老人ホームの訪問でのエピソード

 

30人くらいの方が広いホールに集まってきてくださって、いつものように「幸せなら手をたたこう」で始めました。

 

ゆっくりのテンポだったので大丈夫!

 

皆さん、歌ってくださいました。

 

体が動かせる方は手を動かしたり、足を動かしたり。

 

童謡を歌ったり、懐メロを歌ったりしました。

 

介助してくださる施設の方も、それぞれの方の歌詞カードを歌に合わせて替えてくださいます。

 

その中に、すごく気になる方がいらっしゃいました。

 

前日に入所されたばかりの女性で一番後ろの車いすに座っていらっしゃいました。

 

隣には家族(ご主人?)が。

 

しかし、その方は全く反応してくださいませんでした。

 

私も、いろいろな方を見て、少々のことでは驚きませんが、気になりました。

 

最後の曲はいつも「ふるさと」です。

 

前奏を弾き始めた途端、その方が瞼を開け、歌になると少し口を動かす様子が見えました。

 

さらに、それを見た家族の方が目に一杯涙をためていらっしゃいました。

 

30分近く、ほかの方が歌ったりされる中で、反応のない家族を見て心のどこかで落胆していらっしゃったかもしれません。

 

ところが、最後の曲でまるで眠りから覚めたように歌っているのを見て、喜んでくださったのではないでしょうか。

 

歌には力があります。

 

若いころ親しんだ歌ならなおのことです。

 

私たちの魂の部分に入り込んでいくのかもしれません。

 

いろいろな機能は失われても、残っていて私たちを救ってくれるかもしれないのです。

 

そんな歌の一つが「ふるさと」です。