月に一度は通っている診察室
小児科を卒業する年が近づいているけど、今だに主治医の変更の話が出ないのは
キミの主治医が専門とする病と、キミの抱える病が同じこともあるが
キミ自身が人見知りが酷く、甘えることも自分のことを伝えることも苦手だから
だから、これからもキミの主治医は変わらないと思ってた
「はーる?」
診察室には、2人の先生が居て驚いた
優しそうではあるけど、若いその先生に
研修医か何かだと思ってた
しばらく、その道の先輩であるキミの主治医の下で勉強するためにやって来てるのだと
「っ、雅センセ。」
「ん。この人はね、郷さん。春のこと一緒に診たいなぁって。これからは、2人で春のこと元気にしたいんだ。」
「っ、っ。ぁ、健に。」
「ん、はーる?ゆっくりで良いんじゃないかな?雅センセの顔見てごらん?怒ってるかな?」
「っ、んん。」
緊張が強いこと、長年の主治医には伝わるはず
「はーる?雅センセの顔見れるかな?ん、ビックリさせたね。ごめんねー?」
「っ、雅は、一緒?」
「ん、これからも春のこと診ていくよ。約束したもんねー?でもね、少しずつ、春の身体も大人に近づいてるんだ。だからね?春のことを助けてあげるーって人増やしたいんだ。」
「っ、ん。郷センセ?」
「なーに?」
「っ、僕ね。我慢出来ないって。たくさん泣いちゃうんだ。雅センセはね、泣いて良いよって。っ、つぅ。」
「そっかー。泣けてきちゃうのは、春さんが頑張ろうと思ってるんだね。凄いことだと思うよー。僕も、春さんが泣いちゃったら、応援することはあるけど、怒ることはないよー?」
「っ、っ。」
「お話ししてくれてありがとね。今日は、傍に居るだけ、居ても良いかな?」
「っ、ん。」
「はるー?俊さんに来てもらってるから、処置室に行こうか?」
「っ、たけに。待っててね?」
「ん。待ってるよー。」
処置室には、入院中よく担当になる看護師が待っていた
院内で数少ないキミが心を開いている相手
「っ、っ。俊さん…」
「はーる?おいで?ここまで来れたね?ん。」
「健に。一緒に来たの。っ、つ。」
優しく抱き寄せると、本格的に泣き始め
それでも溢れるのは、嗚咽ばかり
声をあげて泣くことは苦手なキミ
「ん、よく頑張ってるよー。ここに来れたら、それだけで十分だね。あとは、僕達も一緒。」
「春のペースで良いよー?ゴロン出来るかなー?」
「っ、まさっ。」
「ん、僕がするよ。泣いていいんだよ。」
「はるー?ぎゅーしようね?ごめんねー?ズボン下げまーす。」
「っ、ぁ、やっ。」
「はーる。ごめんね、少しペンするよー?」
筋肉注射は、痛みが強いから
動かず耐えるのは辛いなら、せめて抱きしめている間に終わらせてあげたい
必死で動かぬ様に耐えてくれるから
「ぁっ。やっ。」
悪さをした時は、厳しく叩いて教えることも入院中にはあったけど
それは、親代わりでもあったから
処置の前にペンする時は、その後の治療の痛みを少しでも鈍感にしたいだけだから
そんなに数も多くないし、叱るとき程厳しく叩くことはないのだけど
このやり方が正しいのかは、今だに解らないけど
それでも、何とか頑張ってくれるキミの手助けに少しでもなることを願う
「ごめんな、春ー。」
「っ、ぃっ。ぁっ、ゃ。」
「頑張れてますよー、ん。もう終わります。」
「っ、つ。」
「よく頑張ったね、健のところに戻ろうね。」
「ん。」