🔬サリチル酸の反応と性質を見てみよう!
今日は、サリチル酸(別名:オルト-ヒドロキシ安息香酸)の反応や性質について、高校化学の範囲でしっかり見ていこう!
サリチル酸ってなに?
サリチル酸は、芳香族カルボン酸であり、同時にフェノール性水酸基(–OH)ももっているちょっと特殊な構造の化合物だよ。
構造式はこう:
-
C₆H₄(OH)COOH
-
ベンゼン環に「–OH」と「–COOH」が隣同士(オルト位)についてる!
ちなみに、頭痛薬で有名なアスピリン(アセチルサリチル酸)は、このサリチル酸を原料に作られるんだ。
🔁 サリチル酸の合成の流れ(コルベ・シュミット反応)
① フェノール(化合物A)
↓
まず、フェノールに水酸化ナトリウムを加えてナトリウム塩にする。
その後、このナトリウム塩を高温・高圧の条件で二酸化炭素(CO₂)と反応させると、オルト位に–COOHがついたサリチル酸ができるよ!
この反応をコルベ・シュミット反応って呼ぶ。
-
構造式:C₆H₅OH
-
物質名:フェノール(化合物A)
② サリチル酸 → サリチル酸ナトリウム(化合物B)
塩基(たとえば水酸化ナトリウム)を加えると、カルボン酸の–Hが取れて、ナトリウム塩になる!
-
構造式:C₆H₄(OH)COONa
-
物質名:サリチル酸ナトリウム(化合物B)
③ サリチル酸ナトリウム → サリチル酸
ここに塩酸を加えると、中和されてもとのサリチル酸に戻る!
🧪【実験①】炭酸水素ナトリウム水溶液と反応するのは?
「泡が出て溶ける」=CO₂が発生してる反応。
→ 酸(COOH)と炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)が反応すると、二酸化炭素が出る!
この反応をするのは「カルボン酸」をもつものだけ。
-
サリチル酸:○(COOHあり!)
-
フェノール:×(COOHがなくて酸性もかなり弱い)
-
サリチル酸ナトリウム:×(すでに塩だから反応しない)
🧪【実験②】塩化鉄(Ⅲ)との呈色反応
これは、フェノール性–OHに特有の反応で、Fe³⁺と反応すると紫〜赤紫色になる!
この反応が見られるのは:
-
サリチル酸:○(–OHあり)
-
フェノール:○(–OHあり)
-
サリチル酸ナトリウム:○(–OHはあるので反応する)
※ただし、サリチル酸ナトリウムでは溶液のpHや状態によって色の濃さが変わることもあるよ!
🎥 解説動画はこちら!
動画タイトル:【高校化学】【サリチル酸】サリチル酸の反応に関わる経路図について,各問いに答えよ。(図は本編中)(1) A, B にあてはまる化合物の構造式と物質名を記せ。(2) a,bにあてはまる…
チャンネル名:理数個別チャンネル
URL:https://youtu.be/p_dP8Mvlv_0
✨ 最後に!
サリチル酸は、「フェノール性」と「カルボン酸性」の二刀流化合物!
そのため、実験でよく出てくる確認反応の両方にしっかり反応してくれる頼れる存在!
薬の合成とか分析化学の基礎にも関わる知識だから、しっかり理解しておこう!