これまでに4人の灘高校の卒業生を紹介してきました。
弁護士の井上先生(東大理Ⅰ)、お笑い芸人”あかもん”の澤井さん(東大文Ⅰ)、東大理Ⅲ落ちから千葉大医に進学した加藤先生、そして大分大教育学部付属中学校から灘高校に進学し現役で東大理Ⅲに合格した田嶋先生です。
今日紹介するのはYouTuberの”ベテランち”さんです。
灘高卒のYouTuberは結構な人数いますがベテランちさんのYouTubeチャンネル「ベテランち」は登録者数が11万人を超す(2021年11月18日現在)人気YouTuberです。
普段は「イキり」が特徴ですが、今回の「PASSLABO」はゲスト出演のためか真面目で大人しめな動画となっています。
他の動画と多少齟齬があるかもしれませんが、大学受験までの経歴も一気通貫で掴めます。
「ベテランち」のベテランちさんとは違ったベテランちさんです。
- 東大理Ⅲ合格までの受験のリアル -
[幼稚園時代](1:40~)
出身は奈良です。 長男で弟が1人います。 親は普通のサラリーマンです。
医者の伯父さんがいたり、従兄弟が医学部に通っていました。
発育は遅れていたようですが、生後1年にならないうちに言葉を喋るようになっていました。
幼稚園は私立ではあるが家の近くの幼稚園です。
字を覚えるのが早く、幼稚園の頃には月刊誌「小学2年生」を読んでいたそうです。
[小学生時代](6:35~)
普通の公立小学校に通っていました。
好奇心旺盛で本はよく読んでいました。
塾は「浜学園」に通っていました。 元々地元の塾に通っていましたが潰れたので「浜学園」になりました。
最初から灘や東大寺とかに行きたいということはありませんでした。
通っていた小学校で灘中を目指す子供はいません。
1学年60人くらいで中学受験をするのが5~6人です。 地元の中堅私立中に進学します。
小学生時代は”神童”でもあり”問題児”でもありました。
「浜学園」には小学2年生から通っていましたが”飛び級”で1つ上の学年の授業を受けていたそうです。
飛び級している子供は1学年10~15人くらいです。
小2は週1日、小3から週3~4日の塾通いです。
子供心に「だるいなぁ」と思っていたけど、やらされているという感じでした。
勉強は塾の授業と自習時間は集中していました、家ではダラダラしていました。
本好きのせいか「国語」はあまり勉強しなくてもずっと出来ていました。
「理科」と「算数」は”飛び級”しているから、必死ではないが要領もある程度いいからそこそでできていた。
「国語」が”A”で残りが”B”で合格点になっていた。
「浜学園」で”飛び級”している人の上位半分くらいが灘でもトップ層となり現役で理Ⅲに合格していく。
親も教育ママで子供も天才型。 ベテランちさんは”飛び級”しているから余裕があるタイプ。
[灘中時代](11:20~)
灘中に合格したのが最初の成功体験となる。
中学いっぱいは全く勉強しなかった。 中学高校でサボった間も「まあまあ出来るでしょう」という感じだった。
中学時代は180人中150番くらいを平気で取っていた。
[灘高時代](12:40~)
高校くらいから親が塾に行くよう言い始めた。
中1のときに「鉄緑会」に入っていたが辞めている。 中3から「研伸館」に入塾していたが勉強はせず。
「英語」だけ学年平均くらいは取れていた。 「数学」は120番~140番くらい。 他はノー勉。
受験を決意する高3の5月までは全く何もせず。 高校受験がないので1回だらけだすと戻るタイミングが無い。
高1からクイズ研究会に入って活動(勉強)。 クイズ大会の勉強は行っていた。
やらされるのが好きではない。 強制されると億劫になる。
クイズをやっていること自体、勉強して頭を働かせることは好きだったと思う。
高3になってからは大学受験1本に絞っていた。 5月の文化祭が終わり本腰を入れた受験勉強を開始する。
東大理Ⅲを目指す人は高2の12~1月に始めている。
理Ⅲを目指したのは高3の5月ちょっと前。 高2の1月・2月のセンター同日模試、東大同日模試を受けた頃に「東大志望にしよう」と決めた。
理Ⅰや文転も考えた。 東京にも行きたかった。 親から理Ⅲに行くならひとり暮らしをさせてやる、それ以外なら家から通える大学に行くよう言われる。
東大同日は合計153点。 「英語」が75点。 「国語」が30点。 「理科」と「数学」がほぼ0点
「理科」が何を言っているのか分からない状態だったので、とにかく「理科」を1周しなければと思い、5月に「物理のエッセンス」から始める。 灘では「物理」の範囲が高3の5月頃に終わる。
中学入試の頃から授業を聞いて教えられるのが好きではなく自分のペースの方が速い。
「化学」は学校で配られていた書き込み式のノート(レッツトライノート有機)から始める。
灘では東大理Ⅰを受験する層には高3から独学で始めて受かる人がいる。
Q : 戦略、情報はどこで得たのか?
