※ この記事は初学者用に聖書を編集し 注を付したものです。

 

 

第2年の2月1日、シナイの荒野で、主(しゅ)はモーセに言われた。

「イスラエルの全会衆を、氏族により、家系に従って調査し、すべての男子を

一人ひとり数えて、その総数を記録しなさい。

 

また、戦争に出ることのできる二十歳以上の者を数えなさい。」

 

戦争に出ることのできる二十歳以上の者の数は、次のとおりである。

 

1.ルベン族の者:4万6500人

 

2.シメオン族の者:5万9300人

 

3.ユダ族の者:7万4600人

 

4.イサカル族の者:5万4400人

 

5.ゼブルン族の者:5万7400人

 

6.ダン族の者:6万2700人

 

7.ナフタリ族の者:5万3400人

 

8.ガド族の者:4万5650人

 

9.アシェル族の者:4万1500人

 

10.ベニヤミン族の者:3万5400人

 

11.エフライム族の者:4万500人

 

12.マナセ族の者:3万2200人

 

以上が、モーセとアロンとイスラエルの代表者によって数えられた者の数であり、総計は60万3550人である。

 

このイスラエルの代表者は 12人であって、それぞれの家系の長である。

 

しかし、レビ族は数えられなかった。主が「レビ人は幕屋と祭具を管理する者であり、レビ族だけは数えてはならない」と言われたからである。

 

注:イスラエルの民がエジプトを出発した日が、第1年の1月15日である。

 

「エフライム族」と「マナセ族」は、ヨセフの子であるエフライムとマナセの子孫である。この二族は「ヨセフ半部族」ともいう。

 

レビ族はイスラエルの十二部族に入らない。

 

第2年の2月20日に、主の雲が幕屋を離れて昇ったので、イスラエルの人々はシナイの荒野を出た。

 

彼らは旅の間いつも、主の雲が幕屋を離れてから出発した。雲が幕屋を離れないときは、離れる日まで出発しなかった。

 

彼らは主の山を去って、3日の道のりを進んだ。

 

主の契約の箱は彼らの先頭を進み、彼らの休む場所を探した。

 

契約の箱が進む時、モーセはこう言った。

「主よ、立ち上がってください。敵は撃ち散らされ、あなたを憎む者どもがあなたの前から逃げ去りますように。」

 

また、その箱が留まる時はこう言った。

「主よ、帰って来てください。イスラエルの幾万の民のもとに。」

 

さて、民は災難に遭っている人のように、主に不平を言った。

 

主はこれを聞いて怒りを発せられ、主の火が彼らに対して燃え上がり、宿営の端を焼いた。

 

民はモーセに助けを求めて叫んだ。

 

モーセが主に祈ったので、その火は鎮まった。

 

また、彼らに加わっていた多くの他国人たちが、食べ物に対して不満を言いだしたので、イスラエルの人々も再び泣いて言った。

「ああ、肉が食べたい。エジプトでは、ただで魚を食べた。キュウリも、スイカも、ニラも、タマネギも、そしてニンニクも。しかし今、我々の目の前にはこのマナのほかに何もない。」

 

モーセは民がどの家族もそれぞれの天幕の入り口で泣くのを聞いた。

 

そこで主は激しく怒られ、モーセは苦しんだ。

 

モーセは主に言った。

「なぜ私を苦しめられるのですか。どうして私はあなたの恵みを得ないで、すべての民の重荷を負わされるのですか。

 

私が彼らを生んだのですか。そうではないのに、なぜ私に、親が乳児を抱くように彼らを懐に抱いて、あなたが彼らの先祖に誓われた土地に行けと言われるのですか。

 

私はどこから肉を獲てすべての民に与えることができるのでしょうか。彼らは泣いて『肉を食べさせろ』と私に言ってくるのです。

 

私一人では、この民すべてを負うことはできません。私には荷が重すぎます。

 

私があなたの恵みを得ているのなら、私をひと思いに殺し、苦しみに遭わせないでください。」

 

主はモーセに言われた。

「イスラエルの長老たちの中から、あなたが認める者を 70人集めて幕屋に連れて来なさい。

 

私はあなたと語り、あなたの上にある霊を彼らにも分け与える。

 

彼らはあなたと共に民の重荷を負い、あなた1人で負うことがないようにする。

 

民に言いなさい。身を清めて明日を待ちなさい。あなたたちは肉を食べることができる。『肉が食べたい、エジプトにいた時は良かった』と、泣いて主に言ったからだ。

 

あなたたちが肉を食べるのは1か月に及び、鼻から出るまで食べて飽き果てるだろう。主を軽んじてその前で泣き、『なぜ私たちはエジプトから出て来てしまったのか』と、主に言ったからだ。」

