正社員の登用試験が迫ってきていて、事前準備をしよう、と上司らから声がかかる。
20年以上勤めた会社。
数年前に親会社に吸収合併されてから、正社員登用はやや面倒になった。
いままで、自分で言うのも何だけど、まじめにやってきたし、やってることの割に合わないことにも文句も言わず、穴も開けずやってきたと思う。
その私のありのままを受け入れない、と言われるならそれはそれで仕方ないのではないかと思うのだ。
だから、事前準備というほどのことをしようとも思わないのだけれど、まあ、部署を代表するものとしては、不採用なんてことになれば自分の評価にも関わるわけなのね。

もし、採用されたら…。
いままでは拒否できた出張も残業もある程度は受け入れなくてはならない。自分としても受け入れて、いままで不完全燃焼だったことをやり遂げていきたい。私の経験したすべてをのちの人たちに活かして欲しい。社会のために活かしてほしい。

そうなると、義父の日々の胃ろうはどうするか、病院とのやりとりや通院の手配は、、、。
そう考えると、むくむくと沸き起こりそうになる感情がある。
誰のせいにもしたくない。
誰かを憎みたくもない。
それでも、時々抑え切れないのでは?
と自分でも不安になる感情。
「人を呪わば、穴ふたつ」
決してはまりたくないのだ、その穴に。

すべては自分が選びとってきたこと。
なにかを誰かのせいにして、諦めたり、恨んだりして人生を過ごしたくないのだ。

できる。
きっとできる。
やりたいことをがまんせず、死ぬまで学び続ける納得できる生き方が。
必ずできる。
もう十分に傷ついた。
これ以上傷つきたくないし、
傷つく必要もない。

その穴には、はまらずに生きることがきっとできるはず。