以前紹介した「CASTDICEの参考書ルートで起こりやすいトラブルとその解決法」では参考書ルートの流れの中でのトラブルについてでしたが、今回は個別参考書でのトラブル・注意点についてです。
1つ目が『システム英単語』ですが、これは英単語帳全般に言えることだと思います。「英単語」の覚え方は、書かない(読む・ブツブツ)、一語一訳、瞬時に(1秒)、・・・が定番となっています。 どの・誰の「英単語」の覚え方を見ても大体同じです。
「野島博之先生 × すずゆう先生」の中で野島先生が「記憶」するとはどういうことかを考える必要があると言ってます。
英単語1つの覚え方、英単語2つの覚え方、英単語5つの覚え方(1ページ分)、英単語10個の覚え方(見開き)・・・
また、野島先生は最初はふわ~っといけばいい。 少々わからないことがあろうが、こんなもんかなぁと思って進んでいく。 そしてまたやる。 そしてまたやる、というのがすごく大切。
「武田塾」の「4日2日ペース」で1日100語覚えると1週間で400語になります。 『シス単』だと3週間で1200語(1章・2章)が覚えられる計算になります。
普通はこれで1周とカウントします。 そして、これで全てを覚えきっている人はほぼいないのではないかと思います。 覚えていない英単語を探し出し、何度も繰り返して覚えます。
最終的には1章10分程度で回せるようになります。 1章2章だけなら1日あるいは2日で1周します。 1回の勉強時間が10分になると隙間時間での勉強も可能となります。
一語一訳で終わりではありません。 ニ訳三訳目や派生語、熟語なども覚えていきます。 これまでに紹介した「英語の勉強に関する悩み」や「英語長文が読めないとき」に「英語長文」に入り覚えた単語の意味を当てはめても文の意味が分からない、上手く訳せないという問題が発生します。 一語一訳で終わっているからです。
「英文法」や「英文解釈」や「英語長文」また、学校で分からない単語が出てきたら、まずは英単語帳に載っているか確認します。 出会いが多い方が意味を覚え易くなります。 英単語の使い方も覚えます。
「武田塾」や「マナビズム」では『シス単』の1章・2章が終われば「英熟語」に入ります。 「英熟語」に入っても「英単語」(これまでに覚えたところ)は回し続けます。
”英単語帳”1冊が受験勉強の原点です。
2つ目が『英文法 ポラリス』シリーズです。
「CASTDICE」では参考書扱いですが、ぼくはどうしても問題集としか思えません。 それは関先生がそう言っているからというのもありますが文法問題を解くことに主眼が置かれているからです。
問題集なのでインプットあってのアウトプットになります。 ”英文法問題”のための問題集です。
共通テストレベルや日東駒専レベル、MARCHレベルなどレベルごとに必要な知識を確認するものです。
各UNITの最初にある解説も必要なものがよくまとまっていると思います。 まとまっていると言うことは元になるまとまる前の知識があるはずです。
『大岩』や『肘井のゼロから英文法』や「ただよび 基礎英文法講座(もりてつ先生)」などの基礎知識のインプットは必要になります。 これらのものだけでは『NextStage』は対応できないと思います。
当然『1』あっての『2』になります。 『2』の解説が『1』でやっているのなら省略されるのも無理のない話です。
必要なレベルに合わせて『1』だけ、『1』と『2』だけのように積み重ねて勉強していきます。
3つ目が『英文解釈の技術』シリーズです。
まず、「英文解釈」が何かを理解していないと有効な勉強になりません。
一文の文構造を分析・解釈・判別する技術の習得です。
文の構造通りに日本語訳(直訳)する練習・トレーニングです。
SVOC や修飾・被修飾の関係を「英文法」の知識を駆使して分析・解釈・判別します。
頭では分かっているつもりでも実際にやってみるとこなすだけの勉強になってしまいます。
