ベリンガムで、ババジの生まれ変わりであるスリ・シュワミ・ヴィシュワナンダからダルシャンを受けたストーリーを書かせていただきましたが、その文章を読んでくれた親友から、「で、実際にバクティマルガの本部へは行ったの?」という質問がありましたので、その時のお話も書かせていただきます。特に何が起こったという旅ではありませんでしたが、これから行こうかなと思われている方々の参考になればと思います。

 

 因みに、僕はバクティマルガの回し者でも、信者でも、なんでもありませんし、逆に、バクティマルガの教えを冒涜するみたいな気持ちも一切ございません。ただの普通のスピ人間の旅の紀行文として読まれてください。

 

 イェシュア(イエス)が出現したカナダのロンドンへの旅の延長として、大西洋を越えてやってきたドイツのフランクフルトは、ま、予想した通りのよくあるドイツっぽい街並みでした。殊に何があるという街でもありませんでしたが、ま、少なくとも、「世界の果てまで行ってQ」でみた「カリー・ブリュスト」(ソーセージにカレー粉を塗した感じのもの)が食べられてよかったです(笑)。ドイツ人は、第2言語としての英語が世界で一番上手な民族なので、ドイツ語がわからない情けない自分はさておき、どこに行っても英語で会話ができてラッキーでした。

 

 

 バクティマルガは山の中にあるので、まずは一番近い大都市のフランクフルトに降りたったわけです。このフランクフルトからレンタカーをしてもよかったのかもしれませんが、こういう大きな都市で車を乗り回すのが苦手で、しかもアウトバーンを走行する自信もありませんでした。エネルギーチャネラーなので、携帯やらラップトップやら、あらゆるメカをすぐに壊してしまう僕ですので、必然的に自動車というものも超苦手分野なのです。

 

 一旦タクシーで郊外にあるヴィースバーデンというスパとかで有名な街にまず移動し、そこで数泊しました。そして、この閑静な住宅街的な町でレンタカーを借りて、そこから山の中にあるバクティマルガに向かうという、ちょっと面倒臭いプランにしました。

 

 因みに、ヴィースバーデンは、素敵な街でしたが、波瀾万丈の人生を選びがちなシリウス人の僕にはちょっと物足りない、へ長調な波動の街でした。

 

 

 ホテルから30分くらい歩いたところにあるレンタカーのお店で車を借りて、翌日は朝早くにホテルを出発しました。基本的にカーナビを見たり聞いたりしながら運転するのが苦手(必ず誤作動します)なので、予め行き方を暗記して、その記憶に従ってヴィースバーデンの街を抜け、薄暗い山の中に入っていきました。途中に意地悪い分かれ道が何箇所かあり、予想通りに間違った道を選んでしまい何度も道に迷いましたが、なんとかバクティマルガに到着しました。ちょっと遅れましたが、想定内、想定内。

 

 

 細い山道を走行した後にドーンと開ける高台のような場所に鎮座するバクティマルガは、他のドイツの集落からはちょっと離れた場所にありました。今回は、スリヤントラと呼ばれる、滅多に行われないワークショップが行われることもあり、既にたくさんの人が来ていました。バクティマルガのシステムに帰依した人々をディヴォーティーと呼ぶようで、独特の衣装や塗装をした人々がたくさんいました。そのディヴォーティーには、このバクティマルガの施設に住み込みの人々も入れば、こういう特別な行事の時だけやってくる人々も含まれるようです。

 

 

 バクティマルガには、宿泊できる設備もあり、僕は5日ほど泊めさていただくことにしました。宿泊した部屋にはシャワーやトイレがついていてありがたかったです。食事は決まった時間に食堂に並んで、順番に配給されるシステムになっていますが、まさに自給自足のヴィーガン食なので、大都会で甘やかされて育ったアンポンターンな僕には思い切り辛いものがありました。殊に月曜日は、味の薄いスープだけでしたので(すみません)、地下の自動販売機にあるポテトチップなどを大人買いして部屋でこっそり食べて凌いでいました(まさに、罰当たりの極み)。

 

 スリヤントラは、仏教の曼荼羅のことで、特殊な文言を唱えることで、この幾何学的模様のそれぞれ特別な箇所に宿る神々と繋がることができるそうで、そのハウツーを教えてくれるワークショップということでした。おそらく、他ではこういうワークショップはやっていないと思います。施設の中の小さな売店では、金属製の種々の大きさのスリヤントラが売られていました。ワークショップ中に、この「マイ・スリヤントラ」を大きなテーブルの上に置いておいて、グルジ(シュリ・スワミ・ヴィシュワナンダを、ディヴォーティー達はそう呼びます)にアクティベートしてもらいます。そうするとこの「マイ・スリヤントラ」を用いて、習ったスリヤントラの手技を実際に用いることができるみたいな感じでした。

