最近は高倉健さんの映画を見まくっています。
という訳で、初めて「幸福の黄色いハンカチ」を見てみました。1977年公開、あの“寅さん”の山田洋次監督作品です。
見た事はなくとも結末は分かりきっていますし、泣かせにかかる映画だろうとタカをくくって見たのですが、見事に感動してしまい駄目でした(涙)。
武田鉄矢さん演じる欽也の下心、高倉健さん演じる勇作の純情。そして桃井かおりさん演じる朱美の不器用だけれども暖かい心。
そして健さん演じる勇作に感化されて、欽也も最後には純情に生まれ変わります。これぞ博多っ子純情。
現実の辛さや汚さをリアルに描いた映画も素晴らしいですが、この世の美しさをすくい取り、見せてくれる映画もまた素晴らしい。映画の美しさ、それは虚構かも知れませんが、そこを目指して生きていかなければどうする。そんな気持ちにさせられました。
ひたすら笑いを取る武田鉄矢さん(しつこいくらい笑わせにかかるのですが、それはあたかもとんこつスープの如く濃厚でコクがありクセになります)、あくまでもシリアスな物語で魅せる健さん。そしてその二人を仲介する役割でありながらも、それでは終わらない桃井かおりさんの魅力と存在感。
その組み合わせも本当に素晴らしかったです。これはもう、映画の神様が降りて来たとしか思えませんでした。
あと武田鉄矢さんのアドリブなのか、健さんや桃井かおりさんが本気で笑っている様なシーンもありました。それは何気ない瞬間かも知れませんが、それが永遠のものになる。これこそ映画の魔法だと思います。
そして高倉健さんの映画は、健さんが主演した過去の作品の役柄との繋がりが感じられるのも凄いです。例えばこの「幸福の黄色いハンカチ」なら、網走番外地シリーズ、「夜叉」なら日本侠客伝や昭和残俠伝。監督の健さんに対する敬意と、観客が求める健さん像が合致した結果だと思います。こんな俳優は、後にも先にも高倉健さんしかいないのではと思います。
で、この映画、北海道を回るロードムービーでもあるのですが、私もいつかは映画の舞台である夕張市に行きたいなと思いました。健さん、武田鉄矢さん、桃井かおりさんが劇中で乗ったMAZDAの赤いファミリアの実物もあるそうです。
幸福の黄色いハンカチ 想い出広場
未見の方は是非!人の温かさを知る事ができる、名作中の名作です。
そして私も欽也の女性に対する熱情を見習ってみたいと思いつつも、健さん演じる勇作の寡黙な漢気の中にも生きてみたい…、なんて思ったのでありました。