今回の紹介動画は宗慶二先生のYouTubeチャンネル「宗慶二の国語チャンネル」からです。

2023年7月から始まりました記念すべき1本目の動画です。

今回の紹介動画も是非 視聴して下さい。

 

内容は、現代文の問題を解く場合、文章を先に読むのか? 設問を先に読むのか? の論争についてです。

宗先生の考えは、文章を読みながら設問部分(傍線・空欄など)に来たら設問を解き、また文章を読み進める、これを繰り返します。

なぜなら、みんな設問を解くとき、設問から文章に戻り読んでいるからです。そして次の設問に移り、また文章に戻り読んでいます。

 

ぼくが感心したのは、宗先生が持論を展開する中で「入試現代文の問題」がどのように作られているのかを解説している部分です。

宗先生が作っていたのは模試ですが、考え方は同じはずです。

 

まず、文章の文字数や設問数、記述問題か選択肢問題かによる違いなどの解説から始まります。

筆者が言いたいことを中心に問題を作れば、問うていることが同じになってしまします。

作問者は、文章がちゃんと読めているのかが問いたいので色々かな箇所から設問を作ります。

余すことなく利用するのです。

問うていることに、被り・重なり・重複がないように設問を作ります。

大学の入試問題はこういう構造を、必ず仕組みとしてそうならざるを得ないとのことです。

では、どうすればこの重複性をきれいに切って、適正な問題文を作成できるのかというと、文章の中に存在する「意味段落」に注目しているそうです。

「意味段落」つき1本傍線を引くと、その傍線部の解釈は意味段落を飛び越えては作用しにくいからです。

課題文をこういう風にピンスポットで細切れに切っていますから、文章全体のもっとダイナミックな著者の言いたいことの論旨の流れが取り残されてしまいます。これが最後の記述問題になるそうです。

 

こういう話を聞くと「東大現代文 攻略法」の中で言っている、東大現代文の問題がどうしてあのような構造になっているのかが理解できます。

また、ぼくが解いてきた”日東駒専・産近甲龍”や”GMARCH・関関同立”の問題も色々な形式の問題がありましたが、それらもおそらくこのような考えのもと作られているのだと思います。

 

旧センター試験のころは、センター試験・現代文は今回の宗先生のように文章を読みながら傍線や空欄が出てくると、そこで問題を解くようアドバイスする動画がありました。答えは傍線や空欄の周辺にあるとのことでした。

今回の動画をみれば納得できます。

実際に過去問をといてみて実験する必要はあります。

 

また、「2022年 共通テスト・英語 リーディング 解説(もりてつ先生) -1-」「2022年 共通テスト・英語 リーディング 解説(もりてつ先生) -2-」の中で、もりてつ先生は、本文中の同じ箇所から問題が2つ作られていることを軽く指摘してます。

現代文に限らず、英語でもそのような暗黙のルール的な何かがあるのかも知れません。

 

今回の動画の中で何度か「トレーニングした受験生」という表現が出てきます。

しっかりと問題演習してきた受験生がギリギリで解ける量の問題があるのです。

「現代文は、いつも急がされている教科」です。

入試本番までしっかりと演習を積みましょう。

 

「入試現代文」と「学校の国語の授業」とは違う!」で「入試現代文」と「学校の国語」の正体を知り、「学校の国語」とは違う「入試現代文」の勉強をやらなければなりません。

また、今回の動画や「東大現代文 攻略法」を参考に共通テストや志望大学の過去問に挑んでください。

 

これから現代文を勉強する人は、今回の動画や「東大現代文 攻略法」は「そうなんだ」程度の認識で構わないと思います。

その前にやることがあります。

現代文のベースになるのは、「語彙力」や「読む力」です。

 

今回の動画や「東大現代文 攻略法」の紹介動画は是非 視聴して下さい。

自分の目で見て、耳で聞けば、文字を読むのと違う受け止め方になるはずです。

 

 

紹介動画:宗慶二の国語チャンネル

■文章が先か? 設問が先か?■ 

 みなさんを悩ます現代文の重要な問題・質問に対して回答したいと思います。

 題して”文章が先か? 設問が先か?”問題。

 課題文が現代文は長い。

 長い文章をまず読んでから、問1・問2・問3・・・と設問に入るべきなのか? あるいは、設問を先に読んでから、どんな問題が出るのかをちゃんと頭の中に入れてから文章・課題文を読むのか? 

 どっちが先? 