これまでにも「英文解釈」のブログに書いてきましたが、解説は全て簡単な「英文法」と日本でされていあます。 解説に書いてあることは分かります。 これで分かったつもり、できたつもりになると「英語長文」に入っても上手く英文が読めないと思います。 英文(一文)の文構造ではなく、何となく英単語をつなぎ合わせての日本語訳になってしまうのではないかと思います。
特に『肘井の読解のための英文法』は簡単な英単語とシンプルな英文なので非常に分かりやすいです。
ただし、それは例文が理解できたのか、日本語と簡単な「英文法」で書かれている解説が分かったのかにより大きな違いがあります。
それを解消するためにも付属の音声を利用した「音読」をお薦めします。 息継ぎをする英文のカタマリや返り読みしない直読直解を意識した「音読」です。
「英文解釈」はおそらくみんなが思っている以上にシンプルです。 そして、「読解英文法」も同様にシンプルです。 覚えるというより”概念”です。
「ただよび 基礎英文法講座(もりてつ先生)」の当初は「英文法」の講座だと思っていましたが、「英文解釈」の講座のようにも感じるようになりました。
「英文読解 入門 基本はここだ」のYouTube授業動画も「英文解釈」というものが分かってくると吸収が早くなります。
SVOC や( )、< >、[ ]などカッコの構造です。 非常に抽象的です。 この上に英単語が乗っています。
「英文解釈」が分かってくると「読解英文法」というものが理解できます。
どちらも非常にシンプルです。
「英単語」の進捗状況が一番の心配事となります。
4つ目が『現代文キーワード読解』です。
「現代文」は「読み方」と「解き方」です。
今回の動画でコバショーさんが言うように「現代文」の難易度は傍線の引き方と問い方で決まります。
だから、どんな文章であっても読めるよう「読み方」は重要になります。
『現代文キーワード読解』の使い方は「武田塾」の中森塾長や「マナビズム」では”キーワード”を覚えるというより”要約”対策として演習や「過去問」に入ってから使います。
ぼくもそのように使いました。 特に国公立大の記述では必要な能力です。
少し前に東大の記述は意味段落の”要約”が小問も解答になるという動画を紹介しました。
同様に東大以外の記述問題でも大体この辺に答えが書いてあるというのは分かりますが、それをどうまとめて、”要約”して記述するかが勝負になります。その”要約”に右ページの”入試でキーワードをチェック”がちょうどいいのです。
”要約”を書かなくても文章の右側にシャープペンで線を引いていきました。 下にある”要約”と見比べ”読解のポイント”読みます。
これが非常にいい演習になります。 5分程度の隙間時間でできます。 そして何度も”精読”します。
この”要約”の練習にもってこいの一冊が『現代文キーワード読解』になります。
そして各章の最初にあるテーマの背景知識も役立ちます。 これらも最初に勉強するというより、ある程度問題を解いてから(問題文を読んでから)読んだほうがいいと思います。
5つ目が『船口のゼロから読み解く最強の現代文』です。
良書で分かりやすい解説ですが最初にやったときは全体像が分かりずらく腑に落ちない部分もありました。
「現代文」は『ゼロから覚醒』のような「現代文」とは?から始まる入門書のようなものも効果的な1冊だと思います。 ただ、『ゼロから覚醒』だけでは文章を読めるようにも、問題が解けるようにもなりません。
読む練習、解く練習が必要です。
「現代文」も「英語」も文章を読まなければなりません。
「現代文」が苦手な人、分からない人が参考書(文章を読んで)学習するという矛盾に向かい合うことになります。
6つ目が『富井の古典文法をはじめからていねいに』です。
「英語」も「古文」も「漢文」も”音”を利用した勉強が重要だと思っています。
”音”と言っても、まずは授業動画のことです。
語彙が読めなければ覚えることができません。
上記の「英単語」も読めないと覚えられません。 「中学英語」の頃から声に出す練習が重要です。
「CASTDICE」も最近は困ると「スタディサプリ」を薦めています。