同日が非常に悪かったので”自分の最短距離で理Ⅲの合格点を取らないと”絶対合格しないと思っていた。
東進などの塾から出ている合格体験記を読みあさる。
合格点が280~300点。 自分に当てはめて「英語」:90点、「国語」:40点、「数学」:70点、・・・。 皮算用。
参考書も調べて計画を立てた。 計画はしっかり立てた。
(正解不正解は分からないけど、自分は正解だと思って突き進む)
基本となる定番は守りながら自分の得手不得手や残り時間などを意識して可能性が高まるように計画は立てた。
自分がどういう状態にあって、どれぐらいの位置にいるのかという確認がすごく出来ていた。
動画では「勉強時間が少なく1日6時間くらいしかやっていない」という話をしているが、少ないなりに効率良く勉強出来ていた。
(受験で大事なのは自分で考えて戦略を立ててというプロセスだと思っている)
ベテランちさんの場合は理Ⅲを受験する仲間がたくさんいて、同じくらいの成績から「理Ⅲを目指す」と言っている友達は無茶苦茶リサーチしていて参考書とか良く知っていた。 彼は現役で慶応大医に行った。
灘でなかったら理Ⅲに合格していない。
Q : 理Ⅲの判定はどうだった?
現役の時は全部”D判定”。 理Ⅱや理Ⅰなら”A判定”。
Q : 理Ⅰに変更しようとは思わなかった?
理Ⅲじゃないと東京に行けないと言われていたので・・・。
浪人して受かったので良かったですが・・・。
Q : 東大理Ⅰ”A判定”取れるレベルというのがすごい。 現役の時の”センター”と”2次”の点数は?
判定は”D”でしたが過去問でそれなりに点が取れるようになっていた。
”2次”が6点差。 ”センター”が842点(93.5%)。
Q : 本番を意識してとかあるんですか?
性格的なもしれませんがあまり緊張しない。 プレッシャーには強い。
センター模試でも800点いかないくらいだった。 2次もほぼ自己ベスト。
現役生にとっては模試よりも過去問の方が簡単。 素直な問題。
正しく勉強できていれば、模試では成績が出ていなくても本番仕様の問題だと結構取れる。
Q : (結果が分かる前の)受けた感触ではどうでした?
受ける前は五分五分と思っていた(自分を奮い立たせる部分もあった)。
受けた手応えは五分五分。 2次が280点だった。 286点だったら受かっていた。
[駿台(浪人)時代](28:20~)
Q : 駿台四天王時代。 6点落ちなのでゴリゴリやる?
4月は漢字のテキストをやっていた。 しかし結局夏までだらけていた。
理Ⅲや京医志望だと本番を失敗すると落ちるから、浪人しても真剣にやらないとダメだが、灘卒の浪人生は理Ⅰや文Ⅱ志望だったので最悪遊んでもなんとかなるので一緒にだらけていた。
Q : 火がついたのは夏?
夏期講習が始まるくらいから
Q : きっかけは? 浪人の目標はあった?
浪人したときは余裕で合格できるように合格体験記を見て、一つ下の仲の良い理Ⅲ志望の後輩と「一緒に受かろう」と計画を立てた。
「余裕で受かりたいな」というのがあったので、「英語」と「理科」がそこそこ仕上がっていて「数学」があまり仕上がってなくて落ちたので「数学」を得意にしようというのがあった。 (現役時2次「数学」は70点くらい)
夏休みくらいから「数学」の夏期講習が始まったので真剣にやり始めた。
夏期講習は駿台で「数学」だけ3つ取って、河合塾でも「数学」を取って合計6つしか取らなかった。
当時、”仕上げる”という言葉にハマっていて”仕上げる”論者だった。
同じ実力でも仕上がっているかどうかで全然違うと思っていて、直前にどれくらい実践演習を積んで調子が上がっているかみたいな。
現役時も直前期に演習の講習を「研伸館」で受けていたが、「鉄緑会」でも同じ仕組みの講習をわざわざ受けていた。 塾生でなくても受講できるという情報を聞きつけて申し込んだ。
家で過去問を解いているより塾の新しい問題で集中したやった方が絶対に仕上がる。
最短で行けるように、どういうのが自分に一番合っているか・好きかというのを調べて・・・。
自分の人生を自分を満足のいくものにしたいという思いが強い。
嫌なことはしたくないし、「こういう風な自分になりたい」というのが強い。
夏以降は1日5~6時間はやっていた。
Q : 1浪時のセンターと2次は?
