情報資源組織論レポート(2022) | Every book its reader.(いずれの本にもすべて,その読者を。)

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(設題)指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
1.現在、多くの公共図書館や大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。集中目録作業と分担目録作業(=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)
<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>

 

1. 序論

図書館には様々な資料があり、その資料をあらゆる方面から検索可能にしているのが「目録」である。本論では、「集中目録作業」と「分担目録作業を」を中心に説明し、今後の目録作成業務のあり方について私見を述べる。

 

2. 本論

現在、多くの図書館でコンピュータ目録が採用されている。MARCはコンピュータで処理可能な形式目録のことである。異なる図書館システム同士で互いの書誌データの交換を可能にするため、交換方法や書誌データの枠組みを標準化したものをMARCフォーマットという。日本では国立国会図書館がJAPAN/MARCを作成しており、これは『日本全国書誌』の機械可読版に相当する。

MARCから書誌データをコピーし、自館の蔵書データベースに登録することで目録作業を大幅に軽減することができる。これを「コピーカタロギング」といい、自館で受け入れた情報資源に対し自ら目録作成作業を行うことを「オリジナルカタロギング」という。

オリジナルカタロギングは、作業が煩雑でデータの品質も保証できないため、1つの機関や組織が代表して他の図書館などのために目録作業を行うこととなった。これを「集中目録作業」といい、商用マークを活用したコピーカタロギングも集中目録作業の一例である。

「集中目録作業」に対し、複数の図書館などが協力、分担して目録作業を行う方式を分担目録作業という。分担目録作業によって形成されたデータベースは、一般に「総合目録データベース」と呼ばれ、複数の図書館の蔵書目録を統合・編集したもので、相互貸借の業務には欠かせない。こういったシステムやデータベースを管理する組織を「書誌ユーティリティ」と呼び分担目録作業と総合目録の形成を中心に、図書館館相互貸借やデータベースの提供などが行われている。

 

3. 結論

 図書館目録はこれまで技術の変化と共に発展してきた。検索ニーズが高まり、情報資源組織化の手法が考案され、複数館を対象とした総合目録の登場や、国立図書館などによる集中目録作業の成果が利用できるようになった。オンライン目録は図書館システムにおいて必要不可欠なものとなり、利用者による様々な角度からの探索を可能にしている。

 現在の図書館界ではこれまでのOPACに様々な機能を付加した「次世代OPAC」の取り組みなどが行われている。図書館員としては新しい技術学び、取り入れながら、利用者が必要な資料を検索、提供することができる目録システムを維持していくことが非常に重要である。


2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“紙資料”とする。(1,000字)
<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>

 

1. 序論

 NDCは日本における標準的な図書分類法である。近隣の図書館を調査し、書架分類と書誌分類という点から、NDCの分類を活用することの意義や課題について私見を述べる。

 

2. 本論

 NDCを採用している〇〇市立〇〇図書館にて現地調査を行った。館内にはOPACが3台あり、内1台は子供用である。子供用OPACがある壁面には子供用の「日本十進分類法綱目表」が掲示されている。他のOPACがある壁面には館内図が掲示されており、検索した資料を探す際に役立つ。

 館内OPACを用い「りんご」と検索し、以下の資料の所在記号を調査した。資料の書誌情報などは「(著者名)『(資料名)』(出版社名)(所在記号)」の順で記載する。

①    ふくだすぐる『りんごがひとつ』岩崎書店 エ

②    安田守『りんごって、どんなくだもの?』岩崎書店 62

③    笠原正雄『リンゴの木の神様』株式会社PHP研究所 Fカサ

資料①は絵本である。絵本は全て「エ」という所在記号を付し、資料名の50音順に配架しているためわかりやすい。

資料②は子供用百科事典であり、「NDC9:625.21」から「62」という所在記号を付している。子供向けの学習資料はNDCを基に配架し、「日本十進分類法綱目表」を基に探すことができる。子供にもNDCを浸透させる工夫がされており評価できる。また一部を除く一般資料も同様に所在記号を付し配架している。

資料③は小説である。書棚の記号「F」と著者名の頭二文字「カサ」を合わせた所在記号を付し、著者名の50音順に配架している。子供用のよみものも同様であり、NDCや目録の検索に頼らずとも資料が探しやすい。

 

3. 結論

 〇〇図書館でもNDCを用いた書架分類がなされていたが、同じ主題であっても別の場所に配架することがあるというのがわかった。NDCを用いた書架分類は主題検索が可能でありブラウジング効果も期待される。しかしながら資料によっては、主題が複数あり別の場所にある、書庫にある、貸出中などの場合にたどり着くことができない。それを補うには、資料の目録作成を重視した書誌分類が有効である。書誌分類では複数の主題を目録検索することができるし、書架にない本であっても検索可能である。学習や研究目的で資料を探す場合には、それぞれの分類法をうまく利用し、目的の資料にたどり着けるようにすることが望ましい。また、NDCや目録検索が浸透していない利用者や、学習、研究目的ではない利用者などに対してはそのニーズに応じた配架の工夫が必要である。

 

(参考文献)

榎本裕希子・石井大輔・名城邦孝 『情報資源組織論 第2版』 学文社 2019.8

那須雅熙・蟹瀬智弘 『〈第3版〉情報資源組織論及び演習』 学文社 2020.9

日本図書館協会 『図書館用語集 四訂版』 公益社団法人日本図書館協会 2019.6

 

(講評)

レポート拝読しました。教科書の内容をよく理解したうえでレポートにまとめている様子が伝わってきます。

また、後者のレポートについては、実地調査をしてレポートに取り組んだということですが、とてもよい姿勢だと思います。レポート内容についても、しっかり調査してまとめられています。

両者とも内容に問題がないので、レポートは合格です。

 

この教科は本当に難しかったです。特に設題2は問題の内容を理解するのに時間がかかりました。先輩方のブログをヒントに近所の図書館へ行って資料を借りてきました。同じ主題でも配架方法により配架されている場所が違うというのがポイントだったように思います。1000字でまとめるのが本当に難しく、字を削るのに苦労しましたニコ

 

↓この2つの本が読みやすくてよかったです。