 

 

 数時間が経って休み時間になると、ほとんどの参加者が休憩するために挙って外に出ていきましたが、遠方から来たのであろうアジア系(中国?東南アジア?)の女性たちがグルジの足元に寄っていって、何やら拝み始めたり、頭をグルジの足にスリスリしたりし始めました。僕は特に急いで表に出て休憩する必要もなかったので、自分の席に一人ポツンと留まって携帯を取り出し、「ヴィースバーデンでレンタカーを返却してから、フランクフルト空港にこうやって向かって」とか色々考察していました。

 

 すると、女性陣たちに足元に寄られて身動きが取れなそうだったグルジが、「外野席」に普通に佇んでいた僕の方を眺め見て、とても流暢な英語で話しかけてきました。

 

グルジ:「ねえ、君はどこから来たの?」

僕:「えっ?あっ?僕っすか?えーと、オーストラリアです。」

グルジ:「それは長旅だったね。」

僕:「そうですね。時差ぼけが半端ないっすね。」(ま、本当は、カナダ経由でしたが…)

グルジ:「わかる、わかる。時差ぼけ辛いよねー。僕も一昨日アメリカから戻ったばかりだから、わかるよー。」

 

 世界で一番意識レベルが高いとされるグルジと、同じ目線のレベルで極めて一般的な会話を交わし始めると、それまで彼の足元で平伏していた女性陣が一斉に僕の方を横目でジロっと睨み始めました。

 

 「あんた、私たちのグルジに、そんなタメ口で世間話みたいな会話して赦されると思ってるの?」(の視線でした)。

 

 ま、そんな視線を無視しようと努めながら、せっかくの機会なので、会話を続けました。

 

僕:「スリヤントラの講義ありがとうございます。興味深いですね。」

グルジ:「まあね。で、君は、何しにここに来たんだい。」

僕:「えっ?何しにって...。あの、ここに来る人は、皆、超意識レベルであなたに『呼ばれて』やってくる人たちばかりで、何かを受け取りくるのだと聞いているんです。この前、ベリンガムでダルシャンをもらったんですが、こうしてドイツの本部まで来たら何か別の特別なものをいただけるのかな、って思いましてね。へへへ。」

グルジ:「ハハハハハ。僕は君を『呼んで』いないよ。君に僕は必要ないからね。」

僕:「えっ、そうなんっすか。」

 

 拍子抜けしました。せっかく来たのに。

 

 ワークショップの続きが終わり、また小休憩が入って、一旦グルジが戻っていきました。その時に幹事から、ワークショップの最後の部分は、超秘技なので真摯にお勤めをしているディヴォーティーの人だけが出席してアチューンメントをもらえる、みたいな感じのアナウンスがありました。

 

 すると、ディヴォーティーの間で、「きちんと服装をして顔に塗装をしたディヴォーティー」と、「普段着のディヴォーティー」の間で、どっちがどうとか議論があり、また「ここに住んでお勤めしているディヴォーティー」と「特別な時だけにやってくるディヴォーティー」の間でも、誰がこの秘技のアチューンメントを受けとるべきかみたいなことで議論が起こり始めていました。

 

 そんな議論を横目に見ながら、「僕はここにいる必要ないなあ」と、その場を去りました。特にすることもなかったので、建物の向こう側にあるベンチに座って曇天の空を眺めながら、ボケーっと心が迷子していました。

 

 「僕は何しに遥々ここまで来たんだろう?」

 

 

 バクティマルガでは、他にも「アトマ・クリヤ・ヨガ」のイニシエーション(シャクティパット)もいただきました。しかし、そもそもクリスタルヒューマンの僕の体にはチャクラやクンダリーニといった分断的なエネルギー構造が存在しないので、ババジの像がある部屋で何度も一人練習してみたものの、結局何もモノになりませんでした。

 

 

 やがてバクティマルガを去り、ヴィースバーデンのレンタカーの店に到着すると、走行距離だったか何だったかが、ダッシュボードに「777」と表示されました。僕には「333」、「555」、「1111」っていうエンジェルナンバーが何度も現れたりするですが、7に関するエンジェルナンバーは初めてだったので、とても興味深かったです。

 

 どういう意味なんだろう?とりあえず、特殊な旅であったことは、間違いありません。