センターが845点(93.8%)、2次は320~330点くらい?
YouTubeもクイズも短歌も全部同じやり方でやっている。 クイズが最初にできたのが大きかった。
クイズはすごく強い人でも大して優秀そうではない。 しゃべっても頭が良さそうではない。
なぜ強いかと言うと良い環境で強い仲間と一緒に勉強して良い教材を与えられて取り組んでいれば強くなれる。
(才能ではなく”環境と努力”)
それがあったので理Ⅲも周りは学校の先生にも「止めとけ」、「受かるわけない」と言われたのですが「自分は行きたいし、行けるはずだ」と思っていた。
[受験生に向けて](37:20~)
Q : 受験生に向けて「これは」というのはありますか?
最終的には自分がどうしたいのかだと思っていて周りに合わせる必要はない。
「自分が本当にここの大学に行ってこういう人間になりたい」というのがあるのなら勝手に自分の手が動くのが付いてくる。
自分がどうしたいのかがちゃんと自分で分かっていれば後から付いてくる思うし、もしそれが分からないけどなんとなく勉強するとしても「分からないなりに勉強を何となくするぞ!」という決意を持っていればできる。
自分がカッコイイと思うかとか、自分が嬉しいと思うかが一番大事なので受かりたければやってください。
(正にそれがあれば地方でもできると思う)
(地方ではそれが”無理”から入る。 浪人が前提であったり)
(そこを「いや、自分なら!」とかモチベーションの源泉が自分の中にあれば確かに手が勝手に動く)
環境の差で大事なのは”情報の差”というのがあって、そこはすごく得してきたと思う。
それよりも”目線の高さの差”がすごくあると思っている。
目標を自分で勝手に下げない。 正しく目標を高く持てるのはやっぱり自分のハートかなと思う。
食いつくというかしがみ付くのは大事。
超進学校あるあるですが、全く勉強していなくても本格的に受験勉強を始めると、高3の模試で東大理Ⅰが”A判定”が取れるのが不思議です・笑。
高2まででも5年間 学校に通っています。 定期テストを受けているので全く勉強していないことはないと思います。 また、多くの人が塾に通っています。 本格的に勉強しなくても学校でも塾でも講義が耳に入ってきているはずです。
これまでの動画(ブログ)を参考にすると「自分のことが分かっている」ということが重要です。
そして人の成功体験から学んでいます。 真似をするのではなく、参考にしながら自分用に焼き直しています。
受験勉強を始める前のリサーチ・計画立案をきちんとやっています。
次に何をすればいいのか考える必要がないくらい同時並行で色々とやったのだと思いますが、そういった細部は伝わってきません。 そういった情報が重要ですが・・・。
ベテランちさんの話でも東大は過去問と東大模試の違いが指摘されています。 問題集や模試も大切ですが志望大の過去問が一番重要です。
また、超進学校に関しては環境の違いがよく指摘され”情報量”に目が行きがちですが、”目線の高さ”というのは重要な点です。 当たり前の水準が違うのです。
そしてみんな難関な受験を突破しているので「やればできる」という自負もあるのだと思います。
現役の高3生のブーストは恐るべきです。 東大理Ⅰは”A判定”です。
現役時もセンターは93%超えです。 一方、浪人してもセンターは横ばいです。
1浪人して2次を40~50点伸ばしています。
高2の2月時点では東大模試で「数学」がほぼゼロとのことですが、1年間でどう勉強したのかの詳細はよくわかりません。 また浪人時代も夏以降は「数学」に特化したようですがここでの勉強もよくわかりません。
桜蔭の彼女もベテランちさんも子供の頃から本を良く読み「国語」が得意だったそうです。 一方、東海高君は本は全く読まず漢字も書けませんでしたが2次「国語」で58点です。
「国語」に関しては本を読むのがプラスになるようですが、努力でカバーできることもあるようです。
いずれにしても東大理Ⅲを目指した段階で、まず志望大について研究し得点プランをイメージしています。
宇佐美さんが言っていた「才能ではなく環境と努力」というのが印象に残っています。
「環境」が揃うのは大都市圏や一部の中高一貫校だけでしょう。
そうすると「努力」するしかありません。
正しい「努力」をするための「情報」が重要になります。
これまで紹介した動画と合わせて大学受験をイメージしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
PASSLABO :【ベテランち】灘卒→東大理3合格までの”壮絶すぎる全軌跡”(小学生~浪人時代)(2021/11/03)(41:58)