 効率的な解き方とか正解があるのなら教えて欲しい・・・相当に悩ましくかつ繊細な質問で、内外たくさん聞いてきました。

 その度ごとに宗先生は、「確実にこれが良いんだ」ということを一言、これが正解だと言ってきました。今回もみんなに対して「これが良いよ」「これが効率的だよ」という答えを用意していますが、それでも今から言うことをよく聞いて下さい。

 最終的には個人差があります

 どうやった方が自分には合っている・・・自分にとって点数が出やすい・・・読みやすいというやり方が個々人で相当な違いがあるので、自分にとってベターなりベストなりの方法があれば、今から宗慶二がどう語ろうが自分にとってのベターなりベストな方法を追求して下さい。それが正解だと思います。 

 ただ、個人差があると言った上で、一般論としてどうしたら良いのかという話をします。

 一言 言います。絶対に文章です。課題文を読んで下さい。

 

 なぜかを説明します。

 まず、現代文の文章は何文字くらいあるのか? 課題文の分量を考え・考慮したことはありますか? 

 大体、イメージ 4000字前後だと言われています。 

 「そんなの大学によってまちまちじゃないか」もちろんそうです。2000字程度の大学もあれば、8000字とか9000字の文章を出す大学もありました。過去問の中には色々なものがあります。

 ただ、大体、イメージ 4000字くらい。

 例えば、みなさんが受ける共通テストだったら3500字くらいだと言われています。これも切りのいい字数ではないので・・・大体 それくらいとしか言いようがない。

 なぜかと言うと、「試験時間」なんですよ。制限試験時間が大体 大問1つにつき20分とか30分とかが一般的な設定です。

 20~30分でどれくらいの分量の文字数の課題文を用意して、いくつ設問を用意するのかというと、人間の当たり前に処理できる物量的問題があるから・・・あまりにもプレッシャーが重いものを出したら解ききれず点数差が生まれません。

 一方、あまりにも負担の軽い分量だったら、これまた時間的ゆとりがありすぎて、みんな解けてしまう。よく読んでよく解くとこができてしまう。

 だから、追い詰められながらもなんとかトレーニングした受験生なら最後の問題まで解ききれるかどうかというギリのところを狙うわけです。制限時間に対して現代文は、いつも急がされている教科だと言われています。

 そのときにどれくらいが適切かというと、およそ4000字くらい。

 私立大学は設問構造上、解くのにあまり時間がかかりません。選択肢問題だったり、漢字の問題だったり。キーワードを穴埋めする場合・・・少し迷うかも知れないが・・・それでもあまり時間はかからない。だから設問数が多い。問1~問6・7・8・9・10くらい・・・多いときは問17くらいまである。 

 一方、国公立大学の記述問題の場合は、1問を解くのに80字で書け、200字で書けと言われたら、その問題を処理するまでにかかる時間が選択肢問題よりも遙かに長い。だから問が15くらいまであったら、制限時間内に処理しきれない。だから、問が4とか5で打ち止めなのです。しかも、問1は漢字だったり。記述問題が多い大学もあるけど、それは制限時間が長くなったりします。

 結局 受験生がトレーニングした上で試験会場に向かい、処理できるギリの分量はどうなのかという視点でおよそ4000字くらいの字数になってくる。

 

 ところでこの話、4000字の文章を出したときに、4000字と言っても多論点型といって文章の中にいっぱい言いたいことがバラバラに散らばっているような文章を出すとあまり上手くない。

 大学入試現代文というのは主たる主張・・・言いたいことは、およそ1個で、この1つの結論に向かうために様々なロジックが組まれているような構造の文章を好んで出してくる傾向が一般的です。もちろん例外はあります。普通はそういう文章を選ぶ。

 それで、言いたいことが1個だと言うことは重要なことが起こります。言いたいことは大抵 この結論部分にまとまっています。全ての文脈がこの結論に行き着くために練り上げられ、こねくり回されて結論に行っているとしたら、この結論・・・主張をしっかり読み取れたらこの文章は読めたと言えるのかも知れない。

 ここで受験指導における誤解が生まれます。つまり、「言いたいことを掴め」「言いたいことを掴めば全ての問題が解けるのである」とね。そんな訳ないじゃないですか。だったら、どの問題も結局「結論」を聞いていることになります。全部一緒。言いたいことを掴めば・・・簡単ですけど・・・結論にまとまっているから・・・結論さえ掴めばどの問題もことごとく正解になる。

 逆に結論・主張を読み誤ったり・・・グリップ空振りしたら・・・どの問題も全部 間違えてしまうことになる。それは一か八かみたいな入試問題になってしまう。

 

 そこで出題者はどうするのか? 