 

モーセは言った。

「私と共にいる民は徒歩の男子だけでも 60万です。羊と牛の群れを屠(ほふ)るのですか。それとも海の魚をすべて集めるのですか。」

 

主はモーセに言われた。

「主の手は短かろうか。私の言葉通りになるかどうか、今あなたに見せよう。」

 

モーセは主の言葉を民に告げた。そして長老たち 70人を集めて、幕屋の周囲に立たせた。

 

主は雲のうちにあって下り、モーセと語られ、モーセの上にある霊を長老たちにも分け与えられた。

 

その霊が彼らの上に留まると彼らは預言したが、その後は預言することはなかった。

 

その時、宿営に残っていた2人の者の上にも霊が留まった。彼らは長老であったが、幕屋に行かなかったので宿営で預言した。

 

そこで、若い時からモーセの従者であったヨシュアが言った。

「我が主、モーセよ、やめさせてください。」

 

モーセは彼に言った。

「あなたは私のためを思って妬んでいるのか。

主の民が皆、預言者となり、主がその霊を彼らに与えられることは、願わしいことだ。」

 

こうして、モーセは長老たちと共に宿営に引き揚げた。

 

注:「預言」とは、神から啓示を受けて(言葉を預かって)それを語ることをいう。単に近い将来に起こる出来事を言い当てる(予め言う)「予言」とは違う。

予言はイタコなどの霊能者でもできるが、預言は神から「預言の賜物」を受けた者でないとできない。以下の聖句を参照。

 

『 私たちは、与えられた恵みによって、それぞれ異なった賜物を持っています。預言の賜物を受けていれば、信仰に応じて預言し、… 』(ローマ12章6節 新共同訳)

 

『 何よりもまず心得てほしいのは、聖書の預言は何一つ、自分勝手に解釈すべきではないということです。預言は決して人間の意志によってもたらされたのではなく、人々が聖霊に導かれて、神からの言葉を語ったものだからです。』

(ペトロⅡ1章20~21節 新共同訳)

 

さて、主のもとから風が起こり、海の向こうからウズラを運んできて、これを宿営の近くに落とした。

 

その落ちた範囲は、縦横それぞれ歩いて1日程の距離で、地面から2キュビト(約90センチ)の高さに積もった。

 

民は宿営から出て行って、その日は晩まで、夜は一晩中、次の日は朝から晩までウズラを集めた。

 

少ない者でも 10ホメル(約2200リットル)は集めた。

 

彼らは皆、それを宿営の周りに広げて置いた。

 

ウズラの肉がまだ彼らの歯の間にあるうちに、主は民に向かって怒りを発し、

激しい疫病で民を打たれた。

 

これによって、その場所はキブロト・ハタアワ(貪欲の墓)と呼ばれた。

 

注:次の聖句を参照。

『 彼らは食べて飽き足りた。神は彼らの欲望を満たしてくださった。彼らが欲望から離れず、食べ物が口の中にあるうちに神の怒りが彼らの中に燃えさかり、その肥え太った者を殺し、イスラエルの若者たちを倒した。それにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、驚くべき御業を信じなかったので、神は彼らの生涯をひと息のうちに、彼らの年月を恐怖のうちに断とうとされた。神が彼らを殺そうとされると、彼らは神を求め、立ち帰って、神を捜し求めた。「神は岩、いと高き神はあがない主」と唱えながらも、その口をもって神を侮り、舌をもって欺いた。彼らの心は神に対して確かに定まらず、その契約に忠実ではなかった。しかし、神は憐れみ深く、罪をあがなわれる。彼らを滅ぼすことなく、繰り返し怒りを静め、憤りを尽くされることはなかった。神は御心に留められた、人間は肉にすぎず、過ぎて再び帰らない風であることを。』(詩編78編29~38節 新共同訳)

 

民はキブロト・ハタアワからハツェロトに進み、そこに留まった。

 

モーセはクシュ人の女を妻にしていたが、ミリアムとアロンはそのことでモーセを非難した。

 

彼らは言った。

「主はモーセを通してのみ語られるのか。我々を通しても語られるのではないか。」

 

主はこれを聞かれた。そこで主は、直ちにモーセとアロンとミリアムに幕屋に来るように言われた。

 

彼ら3人が幕屋に来ると、主は雲の柱のうちにあって降り、幕屋の入り口に立って、アロンとミリアムを呼ばれた。

 

2人は進み出た。

 

主は彼らに言われた。

「あなたたちの中で、もし預言者がいるならば、主なる私は幻によって、その人に私を知らせ、また夢によって語るだろう。

 

