※ この記事は初学者用に聖書を編集し 注を付したものです。

 

 

ここに、レビ族のコラとルベン族のダタン・アビラム・オンが手を組み、イスラエルの指導者250人と共に立ち上がってモーセに逆らった。

 

彼らはモーセとアロンに言った。

「あなた方は分を越えている。全会衆は全員 聖なる者であって、主(しゅ)がそのうちにおられるのに、どうして全会衆の上に立つのか。」

 

モーセはこれを聞いてひれ伏した。

 

やがてモーセはコラとそのすべての仲間に言った。

「主は、聖なる者が誰であるかを示して、その人を御もとに近づけれらるだろう。

 

明日 お香を持って主の御前に出なさい。そのとき主が選ばれる人が聖なる者だ。レビの子たちよ。あなた方こそ分を越えている。」

 

モーセはコラに言った。

「イスラエルの神は、あなた方を会衆の中から選ばれ、主に近づけて幕屋の務めをさせ、会衆の前に立って仕えさせられる。これはあなた方にとって小さなことだろうか。

 

神は、あなたとレビの子たちをみな御自身に近づけられた。そのうえ祭司となることを求めるのか。あなた方は皆そのために集まって主に逆らっている。アロンを何と思って彼に不平を言うのか。」

 

モーセは人をやってダタンとアビラムを呼ばせたが、彼らはこう言った。

「我々は行かない。あなたは荒野で私たちを殺そうとしている。

 

あなたは私たちの上に君臨しようとし、かつ私たちを乳と蜜の流れる土地に導いて行かず、畑とブドウ畑を嗣業(しぎょう)として与えもしない。

 

我々の目をくらまそうとするのか。」

 

モーセは大いに怒って主に言った。

「彼らのささげ物を顧みないでください。私は、彼らから1頭のロバも取ったことはなく、彼らの誰も苦しめたことはありません。」

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注:幕屋の仕事ができるのはレビ人だけであり、祭司になれるのはアロンの家系の者だけである(民数記3章6~10節参照)。

 

嗣業とは、(神によって与えられる)受け継ぐべき財産のことである。土地や物に限らない。

 

次の日 彼らはモーセとアロンと共に幕屋の入り口に立った。

 

コラは会衆をモーセとアロンに逆らわせようとした。

 

そのとき主の栄光が全会衆に現れた。

 

主はモーセとアロンに言われた。

「この会衆を離れなさい。直ちに彼らを滅ぼす。」

 

モーセとアロンはひれ伏して言った。

「神よ。すべての肉なる者の命の神よ。

1人の人が罪を犯したからといって、全会衆に怒られるのですか。」

 

主はモーセに言われた。

「コラ・ダタン・アビラムの住まいの周りから離れるよう会衆に告げなさい。」

 

そこで モーセはダタンとアビラムの所に行った。イスラエルの長老たちも付いて行った。

 

モーセは会衆に言った。

「神に逆らうこの者たちの天幕から離れなさい。さもないとあなた方も滅ぼされてしまう。」

 

人々はモーセの言うとおりにした。

 

モーセは言った。

主が私を遣わしてこれら全てのことをさせられたのだ。私が自分で勝手にしたのではない。それは次のことでわかるだろう。

 

すなわち、この者たちが普通の死に方で死に、普通の運命に会うのであれば、主が私を遣わされたのではない。

 

しかし、主が新しいことをされて、大地が口を開き、この者たちとそれに属する者たちとをことごとく飲み尽くし、彼らが生きながら陰府(よみ)に下るならば、この者たちが主を侮ったことをあなた方は知るだろう。」

 

モーセが語り終えたとき、彼らの足元の地面が裂けた。

 

彼らと彼らに属する者はみな生きながら陰府に下り、地がその上をふさいだ。

 

こうして彼らは断ち滅ぼされた。

 

周りにいたイスラエルの人々は彼らの叫びを聞いて逃げた。

 

また主の元から火が出て、お香を供えた250人を焼き尽くした。

 

その翌日 イスラエルの会衆はみなモーセとアロンに不平を言った。

「あなた方は主の民を殺してしまった。」

 

そのとき遠くにある幕屋を見ると、雲がそれを覆い、主の栄光が現れていた。

 

モーセとアロンが幕屋の前に行くと、主はモーセに言われた。

「この会衆を離れなさい。直ちに彼らを滅ぼす。」

 

モーセはアロンに言った。

「彼らのために罪の償いをしなさい。主が怒りを発せられ、疫病が既に始まっている。」

 

アロンは香を焚いて罪の償いをした。

 

