初めましてのかたに

息子は、我が家の三人目の子どもで長男。2000年生まれ。その時、母は39歳。1歳にならないうちに筋ジストロフィー症と告知される。

 一時保育で保育園に通いながら、年中からは姉たちも通った幼稚園に入園。小学校も姉たちが卒業した小学校の通常学級に通い、無事卒業。中学校は、在籍は支援級だったがほぼ通常学級で過ごした。中学校2年生の冬から不登校になり、3年生は修学旅行と文化祭と卒業式だけ出席した。通信制高校に進学するが、定期テストを受けに登校するのが体力的に厳しく中退を決める。それから自宅で過ごしている。

2023年秋から画策し、突然「東京で一人暮らしするから」と宣言し、あれよあれよと準備を進め、住所を移し、ついに2024年3月22日から東京都民となった。


航空機でのエール

飛行機の座席に座っていることができない息子は、座席にストレッチャーを設置してもらい横になったままでのフライトだった。万一に備え、安全ベルトを体に合わせて締めるのがたいへんそうで、狭い空間でCAさん達が隙間を駆使して連携プレーで仕上げてくれた。

安全性を高めると窮屈になり本人の快適性が下がる、という難しさになんとか折り合いをつけてくれた。


フライト中に、C Aさんに「ご旅行の行きですか?お帰りですか?」と尋ねられ「私は行きですが、息子は家を出て一人暮らしを始めるので、帰りません」と話した。「じゃあ門出なんですね」で会話はあっさり終わった。


他の乗客の皆さんが下りたあと、荷物をまとめて降りる準備をしているとCAさんが、「私達も息子さんのスタートを応援しています。機内の照明をレインボーにして見送ります」という内容のことを話してくださった。レインボーって?と思っていると、機内の照明が鮮やかでカラフルに変わっていた。


慌てて撮ったのでわかりにくいが、天井と窓上の灯りがレインボーに…。

気の利いた計らいに、涙が流れそうになったが、あたふたと荷物を背負って立ち去ることとなった。

応援、にはいろいろな形があることに、不意打ちを食らったが、素直にとても嬉しかった。


一人暮らしの決断、これで良かったと思える日が来ますように…