参考書学習できるレベルまで引き上げる必要があります。
「古文文法」も最初は”動詞”、”形容詞”、”形容動詞”、”助動詞”の活用から始まります。
まずはここを乗り越えることが初学者には難しいのではないかと思っています。 特に”助動詞”。
これまでにも何度も紹介してきた「ただよび 吉野先生」が”覚える”とはどういうことかを教えてくれます。
本当にこんな勉強法があるのかと驚きました。
- CASTDICE参考書ルートでつまづきやすいポイントを語る -
少し前にナカハシさんと参考書ルートの注意点について解説した。
そのときは勉強の仕方や「先取り」ができない人のフォローが目的でした。
今回は、具体的な参考書の使いにくさ等を解説します。
テーマは似ているが話す内容は違います。
[英語]
『システム英単語』
① 情報量が多すぎる
→ 『シス単』の特徴は「1つの単語につき多くの意味を覚えよう」というもの
→ ex. 赤字の意味が複数ある
→ ex. ミニマルフレーズ
→ ex. 派生語
→ ex. 最終章に多義語がまとめられている
→ 初心者が一からコツコツ覚えていると挫折しやすいかもしれない
→ ”ミニマルフレーズ”は人を選ぶ・合わない人がいる
→ ”例文”ではなく”フレーズ”
→ 例文で覚えたい人や文法が苦手な人は合わないかもしれない
優 : 一語一訳に留まらず複数の意味を覚えたい人には効果的
→ 『ターゲット』は一語一訳が中心になっている
→ 難関大を目指している人は積極的に使って欲しい
優 : 最終章の多義語は(3章、4章よりも)よく出るし、”ジャンル別英単語”もよく出る
② レイアウトがやや見づらい → (コバショーさん) 分かる
→ 1ページに書かれている情報量が多いためゴチャゴチャしている
→ 文字も小さい
→ 他の単語帳に比べて見づらいとの声もある
→ コバショーさんも高校生の頃は見にくさを感じていた
→ いまはそうでもない
→ 合わなければ『ターゲット』などに変えてみる
『英文法 ポラリス』シリーズ
① 網羅性が低い → 『NextStage』や『Vintage』と比べると
→ 『1』~『3』までをやればその説明はされている
→ 受験生は『1』しかやらない
→ 問題集ではない → 解説 + 問題集
入試改革が行われ英文法(問題)の重要性が低下
→ だから『NextStage』に手を出すのも違う
② 1冊だけだと手薄になりやすい
→ 順番が独特(?)
→ 中学レベルが怪しい人が『1』からやるのにも向いていない
→ 『2』は文法事項の説明の省略が増えてくる → 演習の側面が強くなる
→ 『2』は『1』で文法知識を身につけた人がやる参考書
ハイレベルな人は『2』から始めてもよい
『1』であっても土台がある人がやる参考書
→ 中学英語のドリルをやっても7~8割しか正解しない人がやっても厳しい
基礎から勉強が必要な人は「中学英語」や『大岩先生』、「スタディサプリ」の活用などを行う
『英文解釈の技術』シリーズ
① 解答が意訳され過ぎ
→ 文を節(カタマリ・役割)に分けて直訳していくのが理想的な勉強法
→ 主語がなかったり、別の日本語に置き換えられたりしている → やり過ぎ
→ 模範解答とは別に解説の中に直訳したものがあるのでそちらを参考にした方がいい
→ だからコバショーさんは問題視していない
② 単語のレベルが高い
→ 使用している単語のレベルがこの参考書を使う人のレベルからすると難しすぎる
→ 『シス単』の3章・4章レベル或いは掲載されていない単語
→ 実際の入試問題から引用している
そもそも『英文解釈の技術』シリーズはレベルが高い
→ 『無印』は限られた人だけやるレベル
→ 多くの人は『入門』か『基礎 100』のどちらかをやっておけばよい
いきなり「構文」をやろうとしても「文法」が固まっていないとキツイ
→ 『肘井の読解のための英文法』など自分のレベルに合ったものを選ぶ
[国語]
『現代文キーワード読解』
① レベル別に分かれていない
