或る夏の日と虚脱感 | 夢羽舞 音 MOVE ON

或る夏の日と虚脱感


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"地球に落ちてきた男"を初めて観たのは、確か’81年は夏のこと。

横浜の自宅から、情報誌"ぴあ"で調べた池袋(東池袋?)の映画館まで出かけて行ったんだ。自宅近くのバス停で佇んでいた事を覚えている。肩に下げたショルダーバッグの冴えない色や、炎天下の元で汗が噴き出ていたことも。そして、音楽誌面に載っていた映画の美しい宇宙人デヴィッド・ボウイを観るそれが直に叶うのだ!という期待に胸が弾んでいたことを。不思議なほどハッキリ覚えてる。


池袋(東か?)駅傍に在るこじんまりとした映画館だった。
夜になればオールナイトでポルノ映画でも上映していそうな、そんな感じの名画座に入るのは初めてだった。

映画は1976年の作品で、日本上映は’77年。撮影は’75年。遡っても僅か4~5年前の映画なのに、この映画を知った時点はこの当日と同じ18歳の時間感覚と現在の自分とではそれがズレる為、随分と昔の映画のように感じていたらしい。前以ってインプットさせていた映画のあらすじで或る程度の予想がついていたはずだが、入り口で買ったパンフレットを抱きしめワクワクしながら館内に入っていった(いや待てよ、旧映画にパンフなんて無いでしょ?ラビリンスと間違えているんじゃ?!)。兎に角、ワクワクドキドキしていたのは確かだ!


映画を観終えたわたしの虚脱感は計り知れない。

それが名画座の寂れた印象と相俟って、館内から外に出た後の足取りが重くなったようだ。映画館の在った商店街の歩道に私の足がめり込んだかも知れない(冗談)。その後帰宅までのことは全く覚えていない。商店街に牛丼屋が在ったことなんかは何故か覚えているのに(よほど腹を空かせていたんだろう)。

重い足を引き摺りながら、どんな面持ちで帰宅したんだろう?そして、もしかしたら、そんな自分に追い撃ちをかけるようにして、この映画と因縁の深い(又はそのもの)"LOW"(ロウ)を聴いたかも知れない。如何にも有り得る。


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