実は、二女と私は誕生日が同じ。

つまり自分の誕生日に、二女を出産していた。

 

出産を終えて病室に入ると

ベッドボードに、名前と生年月日が記入された札が貼ってあった。

 

その頃は、病院で働きながら看護学校に通う学生さんがいて、

先輩看護師さんに厳しく指導されていた。

中でも特に厳しそうに見えた先輩看護師さんが、

私の札を見て、学生さんを大きな声で呼んで、

「ちょっとー、ここにはベビーの誕生日じゃなくて、

ママのを書くのよ!!」と叱責。

「あっ、あのー・・・」と口を挟もうとした瞬間、

先輩看護師さんも気づいたようで、

「あらー、誕生日同じなのね。いいですねー。」と

私には、笑顔で話しかけてくれた。

が、学生さんには何事もなかったように、スルー。

学生さんは私と目が合うと、

「いつものことなので」とつぶやいた。

私は「たいへんだと思うけど、がんばってね」と

月並みなことしか言えなかった。

あれから30年、きっと今頃、

あの学生さんも立派な看護師さんになって、

バリバリ働いてるんだろうなー、と思う。

 

しかし、娘と誕生日が同じでいいことは全然なかった。

娘がかわいい年頃のうちは、

娘の誕生日のお祝いのいろいろは、一応頑張っていたので、

自分の誕生日はそっちのけ。

それでも母がいたころは、気遣ってくれていたが、

母が亡くなってからは、誰も私の誕生日など気にも留めてくれなかった。

 

娘たちと息子が大人になってからは、

それぞれにお祝いの気持ちを伝えてくれるようにはなったのだが、

その頃には、

「もう誕生日なんていらないー。

年齢に不足はない。むしろ余ってる。」状況なので、

素直には喜べなくなってしまっていた。

 

はた目には、よさそうに見えても、

当事者にはあまり・・・、なことの例えになるかも。