 設問そのもの、問題そのもの重複性・・・被りをなくす。

 傍線部A、傍線部B、空欄C、傍線部D、傍線部E・・・こういう風に設問設定した場合、どの問題も聞いている文脈、ここ読めていますか?とチェックしている文脈は全部 被りがないようにしたい。 

 これは思い起こせば随分前にまります。宗先生が某大手予備校で模擬試験を作成するチームの作成委員だったとき・・・出した問題が”大阪大学模試”だった・・・ボツになりました。ボツになりましたが、まだ若かったため(今もめっちゃ若いんですが)、「何でボツなんですか?」・・・上の先生方に・・・様々な人間関係の摩擦を回避するために「初めて出したんです・・・勉強のために・・・なぜ、ぼくが提出した模擬試験がボツになったのか・・・一言アドバイス頂けませんか・・・次に活かしてもっと良い問題を作りたいと思います」という言い方で言いました。でも、心中穏やかでない中・・・「何でボツなんだよ」と思っているわけですよ。

 そうしたら、ひげを生やした偉い先生が言うんですよ・・・「宗先生。君が設定した冒頭の傍線部Aと文末の傍線部E、これは文章の頭と終わりで位置関係・・・場所は離れているが、突き詰めると結局 聞いていることは同じことだよ。この文章の主張を聞いていることになるから・・・同じ問題を2題作っていることになっているんだよ。そんな風に問題は作らない」と言われた。

 その瞬間ストンと腹の奥まで落ちました。「なるほど・・・そうか」と出題者は長い文章を1つ出すけど・・・煮たり・焼いたり・刺身にしたりで骨以外は全部おいしく食べる・・・それと同じです。

 課題文も余さず全部 色々なところを聞きたい。ちゃんと理解できているかを1本の文章で受験生に問いたい。

 ということは、被り・重なり・重複がない。 

 結論として大学の試験問題はこういう構造を・・・マニュアルとか特別なルールではない・・・必ず仕組みとしてそうならざるを得ない

 傍線部Aがあったら、これを理解するためにはその周辺を読めばいい。傍線部Bがあったら、その周辺の文脈が読めていれば答えが出る。空欄Dを空欄補充するためには、およそその前後を読めば答えが出る。傍線部Cを理解するには、その周辺を読めばわかる。

 スポットです・・・ピンスポットのライトを当てたみたいに傍線部の周囲の文脈が理解の基礎となって、これが解けるような構造になって行かざるを得ない。被りをなくすために・・・。

 もう少し言うと、どうすればこの重複性をきれいに切って、適正な問題文を作成できるのか、模擬試験を作る人間の種明かしをしてしまうと、文章の中に存在する「意味段落」に注目します

 「意味段落」・・・形式段落ではなく・・・1つの話題が連続しているカタマリにつき1本傍線を引くと、その傍線部の解釈は意味段落を飛び越えては作用しにくいです。次の意味段落でもう1本。さらに次の意味段落でもう1本。最後の意味段落で1本。4000字の文章だと800字~1000字で1つですから、設問数でいうと5題か6題きれいに取ってくれる。文章の性格にもよりますが・・・。そうするとちょうどいい問題数になる。あと接続詞の空欄、あと漢字の問題。

 あと何をするのかというと意味段落と意味段落の間に隙間が空いているので・・・聞いていないところがあるのがわかりますか?・・・文章の冒頭部分に聞いていない細かい隙間があり、それらが空白として取り残されている。内容合致問題はここから作るのです。

 どこも余さず全部使う。

 で、で、これで最後ですが・・・こういう問題文を作ったときに・・・結論としてどうなるのかというと・・・めちゃくちゃ重要なのですが1か所取り残しが残ってしまう。

 何かと言うと、課題文をこういう風にピンスポットで細切れに切っていますから、文章全体のもっとダイナミックな言いたいことの論旨の流れ・・・この巨大な流れの取り残しが残るこれが最後の記述問題になったりします。「この文章を読んで全体の論旨を踏まえて筆者の言いたいことをまとめなさい」とか、あの手の問題はそうやって作っています。

 つまり何が言いたいのかと言うと・・・現代文の問題の文章は、ものすごく細かい文脈を見ていれば答えが出てしまうということです。

 

 ということは、結局どうするのかと言うと、傍線部Aに出会うまでは文章を読みます。傍線部Aに出会ったら傍線部Aにまつわる例えば”問3”なら・・・”問3”へと視線はアプローチする。”問3”を読んだら戻ってきて傍線部A 以後を読む。そうすると傍線部Aに関する意味段落のカタマリを全部 読解終えて”問3”が解ける。  

 結局 文章を読みながら”問”に入り、設問からまた文章に戻てとして・・・いちいち切って”問”と文章を目が往復しながら解いていくということになります。これがどれだけややこしく見えても、実際 現場では最も効率的で、むしろ逆にシンプルな方法です。

 文章の最後まで読んでしまいたいという人も世の中にはいますが、それはそれで構いません。文章全体の有機的なダイナミックな全体の理解がちゃんとできた上での方が・・・細かいところの解釈がブレないと思っている人はそうして下さい。