しかし、モーセはそうではない。彼は私の家のすべての者に真心を尽し、偽りのない者だ。

 

私は自分自身の口で彼に語り、謎を使わない。また、彼は主の形を見るのだ。

 

なぜ、あなたたちはモーセを畏れずに非難するのか。」

 

主は彼らに対して怒りを発し、去って行かれた。

 

雲が幕屋の上を離れ去った時、ミリアムは重い皮膚病にかかった。

 

アロンが振り返って見ると、彼女の体は雪のように白くなっていた。

 

そこでアロンはモーセに言った。

「私たちは愚かなことをして罪を犯しました。どうか、その罰を与えないでください。」

 

そこでモーセは叫んだ。

「神よ、どうか彼女を癒してください。」

 

主はモーセに言われた。

「彼女を7日間、宿営の外に隔離しておきなさい。その後、連れ戻してもよい。」

 

そこで ミリアムは7日間、宿営の外に隔離された。

 

民は彼女が宿営に戻るまで出発しなかった。

 

注: 「ミリアム」はモーセとアロンの姉である。

 

民はハツェロトを出発し、パランの荒野に宿営した。

 

主はモーセに言われた。

「人を遣わして、私が与えると約束したカナンの地を探らせなさい。

 

父祖の部族ごとに1人ずつ、12人の指導者を遣わしなさい。」

 

モーセは主の命令に従って、彼らをカナンの地に派遣した。

 

モーセは彼らを派遣するにあたって、ヨシュアにこう命じた。

「ネゲブに行って山に登り、土地の様子を調べなさい。

そこの住民は強いか弱いか、民の数は少ないか多いか、人の住んでいる町々は天幕かそれとも城壁のある町か、土地は肥えているか痩せているかを調べなさい。また、その土地の果物を取って来なさい。」

 

彼らは行って、チンの荒野からレボ・ハマトに近いレホブまで探った。

 

彼らはネゲブを上って、ヘブロンまで行った。

 

エシュコルの谷に着くと、そこで一房のブドウの枝とザクロとイチジクを取った。

 

40日後、彼らは土地の偵察から帰って来た。

 

彼らはモーセに説明した。

「私たちは、あなたの遣わした地方に行きました。そこは真に乳と蜜の流れる所でした。これがそこの果物です。

 

しかし、その土地の住民は強く、町々は堅固で非常に大きく、しかもアナクの子孫を見ました。

 

またネゲブ地方にはアマレク人が住み、山地には、ヘト人、エブス人、アモリ人が住み、海岸地方とヨルダン川沿岸地方にはカナン人が住んでいます。」

 

その時、カレブが会衆を鎮めて言った。

「すぐに上って攻め取りましょう。必ず勝てます。」

 

しかし、彼と一緒に行ったほかの者たちは反対し、偵察してきた土地のことを人々に悪く言いふらした。

 

注: ヘト人・エブス人・アモリ人・カナン人の先祖は、ノアの孫のカナンである

(創世記10章15~18節)。

 

「カレブ」はユダの子孫である(民数記13章6節)。

 

イスラエルの人々は皆、モーセとアロンに不平を言った。

「エジプトの国で死んでいたら良かった。この荒野で死んでいたら良かった。

どうして主は私たちをこの地に連れて来られたのか。私たちは剣に倒れ、妻も子供も奪われてしまうだろう。エジプトに帰る方が、むしろ良いではないか。」

 

そして彼らは互いに言った。

「1人の頭(かしら)を立てて、エジプトに帰ろう。」

 

モーセとアロンは全会衆の前で伏していた。

 

ヨシュアとカレブは全会衆に言った。

「私たちが行って来た土地は素晴らしい土地でした。私たちが主の言われたとおりにするならば、主はあの土地を私たちに与えてくださるでしょう。主が私たちと共におられるから、彼らを恐れてはならない。」

 

ところが会衆は皆、石で彼らを撃ち殺そうとした。

 

その時、主の栄光が幕屋からイスラエルのすべての人に現れた。

 

主はモーセに言われた。

「この民はいつまで私を侮るのか。

 

私が数々の徴(しるし)を彼らの間で行なったのに、いつまで私を信じないのか。

 

ゆえに、私は疫病で彼らを撃ち滅ぼし、あなたを彼らよりも強い大いなる国民としよう。」

 

モーセは主に言った。

「もし、あなたがこの民を1人残らず殺されるならば、あなたのことを聞いた諸国民は、きっとこう言うでしょう。『彼らの主は、与えると誓った土地に民を導き入れることができなかったために、彼らを荒野で殺したのだ。』

 

あなたが約束されたように、今、主の大いなる力を現してください。

 

