ちょっと良い話 | ケセラセラとテイクイットイージー

ケセラセラとテイクイットイージー

以前はヤフーブログで長い事記事更新を行っていました。
ほとんど準備をせずにいきなり引っ越しをいたしましたので、徐々に体裁を整えていく予定です。

オレは学生で、コンビニのバイトをしている。
同じ店で何年も働いており、すでにベテランであった。
その日は他のバイトが急な休みになり、深夜を一人で行う事になった。
 
夜の2時頃だろうか、一人の外国人女性がお店に入ってきた。
金髪で青い目の普段見慣れない人だ。ただ服装は崩れていて頭もぼさぼさで、少し問題があるかも?と警戒をして見守る事にした。
この女性、おにぎりコーナーで暫く悩んでいたが、一つのおにぎりを持ってオレのいるレジまでやってきた。
「おにぎり一個で108円です。」
女性はポケットをアチコチ探って、100円を出して来た。
「あと8円、お願いします。」
女性はこれ以上は持っていない、オマケして貰えないか?としつこく尋ねるが「申し訳ありません。」とオレは繰り返す。
やがてこの女性、あきらめて帰るのか思いきや店の奥のトイレへ向かった。
まあトイレくらい良いだろうと思い、暫く待っていたが、10分を過ぎても出てこない。
頭の中には幾つかのイヤな考えがよぎって、確認の為にトイレに向かうと、金髪女性が出て来た。
そして「トイレを掃除した。これでお金の不足分を賄ってもらいたい。」と言った。
「困っている人には助けてあげなさい。」と何時も言っていたオバアチャンの言葉が頭の中で鳴り響いている。
 
「分かりました、不足分は私が出します。」と言い、おにぎりをレジ精算。合わせて温かいお茶も差し上げた。
女性は幾度も礼を言ってお店から出て行った。
 
それから数日後、自分のシフト時間にお店に行くと、店長から事務室の奥へ呼ばれた。
そこで店長はおにぎりの話をしてきて、「勝手な事をしては困る」と叱られた。
オレが謝ったところで店長が「お前宛の手紙を預かっている。」と言い、一通の封書を渡された。
中には英語の手紙が入っていて、何とか読んでみると、先の女性からの礼状だった。
 

あのとき主人とケンカをして家を飛び出してきてしまった。
何もない状況で親切にされ、お店の外でおにぎりを食べ、温かいお茶を飲みながら泣いた。
そこへ主人が私を探しに来て、私も心から主人に謝って、二人は仲が戻る事が出来た。
本当に感謝している。
 

とうような文面だった。
他に8円のお金と、諭吉さんが10人いらっしゃった。
こんなに貰うわけにはいかない。
店長に持ち主を聞いてみると「名前も書いてないし、オレの知らない人だから、ここら辺の人じゃ無いだろう。せっかくの心付けだから、有り難く貰っておけ。」と言われた。
 
普段ならばあぶく銭としてあっいう間に遊びで使ってしまうが、こういうお金を遊びで使う事は出来ない。
久しぶりに家に電話をして、今度家族で美味しモノを食べに行く約束をした。