 ただ、大学入試現代文の仕組みや構造がそうなってないから、実はそれをやる必要がほとんどない。

 最後まで読んでしまいたいという人の多くは、途中で切ったらそこまで読んだ文章を忘れると言うんですよ。

 本当ですか? 本当にそれが起こる? 設問を見てどんな問題か選択肢なんか見ないよ。問題を読むだけですよ。何秒かかるのそれ。かかったとして1分そこらでしょ。1分間だけ別のところを見て戻ったら、もうここの文脈をもし忘れているとしたら・・・それは申し訳ないけど読めてないんです全く・・・いわゆるわからないけどとにかく目が字面を滑っていて・・・キーワードかなと思うとチェックして・・・意味なんてわからないけど時間ないしなって・・・目が滑っているだけなんですよ。

 だから、ちょっとよそを見た瞬間にもうわからないという気分になっている。それは、よそ見するまえからもう読めてない・・・わかっていない。

 なんで現代文の文章だけ忘れた気分になっているの? それは読めていないから・・・難しいから・・・記憶の中にすっと保持できないんですよ。複雑で・・・難しいものはわかってないから記憶に残さない。わかりやすく自分にとって馴染み深いものは記憶に残りやすい。

 だから、途中で切って忘れることを憂いている人はもっと前の段階で・・・語彙力だとか・・・文章を読む力だとか・・・もうそこがすでに不足していると考えた方がいい。

 結論・・・最後まで読むんだったら読んでもいいです。それは趣味の問題だから・・・だけど、途中で切った方がその後に出てくる類似論点との錯乱と混同が防げるので・・・むしろ良いんです。

 

 結論として設問を読むよりも文章を読んで・・・途中で設問に入りまた文章に戻る。途中で設問・文章・設問・文章・・・だって解くとき結局 みんなそれをやっている。

 最後まで文章を読んだ人は、問題を読んで傍線部に戻ってまた文章を読んでいる。傍線部の周囲を見て、また選択肢に戻って・・・合っているかどうかわからないのでまた文章に戻って・・・。

 結局 みんな誰もが視線を一発で解けるような安直な問題以外は・・・みんな視線を行きつ戻りつやっている。

 だったらもうそっち側のやり方に完全に振り切って、読みながら解く・読みながら解くの順序で解いて下さい。これが正解。

 

 で、最後に一つだけ。「設問が先か?」という質問がよくくる理由は・・・これの方がいいと説明する参考書とか・・・先生だとかがいらっしゃるから・・・。もちろんその先生方にはそれないの持論と方法論があり・・・売っていると思います。

 ただ、選択肢を最初に全部検討して論理的に分析したら答えが出るというのは・・・信じられないことを説明する先生が何人かいらっしゃって・・・申し訳ないが塾・予備校は生徒に対して魅力的な授業であるかどうかはめちゃくちゃ重要なんですよ。ある種の本当に厳しい言い方をしますけど・・・ある種の予備校ビジネスとしての見せ方の一環として・・・「お前ら文章を先に読んでいるのか・・・確かに課題文を読んだ後に問に答えよって書いてあるけど・・・その順序を逆転させた方が実はいいんだぞ」って言ったら「えぇー先生、そんなやり方があるんですか?」ってこう生徒が授業に対して前のめりになりやすい・・・トリッキーで・・・魔法みたいな方法だから。「僕ら知らなかった・・・スゴい方法だ・・・」って・・・。

 本物は常にもっと地味です・・・もっと地味です。

 これだけわかっていたら全部解けるとか・・・論理さえ読み解いたら全て魔法のように解けるとか・・・中身はなんですか? ・・・わからない・・・結論だけ捉えたら答え全部取れるとか・・・そんな問題どこにあるの? 持って来てよ・・・1題もないです。

 実際 そうなるべくしてなっている。

 

 答えとしてはこうやって途中で止めて下さい。

 「文章が先か? 設問が先か?」ですよ。

 答えとして言いたいことは「設問が先か?」なんてありえない。最初から議論の蚊帳の外です。

 「文章が先か?」なんですよ。課題文は読むが・・・最後まで読むのか? 途中で切りながら読んでいくのか? のところにはいくつか趣味における議論の分かれがあると思うけど・・・ここは自由だと考えて下さい。

 本当にちゃんと読んで・・・本当に現場で試験時間中に処理できて・・・本当に点数を取って・・・本気で受かってもらいたいから・・・多少 地味な話だったかも知れないけど、これを今 みんなに伝えたかったという話でした。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

 

宗慶二の国語チャンネル:最も”効率的な”入試現代文の解き方【カリスマ予備校講師が伝授】(2023/7/12)(18:52)