あなたはかつて、『主は怒ること遅く、慈しみに富み、罪と咎を許す者、しかし罰すべき者は決して許さず、父の罪を子に報いて、三代、四代に及ぼす者だ』と言われました。

 

どうか、あなたの大きな慈しみによって、エジプトから今に至るまでこの民を許されたように、この民の罪を許してください。」

 

主は言われた。

「あなたの言葉のゆえに、私は許そう。

 

しかし、私は生きており、主の栄光が全地に満ちている。

 

私の栄光と、私がエジプトと荒野で行なった徴を見ながら、このように 10度も私を試みて私の声に聞き従わなかった者は、1人も、私が彼らの先祖に誓った土地を見ることはない。また私を侮った者もそれを見ることはない。

 

ただし、カレブは私に完全に従ったので、私は彼が行って来た土地に彼を導き入れる。彼の子孫はその土地を所有するだろう。

 

しかし、今はアマレク人とカナン人が谷に住んでいるから、明日、紅海の方に向かって荒野を進みなさい。」

 

注:以下の聖句を参照。

『 彼らは愛すべき地を拒み、御言葉を信じなかった。それぞれの天幕でつぶやき、主の御声に聞き従わなかった。主は彼らに対して御手を上げ、荒れ野で彼らを倒された。子孫は諸国民に倒され、国々の間に散らされることになった。』

(詩編106編24~27節 新共同訳)

 

『 どれほど彼らは荒れ野で神に反抗し、砂漠で御心を痛めたことか。繰り返し神を試み、イスラエルの聖なる方を傷つけ、御手の力を思わず、敵の手から贖われた日を思い起こさなかった。』(詩編78編40~42節 新共同訳)

 

主はモーセとアロンに言われた。

「私に向かって不平を言うこの悪い会衆を、いつまで我慢することができようか。

 

私は生きている。あなたたちが私に語ったように、あなたたちに行う。

 

私に不平を言った二十歳以上の者は皆、この荒野に死体となって倒れる。

 

カレブとヨシュアのほかは、私があなたたちに与えると誓った土地に入ることはできない。しかし、あなたたちの子は私が導いて入るだろう。

 

あなたたちの子は 40年間、荒野で羊飼いとなり、あなたたちの不信の罪を負う。

 

あの土地を偵察した日数に従い、1日を1年として 40年間、自分の罪を負い、

私があなたたちから遠ざかったことを知るだろう。

 

私は必ず、私に逆らって集まったこの悪い会衆に、このことをすべて行う。

 

あなたたちはこの荒野に朽ち、ここで死ぬだろう。」

 

こうして、土地を偵察に行った者のうち、その土地を悪く言いふらした者は疫病にかかって死んだ。しかし、ヨシュアとカレブだけは生き残った。

 

モーセがこのことをイスラエルのすべての人に告げると、民は悲しみ、朝早く起きて言った。

「私たちは主に対して罪を犯しました。主が約束された所へ行って戦います。」

 

モーセは彼らに言った。

「どうして主の命令に背くのか。行ってはならない。主があなたたちのうちにおられないから、敵に撃ち破られるだろう。」

 

しかし、彼らは自分たちのしたいように山頂に登って行った。

 

ただし、主の契約の箱とモーセは宿営から出なかった。

 

そこで、その山に住んでいるアマレク人とカナン人が下って来て、彼らをセイルで撃ち破り、ホルマまで追って来た。

 

注:以下の聖句を参照。

『 あなたたちは耳を貸さず、主の命令に背き、傲慢にも山地へ上って行った。山地に住むアモリ人たちはあなたたちを迎え撃ち、蜂が襲うようにホルマまで追撃し、セイルであなたたちを撃ち破った。あなたたちは戻って来て、主の前で泣いたが、主はあなたたちの声に耳を傾けず、聞こうとされなかった。あなたたちは、長い間、すなわち、あなたたちが滞在した日数だけカデシュに滞在した。』(申命記1章43~46節 新共同訳)

 

『 カデシュ・バルネアを出発してからゼレド川を渡るまで、三十八年かかった。その間に、主が彼らに誓われたとおり、前の世代の戦闘員は陣営に一人もいなくなった。主の御手が彼らに向けられ、陣営に混乱が引き起こされ、彼らは死に絶えたのである。』(申命記2章14~15節 新共同訳)

 

『 わたしたちの先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、皆、雲の中、海の中で、モーセに属するものとなる洗礼を授けられ、皆、同じ霊的な食物を食べ、皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。… しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。これらの出来事は、わたしたちを戒める前例として起こったのです。彼らが悪をむさぼったように、わたしたちが悪をむさぼることのないために。』(コリントⅠ10章1~6章 新共同訳)