そして疫病で死んだ者と生きている者との間に立つと、疫病は治まった。

 

この疫病によって死んだ者は、1万4700人であった。

 

注:次の聖句を参照。

『 彼らはこうして、警告のしるしとなった。だたし、コラの子たちは死ななかった。』(民数記26章10~11節 新共同訳)

 

主はモーセに言われた。

「父祖の家の指導者たちから12本の杖を取り、それに名を書き記しなさい。レビの杖にはアロンの名を書き記しなさい。

 

そしてこれらの杖を契約の箱の前に置きなさい。私の選んだ者の杖には芽が出るだろう。

 

こうしてイスラエルの人々があなたたちに向かって不平を言うのをやめさせよう。」

 

その翌日 モーセが幕屋に入ってみると、アロンの杖は芽を吹き、つぼみを出し、花が咲いて、アーモンドの実を結んでいた。

 

主はモーセに言われた。

「アロンの杖を契約の箱の前に保管して、背く者たちに対する警告の徴(しるし)としなさい。

 

こうして私に対する不平をやめさせ、彼らが死なないようにしなさい。」

 

主はアロンに言われた。

「イスラエルの人々が私にささげる物の10分の1をあなたに与える。

 

これがあなたの嗣業(しぎょう)であり、幕屋の働きに対する報酬だ。それゆえあなたは嗣業の土地を持ってはならない。

 

イスラエルの人々はもはや幕屋に近づいてはならない。罪を得て死なないようにするためだ。」

 

正月になって、イスラエルの全会衆はチンの荒野に入った。

 

民はガデシュに留まったが、ミリアムがそこで死んだので彼女を葬った。

 

そのころ会衆は水を得られなかったため、集まってモーセとアロンに迫った。

 

民はモーセと争って言った。

「兄弟たちが主の前で死んだときに我々も死んでいたらよかったものを。

 

なぜ会衆をこの荒野に導いて我々と家畜をここで死なせようとするのか。

 

ここには種をまく所もない。イチジクもブドウもザクロも飲み水もない。」

 

そこでモーセとアロンは会衆の前を去り、幕屋の入り口へ行ってひれ伏した。

 

すると主の栄光が彼らに現れた。

 

主はモーセに言われた。

「杖を取り、会衆の目の前で岩に向かって水を出せと命じなさい。こうして会衆と家畜に水を飲ませなさい。」

 

そこでモーセとアロンは会衆を岩の前に集めて彼らに言った。

「背く者たちよ、聞きなさい。この岩からあなた方のために水を出さねばならないのか。」

 

モーセが手を上げて杖で岩を2度打つと、沢山の水が湧き出た。

 

そのとき主はモーセとアロンに言われた。

「あなたたちは、私を信じないで、イスラエルの人々の前に私の聖なることを示さなかった。

 

それゆえモーセとアロンは私の与える土地にこの会衆を導き入れることはできない。」

 

これがメリバ(争い)の水であって、イスラエルの人々は主と争ったが、主は御自分の聖なることを彼らに示された。

 

注:以下の聖句を参照。

『 彼らはまたメリバの水のほとりで主を怒らせたので、モーセは彼らのために災いにあった。これは彼らが神の霊にそむいたとき、彼がそのくちびるで軽率なことを言ったからである。』(詩編106編32~33節 口語訳)

 

『 皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。』

(コリントⅠ10章4~5節 新共同訳)

 

モーセは、ガデシュからエドムの王に使者を遣わして言った。

「あなたの兄弟イスラエルはこう申します。

 

私たちが遭遇したすべての艱難(かんなん)を、あなたは御存じです。

 

私たちは今あなたの領地の端にあるガデシュの町におります。

 

どうかあなたの国を通らせてください。畑もブドウ畑も通りません。井戸の水も飲みません。

 

ただ王の道路を通ります。領地を過ぎるまでは右にも左にも曲がりません。」

 

エドム人はモーセに言った。

「我々の領地を通ってはならない。さもないと剣でお前たちを迎え撃つ。」

 

イスラエルの人々はエドム人に言った。

「私たちは王の道路を通ります。もしあなた方の水を飲むことがあれば、その代価を払います。徒歩で通るだけですから何事もないでしょう。」

 

しかしエドム人は多くの民と強い軍勢を率いて立ち向かって来た。

 

そのためイスラエルの人々はエドムからほかに向かうことになった。

 

こうしてイスラエルの全会衆はガデシュを出発した。

 

そしてエドムの国境に近いホル山に着いた。

 

主はモーセとアロンに言われた。

「アロンはここで死ぬ。彼は私が与える土地に入ることはできない。

 

