2016年9月22日(木・祝)Seiko Matsuda Concert Tour 2016 | BIGな気分で語らせろ!

BIGな気分で語らせろ!

気分だけでもBIGに。
ビートたけしさん、北野武監督、たけし軍団、その他諸々について気が向いた時に。

松田聖子さんの2016年のコンサートツアー、「Shining Star」の追加公演でありファイナルでもある横浜アリーナ公演へ行って参りました。


当日は朝から雨でした。しかし聖子さん効果(⁉︎)で、開場時刻が迫る頃にはワイパーもすねる程の雨も止んでおりました。
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そして会場には既に沢山のファンがおり、グッズの先行販売に並んでいました。
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私は聖子さんのコンサートには、2015年と2016年の武道館に続き3度目の参加でしたが、会場周辺の雰囲気も華やかで毎度ワクワクするものです。
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さて、コンサートの内容はと言いますと、まずは客電が落ち「薔薇のように咲いて 桜のように散って」のPVが上映されました。ここで聴いて改めて感じましたが、この曲は本当に素晴らしいです。俳句や墨絵の如く、極限まで研ぎ澄まされたメロディ。最小限の音数で、今の聖子さんの歌声の良さを最大限に引き出していると思います。歌の邪魔をせずに聴かせる、ドラマティックなドラムにも痺れました。掛け値なしの名曲です。
またコンサートに先駆けてPVが上映された事からは、聖子さんとスタッフの方々のこの曲に賭ける意気込みが伝わってきました。

そして一旦客電が点き、湧き起こった聖子コールの中再び客電が落ちて、遂にコンサート本編がスタート。

1〜6曲目は「Shining Star」からの曲。
聖子さんの登場の瞬間は毎回「こんなに美しい人がこの世にいたものなのか…」と、思わず息を飲んでしまいます。そして聖子さんのコンサートは、非現実的な世界を旅させてくれるものだという事を象徴する夢みたいな瞬間でもあります。この時私の席の近くの女性が悲鳴にも近い感嘆の声を上げていましたが、その気持ちは私も痛い程分かります。

ここのパートでは聖子さんはダンサーを従えヘッドセットマイクで歌うのですが、豪華なステージセットと相まって、まるでおとぎの国へ迷い込んでしまったかの様な錯覚に陥ります。曲を知った上で見るに越した事はありませんが、曲を知らなくても十分楽しめるのではないでしょうか。

続いて演奏された曲は「あなたに逢いたくて ~Missing You~」。後世に残すべき名曲である事は間違いありませんが、2014年の紅白歌合戦の大トリで歌われたという“箔”が付いた事で、曲に更なる深みと重みがもたらされました。この曲が演奏されると、会場の雰囲気は荘厳なものへと変わります。
また賛否両論のある独特の崩しが入る歌唱ですが、今の聖子さんにしか出せない味があるので私は好きです。同じ曲を20年も歌っていれば録音時と感性が変わるのは当然でありますし、今の聖子さんの感性で聴かせてくれるのが一番だと私は思います。

そして続いてはアコースティックコーナー。ここからは80年代、それも初期の名曲のオンパレードです。
ここで嬉しかったのは客席からの「ひまわり!」というリクエストに一瞬とぼける素振りを見せながらも「ファイナルですしね」という事で、「ひまわりの丘」をワンコーラスだけ演奏してくれた事です。他の会場では演奏曲目に入っていたみたいですが、武道館では演奏されなかったので今回も演奏されないものだと思っていました。まさか聴けるとは思わなかったので、リクエストしてくれたファンの方と、それに応えてくれた聖子さんの心意気に感謝です。
もう1つ印象的だったのが「赤い靴のバレリーナ」が始まった瞬間、私の席の近くの女性が「わぁーっ!」と言って一緒に歌っていた事です。その方はそんなにコアなファンではなさそうでしたが、そういう人でもシングル曲ではないこの曲を歌える所に、80年代に於ける松田聖子という存在の大きさを垣間見たのでした。

「赤いスイートピー」では「大きな声で一緒に歌ってくださいね」と聖子さんからのお願い(⁉︎)もあり、ステージと観客が一体になった暖かい空気に包まれます。これはみんなで歌番組を見ている様な気分になれる、本当に楽しい時間です。
80年代はこうしてみんなテレビの前で歌っていたんだなぁ…と思うと、何だかこみ上げてくるものがあります。

そして松本隆さんが作詞した80年代初期の楽曲はどれも言葉の響きが柔らかく、会場の空気まで優しくしてしまうかの様です。聖子さんのコンサートでは、そんな魔法の様な瞬間が何度も訪れます。

