【アポ取りと研究室訪問③】

なんとか最初の受け入れ先を確保し、少し肩の荷がおりました。しかしこれで終わりではありません。次は最も志望度が高かった某大学院の2つの研究室にアポを取りました。今回はそのうちの1つ目を、研究室訪問の話まで含めてお話しします。

今回の研究室は交通問題を数理的観点から扱うという、高度な数学力を求められる研究室でした。
同様の内容で質問をし、返ってきた内容は以下の通りでした。

「試験を通れば誰でも受け入れは可能です。ただし、私の研究室ではプログラミングができることを前提とし、数学に関する能力が一定以上なければ、楽しく研究することはできないでしょう。
入試科目については他専攻なので専門科目の問題は数問免除されますが、私の研究室に入るならこの簡単な試験を通るのは当然で、基本的な数学力は必要です。
よって、大学院入学までに一定レベルのプログラミングの素養をつけておくことをお勧めします」

今から思えばかなり釘を刺されていますね。しかし、当時はなんとか入れる研究室を探したいという気持ちが強かったので、これでも「イケる」と思っていました。

その後先生と日程調整をして、5月の下旬に研究室訪問をすることになりました。
そして迎えた当日…

秘書の方に挨拶をし、研究室の先生の部屋に招かれ面談が始まりました。しかし、開口一番に言われたセリフはこれでした。

「何を聞きに来たのか知らないけど……」

言い方からして感触は良くありませんでした。恐らく、先生側からしてみればメールで事足りる用事だったのでは、思っていたのかもしれません。
私は少し怯みながら、改めて研究している内容や入試のことについて尋ねました。
しかし、先生は私のこの話にはほとんど乗らず、ひたすら私に説教(?)をしてきました。
「君はプログラミングの経験がないと言ったが、私がメールしてから自分でプログラムを組んだりしたか?」
「いえ。今は受験勉強中でして、まだ取り組めていないです。合格後に取り組もうと思っています」
「普通はねぇ、あぁやってメールを送られてきたら、すぐにでもやってみるもんだよ。それにメールでも言ったけど、入試なんて片手間で受からなきゃうちではやっていけない」
そして目の前にあった線形代数の本を2冊ほど突き出されて
「この文献とこの文献を勧めるから、これを読んで7割くらいはすぐに理解できないといけないよ。大学の授業でやる数学なんて問題を解くためのものでしかない。本質をしっかり理解しなきゃ意味がないよ。この本は本質を突いているから是非読んでみて、それで自分の数学力を確かめてみなさい」
私は相槌こそ打っていましたが、内心絶句でした。
その本は英語の文献で、入門からかなり高度な線形代数まで網羅されていました。
これを軽く7割と言われると、自信は全くありませんでした。
挙げ句の果てにはメールの文面にまで注意を受けました。
「それからねぇ、君のメールは日本語がおかしい。敬語の程度がバラバラなんだ」
そして私の送ったメールを添削し始めました。
「しっかり敬語の程度を揃えないと、そもそも人として困ることになるよ。そういうところもしっかり勉強しなさい」

コテンパンにやられました。
なるほど話はためになるものばかりでしたが、己の至らなさへの落胆と、何もそこまで言わなくてもというやり場のない苛立ちを覚えました。
この間行ったところの方が先生も親身だったし良いのかもしれない、と感じました。
ここまで来たのに交通費勿体無いなぁ…なんて思いながら退室しましたが、落ち込んでいる暇はありませんでした。
なぜなら、この研究室のすぐ隣の研究室への訪問も、直後に控えていたからです。