どちらもナンジャソリャ?な人が多いかもしれない。
「能(のう)」は日本の伝統的な舞踊の一つ。今の人にはお経に聞こえそうなやつ。コンテンポラリーダンスは、創作ダンス? 古典美術と現代美術が相対ならバレエとコンテンポラリーダンス、みたいな感じだろうか。ダンスのことはよくわからんがそんな感じ。
私が敬愛するダンサーはコンテンポラリーダンスの分野で世界的に注目されていて、能をモチーフにした作品が代表作。その作品3つを1日で披露する、その名も「森山開次作品集」という公演が昨日から新国立劇場小劇場で始まった。小劇場といっても渋谷O-WESTくらいある会場だ。
昨年初めて彼のソロ公演「The Velvet Suite」を見に行ったら、彼の足音さえも聞こえるほどの静寂だったので、今回はその心積もりでいた…のだけど遅刻してしまったY(>_<、)Y
ものすごい暗闇と静寂の中でのオープニングだったので、最初の数分は会場に入れずモニターで見ることとなり、場面展開で案内されたものの席まではいけず、遅れて来場した観客10人くらい、入口の通路に並んで1部を見ることとなった。
第一部の「OKINA」は、いたってシンプルな真っ黒のステージに黒のダンス用パンツ。小さな光の粒の筋が中央に垂れ下がっていた。ほんとうに、人間の息遣いまで聞こえるような静寂と、ライトがあたっている部分以外は暗闇。人間らしからぬ手足の揺れ。今私が読み進めている漫画「蟲師」の世界が具現化されたみたいに見えた。
第二部「弱法師」は女性ダンサーとの共演で、甘美な世界と生命について描かれているように感じられた。
音楽はフルートの生演奏だったのだが、こういった世界観からの影響か、日本の古典的な笛の音に聞こえた。
第三部「狂ひそうろふ」は赤・金・銀を使った和装と布製の仮面をして客席からの登場。高貴かつ鋭い空気を放ちながらゆっくりと檀上に上がった。音楽はパーカッションとまでは理解していたのだが、なんと4人のセネガル人による躍動感あるアフリカンビートだった。ステージ上に設置された木製の踊り場はダンサーの足音だけでなく、パーカッショニストたちが踊り場を手で打ちリズムを生み出した。「狂ひそうろふ」は新作だそうなので詳しくはこの辺でやめておく。
今回誘ってた人がこれなくなってしまったので、急きょドラ君を誘って行ったのだけど。
最初に「こんなやつ」って見せたサイトを見たとき、バンドの天照かと思ったらしい。
あぁそういえば、世界観が似ているかもしれない。
「The Velvet Suite」を見たときはSUICIDE ALIの世界観に通ずるものを感じた。
バンドは爆音、こちらは足音さえ聞こえる静寂と、表現の手段は真逆だけど、表現している中身は同じなのではないかと思った。
感じたものを表現する衝動、具現化。
ダンサーも、ミュージシャンも、絵描きも、肩書きは芸術家(アーティスト)だ。