これは、メリバの水のことで、あなたたちが私の言葉に背いたからだ。

 

アロンとその子エルアザルを連れてホル山に登り、アロンの衣服を脱がせてエルアザルに着せなさい。アロンはそこで死に、先祖の列に加えられる。」

 

彼らは全会衆の見守る中をホル山に登って行った。

 

アロンはその山の上で死んだ。

 

イスラエルの全家は30日間 アロンを悼んで泣いた。

 

注:次の聖句を参照。

『 祭司アロンは、主の命令によってホル山に登り、そこで死んだ。イスラエルの人々がエジプトの国を出て第四十年の第五の月の一日であった。ホル山で死んだとき、アロンは百二十三歳であった。』(民数記33章38~39節 新共同訳)

 

ホル山を出発し、葦の海の道を通ってエドムを迂回しようとしたが、民はその道に耐えられなくなった。

 

民は神とモーセに不平を言った。

「なぜ私たちをエジプトから導き上がって荒野で死なせようとするのか。

ここには食べ物もなく水もない。こんな粗悪な食べ物は嫌になった。」

 

そこで主は火の蛇を民のうちに送られた。蛇は民を噛んだので、多くの者が死んだ。

 

民はモーセに言った。

「私たちは主とあなたに不平を言って罪を犯しました。私たちから蛇が取り去られるように主に祈ってください。」

 

そこでモーセは民のために祈った。

 

主はモーセに言われた。

「火の蛇を造ってそれを竿の上に掛けなさい。噛まれた者がそれを見上げれば生きるだろう。」

 

モーセは青銅で1つの蛇を造り、それを竿の上に掛けておいた。

 

蛇に噛まれた者は全員、その青銅の蛇を見上げると、生きた。

 

 

注:以下の聖句を参照。

『 彼は、父祖ダビデが行なったように、主の目にかなう正しいことをことごとく行い、… モーセの造った青銅の蛇を打ち砕いた。イスラエルの人々は、このころまでこれをネフシュタンと呼んで、これに香をたいていたからである。』

(列王記下18章3~4節 新共同訳)

 

『 彼らの中のある者がしたように、キリストを試みないようにしよう。試みた者は、蛇にかまれて滅びました。彼らの中には不平を言う者がいたが、あなたがたはそのように不平を言ってはいけない。不平を言った者は、滅ぼす者に滅ぼされました。これらのことは前例として彼らに起こったのです。それが書き伝えられているのは、時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。』(コリントⅠ10章9~12節 新共同訳)

 

イスラエルの人々は、ホル山を出発して道を進み、オボトに宿営した。

 

オボトを出発すると、モアブの東側の荒野にある「イエ・アバリム」に宿営した。

 

そこから進んでゼレドの谷に宿営し、更に進んでアルノン川の向こう岸に宿営した。アルノン川は、モアブとアモリ人との国の間を流れる川で、モアブの国境を成していた。

 

彼らは進んでモアブの平原にある谷に行き、荒野を見下ろす「ピスガの頂」に着いた。

 

イスラエルは、アモリ人の王シホンに使者を遣わして、王の道路を通らせてほしいと頼んだ。しかし、シホンはそれを許さなかった。

 

シホンは全軍を招集し、ヤハツでイスラエルと戦った。

 

イスラエルは彼らを撃ち破り、南はアルノン川から、北はヤボク川まで彼らの領地を占領し、東はアンモン人の国境まで及んだ。

 

こうしてイスラエルは占領した土地にある町をすべて取り、アモリ人のすべての町に住み、へシュボンとその周辺のすべての村に住んだ。

 

へシュボンはアモリ人の王シホンの都である。シホンは、モアブの以前の王と戦って、アルノン川に至るまでの全土を奪い取っていたのである。

 

こうしてイスラエルはアモリ人の土地に住んだが、モーセは人を遣わしてヤゼルを探らせ、ついにその村々を占領し、そこに住んでいたアモリ人を追い出した。

 

それから転じて、イスラエルはバシャンの道を上って行った。

 

ところが、バシャンの王オグが全軍を率いてエドレイで戦おうと出迎えた。

 

主はモーセに言われた。

「恐れてはならない。私は彼らとその地をすべてあなたの手に渡す。」

 

イスラエルはオグの全軍を1人残らず倒し、バシャンの地を占領した。

 

注:次の聖句を参照。

『 ヘシュボンの王シホンは我々が通過することを許さなかった。あなたの神、主が彼の心をかたくなにし、強情にしたからである。それは今日、彼をあなたの手に渡すためであった。』(申命記2章30節 新共同訳)