(元)義弟が死んだ。

55歳。56歳の誕生日まで数日のことだった。

1ヶ月くらい前に、一姫からの電話で心筋梗塞で倒れたことを聞かされていた。

いまや「アカの他人」となったわたしだけれど。

わたしが1番苦しんでいるときに、いつも寄り添い、励ましてくれた姪のことが心配で迷った末に連絡してみた。

実の兄(つまりわたしの元夫)と長い確執の末に、絶縁状態となり、実の母から「死ねばいいのに」と罵られ、実の息子からは、2度と顔も見たくないと絶交宣言をされた義弟を父に持ち、その関わり方にずっと悩んできた姪。
病院とのやりとりや看護のすべてがおさな子3人を抱えたその姪の肩にのしかかっていた。
そのすべてを、兄、母、息子が拒否したから。
意識もなくなった義弟について、なおひどい言葉をわざわざ姪に投げつける人たち。
さらに、いざ亡くなったと知らせると、遺体を実家に運ぶことすら許さないが、世間体のためか、火葬には立ち会うと言い出した3人に、姪はもう反論する気も失せたようだった。

いろいろやりとりはあったが、火葬に立ち会うことにした一姫。認知症が進んでひとりでは参列者できない(元)義母に付き添ってくれたらしい。

わたし自身は直接関わらないものの、前後で一姫とやりとりしたり、送迎に協力したりするなかで、

「今回もお父さんは、お金は用意しておくから、というだけで、ありがとうもごめんね、もひと言もない。なぜ、お父さんの誠意はお金でしかしめされないのだろう」
と泣いた。
それはよいとか悪いとかだれかが決められることではない、それが父の価値観で、一姫のそれと少しズレがあるだけなのだ、と伝えるしかなかった。

秋のよく晴れた日、義弟は子どもや孫、友人たちち見守られて、海辺の火葬場で義父の待つ空の上に旅立った。

ありがとう。
あなたがわたしの人生に登場人物として参加してくれて、学べたことがたくさんあったよ。
義父と久しぶりに心ゆくまで飲み交わしてね。