昨日、二太郎の学校野球部は県予選初戦で敗退した。
こっそり観戦しに行った球場は、一姫が卒業することのできなかった県立高校の目の前、そして2年前まだ希望にあふれた心で、先輩たちの初戦を観戦した場所。
わたしの住む市の隣のこのまちは、わたしにとって、いい思い出がない。

試合が始まるとき、後から後から涙が出てきた。
これまで辛いときに、いつでも淡々と迎えてくれたグランド。
だけど、それは二太郎にとっての野球とは無関係だった。初めてよくわかった。

二太郎は二太郎なりの思いで、今日この日をユニフォームで迎えたかったに違いないのだ。

「人は結果でしか判断しない」
わたしの以前からの持論だ。

中学校や高校の部活動において、「結果」は試合の勝ち負けではない。
みんなそれぞれの結果を持って、野球部を去ったのだということがよくわかった。

スターティングメンバーに3年生は3人だけだった。
これで「おれたちのチーム」と思え、と言う方が無理だ。
そんな中でもみんなそれぞれの選択をして高校野球を終わらせたのだ。
最後まで監督に忠実でいようとしたキャプテンも、結果的には「いい子」で終わったショートも、最後の最後でベンチから外されて涙を呑んだ投手の1人も、結局退部を選んだ2人も、そして、中途半端に部を離れた二太郎も。
全員自分で選んで、結果を出して終わらせたのだ。
だから「これでいいのだ」

そして、わたしも助けてくれたグランドにありがとう、と去るつもりだった。
しかし、やはりあの熱闘がわたしを離さない。
もう二度とあの熱い夏には届かないと承知の上で、これからは我が母校がいつか甲子園に行く日まで、高校球児たちを見ていよう。
熱闘好きのただのおばさんとして。
高校野球はやっぱり、いいよね。