態度は、私たちに一方的な取り下げを求めるだけであり、学内では和解協議を行なうと言いながら先送りする時間の引き延ばし、二転三転する発言、裁判所には「学内のことは学内で解決する」と表明しながらその後一切の学内協議を開催せず、さらには、訴額を念頭に学生・教職員の教育研究・福利厚生の「基金」に拠出するという案を“和解案”として提示するなど、訴訟をおこしてまで私たちが要求している問題について、真摯に検討して解決しようとする意志が無いと判断せざるを得ないものでした。
残念ながら理事会のこの態度には、新キャンパス問題も含めて、「一時金に関する訴訟の解決を含め信頼回復に向けた取り組みを進めていく」(「一時金訴訟の解決のために」2009.4.29常任理事会)と記した姿勢自体を疑わざるをえません。
したがって、今回私たちが総長候補者に行なった問いかけは、「一時金訴訟の解決のために」(2009.4.29常任理事会)以後の、すなわち現時点での見解を確認し、そのうえで民主的なリーダーシップを発揮しうる総長候補者たりえるか否かを検討するためでもありました。
●候補者の基本的認識 イニシアティブを発揮するのは誰か
<候補者への質問事項>
1.一時金1ヶ月分引き下げの決定を理事会が一方的に行なったことについての見解
2.理事会が、教職員組合との団体交渉を一方的に打ち切り、交渉を拒否し、一時金カットを継続したことについての見解
3.これらの不当、不法な措置を許容する不正常な学園運営のあり方についての見解
■上記3点の質問に対して、飯田候補と谷口候補は一括して、「候補者個人の見解を述べるより、常任理事会として対処する」(飯田)、「お互いの妥協点を探る努力は必要」(谷口)、という、総長候補者として見解を述べること自体を避けた、無責任極まりない回答でした。
この姿勢は、総長の責務をそもそも認識しているのかすら疑わしいものであり、リーダーシップとは対極的な位置にあると言ってもよいでしょう。
以下では、各質問に対して回答を寄せた現総長の川口候補と坂根候補の回答の要点を整理します。
1.一時金1ヶ月分引き下げの決定を理事会が一方的に行なったことについての見解
■川口候補は、「常任理事会での議論や決定にもとづいて、誠意を持って全力で解決に取り組む」としたうえで、常任理事会の基本方針(「一時金訴訟の解決のために」2009.4.29常任理事会)を提示するにとどまっています。前述したように、この文書に記されている解決に向けた努力の存在を疑うほどの不信感に基づいて、現時点での見解を尋ねた私たちにとって、現総長でもある川口候補が一年半前に遡った公式見解しか示さなかったことは、非常に残念であり、かつ本訴訟問題の解決に至る道は甚だ遠い、といわざるを得ません。
■それに対して坂根候補は、「一時金引き下げが妥当なものであったかどうか」について、検証すべき2点として、
①一時金1ヶ月分引き下げの理由が不明確であった点、
②教職員組合との話し合いが不十分な状況で決定した点、
を明解に指摘したうえで、これらの問題が訴訟を招来し、現在の厳しい労使関係の根本に存在している、と的確な現状分析を含めた見解を記しています。
2.理事会が、教職員組合との団体交渉を一方的に打ち切り、交渉を拒否し、一時金カットを継続したことについての見解
■川口候補は、「すでに和解協議の場において、常任理事会として和解案を示している」とし、「学園構成員の参加・参画のもと、学園創造を進める先頭に立ちたい」と述べました。
しかしながら、ここで言われている和解案とは前述の内容であり、なおかつ、裁判所の和解協議に提出された和解案には「常任理事会として、最終的な提案として議決した内容ではない」ことが付言されています。また、川口候補は、私たちが質した交渉拒否、組合に対する干渉、不誠実団交等の行為の不当性、不法性については何の見解も示していません。私たちには、この点の反省も述べずに「和解案」を示すことができると考えていること自体、理解しがたい回答です。
■一方、坂根候補は、第一の回答に重ねて「理事会と教職員組合との交渉については不十分であり, そのことが労使関係を悪化させ, 学園内の信頼関係を損ねた」と明確に本質的問題を指摘したうえで、「学園創造を建設的に進めるために, 組合とも誠実で真摯な交渉を行うなど, 一刻も早く学園内の信頼関係を回復する必要がある」と、今後の交渉にむけた積極的な見解も示しています。
3.これらの不当、不法な措置を許容する不正常な学園運営のあり方についての見解
■現総長の川口候補は、「学園運営のあり方検討委員会とその具体化委員会を組織」し、「分権化や会議・機関・役職の役割と責任の明確化などについて検討を継続」し、「学園運営のあり方についてもその改善・改革を進め」るなど、現行路線の提示にとどまっています。
新キャンパス問題でまさに学園が揺れ、正常な学園運営のあり方と信頼関係の回復が喫緊の課題でもある最中に、現総長である川口候補が提示したこの見解を読み、現状改善を期待することは難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。
■坂根候補は、「学園構成員の意見を尊重することと教学優先が実体的に機能しなくてはいけない」という視点から、「客観的検証に基づいた学園運営の改善方法を学園構成員の諸パートと真摯に議論する」と述べ、検証と改善そして議論、という解決・改善へむけたビジョンを提示しています。
●人心一新へ
「立命館学園一時金訴訟をすすめる会」の私たちは、皆さんとともに、学園民主主義の再確立を目指し、一時金訴訟問題の早期かつ全面的な解決にむけて努力する決意です。そのためにも、今の学園に必要な、民主的リーダーシップを発揮しうる総長候補を選ぶことを呼びかけます。