→ これ1冊で共通テストレベルから東大・京大レベルまで幅広いレベルで対応可能
→ 収録されている語彙はテーマ別に分かれていてレベル別ではない
→ レベル別ではないので”この語彙”がどれくらい重要なのか・どれくらいのレベルなのかが分からない
(コバショーさん) 受験生はそう思いがちだが全部必要
→ 東大に出る文章が難しくて、共通テストの文章が簡単な訳ではない
→ 「国語」の難しさは傍線部の引き方と問い方・質問の仕方
→ 共通テストの文章も難しい
→ キーワードは全てやっておかないといけない → 受験生はそうは思えない
② 初学者には向いていない
→ 用語の説明が固い → イメージ図がある訳でもない
→ 用語の意味を覚えるというより例文と一緒に使い方を学ぶ側面が強い
→ 中学で読解を頑張ってきた人が使う参考書
向いていない人は『現代文読解のテーマとキーワード』、『読み解くための現代文単語』などを使ってもよい
やさしめの「キーワード集」や「漢字集」にもキーワードがまとめられていたりする
『船口のゼロから読み解く最強の現代文』
① これだけだと演習量が足りない
→ 厚いが問題数は少なく解説がメインの参考書
→ 『アクセス』などのアウトプット教材も一緒にやった方がよい
→ 解説が分かりやすい分、それだけで分かったつもりになりやすい
(コバショーさん) これは演習教材ではない
『富井の古典文法をはじめからていねいに』
① 初学者向けとしての色合いが強い
→ 解説が長くて演習量が少ない
→ 解説の表現も初学者や古文が好きでない人向けに口語的
→ 古文に慣れてくると少し面倒に感じやすい
② 誤植が多い → 改訂版が出たが未確認
(コバショーさん) 『富井先生』はゼロの人ができるかと言えば意外とできない
→ 本当にゼロの人は「スタディサプリ」とかを見るしかない
→ 『マドンナ古文』の方がいいという人もいる
→ 「CASTDICE」のルートの『富井』が最初の最初ではない
[社会]
『荒巻の新世界史の見取り図 上・中・下』
① 細かい知識を取り入れるのには向いていない
→ この参考書は「世界史」を多方面、広い視野で見ることを目指している
→ 細かい知識を身につけていくという参考書ではない
→ 教科書には書いていない重要な情報もある
→ 年号は書いてあるが年表がない
→ 国公立大志望者向け
(コバショーさん) 「CASTDICE」の参考書ルートでは「教科書」と「資料集」を開いて『荒巻先生』を読んでいく → 3点セット
→ 『荒巻先生』単独でやると迷子になる可能性がある
→ 「山川」を前提とした使い方
『詳説 世界史 B』 / 『詳説 日本史 B』
① 初学者にはややハードルが高い
→ 量が膨大
→ 説明が端的
→ 時代や地域が飛びがち
→ 「教科書」1冊で流れを理解するのは難しい
(コバショーさん) 特に「世界史」は”時代”と”地域”の2軸だから難しいかも・・・
ある程度基礎的な参考書(ex. 『スピードマスター』)などで流れや基礎知識をある程度理解してから取り組んだ方がいい
(コバショーさん) これを説明的に聞こうとしたら『実況中継』のように分厚くなる
→ 「日本史」であれば野島先生の『ガイドブック』+「教科書」+「資料集」
→ 「世界史」であれば『荒巻先生』+「教科書」+「資料集」
→ 3点セット → 1つのもので勉強するのは難しい
『標準問題精講』 / 『実力をつける 100題』
レベルで合わない → 過剰な問題集になりやすい
→ 『ヒストリア』から進める
「CASTDICE」の参考書ルートに入っている参考書の躓きやすいポイント・注意点と代わりの勉強について紹介。
「CASTDICE」の参考書ルートが絶対ということではないので、自分に合った参考書で勉強することが重要。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
CASTDICE :CASTDICEルートの参考書のつまづきポイントと代替学習法を語る! (2022/06/09)(14:19)