もう二十年近く前の話。

当時中学一年の私は母から進められて
「基礎英語1」を聞いていた。

英語の授業はだんだん難しくなってテストとラジオが上手くリンクしなくなっていた。 
それでも、続けていたら母がほめてくれるので何となく聞き続けていた。



そのことが起きたのは秋だった。

ハロウィンの決り文句
「Trick or Treat」がラジオ基礎英語で出てきた。


魔法の呪文みたいで、かっこいい!

何回も聞いて、練習した。
「ティーキャートリー」みたいな発音。



その後学校でもハロウィンの話があり、
「Trick or Treat」は「トリック・オア・トリート」だと説明があった。


授業が終わって、クラスメイトと「Trick or Treat」の発音について話した。


「Trick or Treatはティーキャートリーだよ。ラジオで聞いもん。」

クラスメイトは

「そんなわけないよ。トリック・オア・トリートだって先生言ってたよ」


ちょうど通りがかった英語の先生。
当時30歳ぐらいだった若い先生。




クラスメイトと私は事情を説明して、答えを待った。

「トリック・オア・トリートよ。」

それだけ言って、去っていった。

クラスメイトはやっぱり、ほらねっといった顔。





すごくはずかしかった

全然学校の授業や先生と基礎英語は違うじゃないか!

こんなのやったって、なんの意味もないじゃないか!



それからは基礎英語は聞かず、テキストだけが溜まっていった。

英語は単語と文法を覚えるだけ。

全然発音分からずも喋れもしない。

大嫌いな科目だった。








なんとか単位だけはもらい学校を卒業し、
会社に入った。

驚いたのは英語が喋れる人が普通にいる。

海外のお客さんもたくさん来る。

海外から電話がかかってくることもあった。

やっぱり英語ができた方がいいのかなと、英会話のスクールに通ったりした。

それでもあまり身にならなかった。






私は英語で何をしたいんだろう。

仕事にしたいの?

趣味なの?

よくよく考えてみると、答えは一つ。

「洋楽をかっこよく歌いたい」

話せるようになりたいわけでも、映画を字幕無しで見たいわけでもない。

一番は歌。気持ちよく、かっこよく歌いたい。



たくさんあった文法本や勉強法本は処分して


「洋楽を歌おう」という本と「duolingo」というアプリで勉強を始めた。



ジャスティン・ビーバーのlove yourselfが一曲目。

聞いたことなかったけど、本をコピーして穴埋めを毎日やって何回も曲を聞いた。

キーが低すぎるので、女性のカバーで練習した。

気持ちよく歌えるようになった。



アプリは毎日のノルマをこなすのが基本。十分もかからない。
それでもやったらアプリ内の鳥がほめてくれるし、連続日数も記録になる。

達成感があって、続けられた。






昨日、海獣の子供を見に行った。

映画の冒頭で洋画のCM。

ほんの少しだけ、聞き取れた。

それは、私にとってはオマケ。

でも、とっても大きなオマケ。




学校の英語が大嫌いだったけど、
学校の先生も大嫌いだったけど、
もういい大人だから、人のせいにするのはやめようと思う。



今は、英語が好き。


私は今、英語と仲直りの真っ最中だ。