聖子さんはどうしても時代を象徴するアイコンやアイドルの理想像として語られがちで、歌唱面の評価は全く追い付いていない感があります。
そして聖子さんの日本語の発音の美しさに関しても、中々語られないのが現状だと思います。松田聖子という歌手が、如何に日本語という言語を“音”として美しく聴かせる術に秀でているのか。その事に一人でも多くの人が気付いてくれたら良いなと、私は思っております。
はっぴいえんど時代、日本語を立体的に聴かせる事を追求したという松本隆さんと聖子さんが出会い、数多くの名曲・名演を生み出してくれた事は日本の財産だと思います。これは決して大袈裟ではなく、私は本気でそう思います。

そして続いて演奏されたのは、「永遠のもっと果てまで」。21世紀に蘇った、黄金のタッグチームによる新たなる名曲。“夕日を絞ったジンジャーエール”という歌詞が「セイシェルの夕陽」と重なります。今回のツアーだけでなく、この曲を歌い続けて欲しいなと切に願っております。

ダンサーのダンスコーナー(及び聖子さんの衣装替えタイム)に続くのは「時間の国のアリス」。ここからステージセットは、エレクトリカルパレード状態になります。このコンサートの翌日に放送されたユーミンのオールナイトニッポンで、ユーミンが「Fairy Girlという歌詞は元々Disney Girlという歌詞だったけど、ストップがかかってしまった」と語っていました。そう考えると、このセットとこの曲の組み合わせは非常に腑に落ちます。まさに夢の国です。

そして続くのは「青い珊瑚礁」から始まるヒットメドレー。私は赤ん坊の頃に当時ヒットしていた「青い珊瑚礁」を聴かせられると何故かすぐに寝たらしく、この曲を子守唄代わりにされていたそうです。そんな曲を今だに聖子さんの生歌で聴けるなんて、本当に素晴らしいと思います。

このヒットメドレーのラストは「夏の扉」。もうこれはアントニオ猪木に例えると延髄斬りかジャーマンスープレックスか、はたまた卍固めかという威力で、会場の熱気が最高潮に達しない訳がありません。季節は秋でも、夏の扉が開いてしまいます。

ここで本編終了。アンコールへ。

アンコール一曲目は「天使のウインク」。尾崎亜美さん作詞・作曲のこの曲。聖子さんが最初に所属した事務所・サンミュージックの後輩でもある、岡田有希子さんもコンサートでカバーした事があります。この夜、有希子さんも何処かで一緒に聴いていたでしょうか。

そしてコンサートはいつもの大円団への流れと突入。この日の2日前に放送された、聖子さんがパーソナリティを務めた「オールナイトニッポン MUSIC10」で新曲を歌う旨を話していたので「あれ⁉︎結局歌わないのか…」という感じでしたが、これは次のお楽しみにしておきましょうと思い直しました。

しかし…。
もう一曲歌ってコンサートが終わるといういつもの流れだと思いきや、その一曲を歌わずに聖子さんはあっさりとステージから去っていったのです。

いつもと段取りが違う事に、ざわつく観客。
まさかのダブルアンコール…。
となると…。

アンコールを求める声と拍手の中から聴こえたのは、そうです。
「薔薇のように咲いて 桜のように散って」の美しいピアノのイントロです。
総立ちの客席。しかし誰もが新曲を歌う聖子さんの姿に見入り、聖子さんの歌を一瞬でも聴き逃すまいと集中して聴き入りました。そしてその瞬間の空気には、もはや神々しさすら漂っていました。
この曲での聖子さんの歌声は、これ以上ないというくらい美しく、胸を打たれずにはいられない名演中の名演でした。この日にこの歌を聴く事が出来た事は、一生忘れないでしょう。

そして歌い終わった後の聖子さんは、肩で息をしている様に見えました。まさに全身全霊を賭けた歌唱でした。

「薔薇のように咲いて 桜のように散って」のピアノインストが流れる中、聖子さんが客席へ挨拶、再び最後のサビを歌いこの日のコンサートは終了しました。

暖かい拍手に包まれる会場。
観客の心の震えがポジティブなエネルギーとなり、アリーナに満ち溢れていました。

第一線で走り続ける事は、想像を絶する努力と苦労が伴う事だと思います。しかしその苦しみの欠片さえ見せず、時を超えて笑顔で歌い続け多くの人の青春に寄り添い、人生を彩り、生きる力と勇気を与え続けてきた聖子さん。
この拍手はその松田聖子という存在に対する、賛辞と感謝の念が込められたものだと思います。

これからもずっと応援して行きます。
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外に出ると小雨が降っていました。

“エンジン止めたら不意に
雨の音が心を打つの”

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聖子さんのコンサートに行くかどうか迷っている方は、是非一度だけでも行って頂きたいなと思います。時代を作ってきた楽曲をご本人の生歌で聴けるという体験は、きっとかけがえのないものになる筈です☆