博、健 (高等部)
「藤木ー?どうしたー?」
机に突っ伏す様にして眠るキミ
体調が悪いのだろうか
「大丈夫かー?ん、医務室な?三木頼めるか?」
付き添いは、保健委員に任せることが多いけど
今のキミの状態では、辛くなりそうで
ルームメイトの彼と、医務室に行く方が少しは楽だろうか
「博?カバン開けるよー?ん、お薬取るね。」
他のクラスメイトに聞こえぬよう、彼にとって刺激にならぬよう小さな声で優しく声を掛け、支える様に教室を出ると
「健、ごめん。」
「ん、ゆっくり歩けそう?それとも、おんぶしようか?」
教室を出た所で、声を掛ける
「っ、力入らない。」
小さく呟く様に吐き出される弱音
ふらつく彼を背負い、医務室に向かう
「ん?博。」
「っ、つ。」
真っ青な顔のキミは、クラスメイトに背負われて医務室に現れた
「奥のベッドにお願い。」
「はぃ。博ー?横になるってよー?」
「っ、健。」
「痛いのはどこかな?胸?頭?」
「っ、隆さ。」
苦しそうに呼吸を繰り返すキミに酸素マスクを当て
「っ、つ。はぁっ、ぁ。」
「胸だね…ん。潤くんに貰ったお薬、頑張れるかな?」
「っ、っ。」
小さく頷き、目を閉じて耐えるキミ
「健?少し手を繋いでてあげて?博、3つ数えるよ、頑張ろうね。」
左手の袖を捲り、消毒をすれば
体が強張る
「ごめんな、ゆっくり、ゆーくり深呼吸しようね。力が入ってると、痛むでしょう?」
注射器を準備しているのに、中々処置が進まない
「っ、っ。はぁ、ぁっ。」
「博?我慢しなくていいよー。隆センセ、泣いても怒らないよー?」
「ん。怒ったりしないよ。我慢しなくて良いよー?ひろー。お薬、潤くんが博の為に用意してくれてるよ。だからね、大丈夫。」
「っ、ん。ひっ、ふぇ。」
乱れた呼吸で、必死に深呼吸を繰り返すキミの背中を摩る
少しでも、痛みが少なくなる様に祈る
「大丈夫だよ、すぐ終わるよー?」
一瞬、力が抜けたタイミングで、進められた処置
「っ、ぁっ。」
「よく頑張ったね、ん。少し休んでようね?潤さん、呼ぼうね。」
「ん。」
泣けたことに安心しつつ、ギュッと抱きつき離れないキミが愛おしい
中々弱音も吐けずにいるから
「健、しばらく付いててあげて?」
「ん。」
きっと隆センセが、担任には上手く伝えてくれるだろうし
今年の担任は、まだ代わってから日は経ってないものの、博のことを理解しようとしてるみたいで
それは、他のクラスメイトに対する姿勢でも誠実さが分かる
生徒一人一人の得意不得意をキチンと見てくれて、結果よりも努力を見てくれる様な先生だから
叱られることも、声を荒げる姿もなく
若いけど、信頼のおける人だと思う
「あ、健さん?」
息を切らしてやって来たのは
キミの主治医で保護者となった彼で
「潤さん。お久しぶりです。」
優しい瞳で、ベッドに眠るキミを見つめていた
「少し頑張り過ぎたみたいですね。ひーろ?」
「っ、っぅ、ぁっ、ふ。」
「ん?どーして泣くのよ?ん、悲しくなっちゃったの?」
「ぁ、潤く。っ。」
「一緒に帰ろうね?郷さんも待っててくれてるよ。」
「ん。帰るにする。」
「健、ありがとね。もう一つ頼める?」
「ん?」
「博の荷物、教室から取ってきてくれる?あ、それから。健も一緒に帰るか?」
「っ、え?」