家の中は、しっとりと静かな空気でおおわれていた。
ゆっくり、音を立てないように気を使いながら部屋に入ると、ベットに横になり目を閉じた。
百合子の笑顔がろうそくの炎のように浮かんでゆらゆらと揺れている。
次の瞬間、今日の2匹の蛾が頭をよぎった。
百合子と蛾の残像が頭の中で絡み合う。
今日の俺はどうかしていた。
頭を左右に振りながら目をあけるとゆっくりと上体を起こし、
ベットから立ち上がった。壁にかけてあるカレンダーに近寄り
カレンダーを一枚もどすと、しばらくの間、何も書かれていないその紙を眺めた。
そろそろ次の時がきた。
「仕事」は絶対に日にちや曜日を固定しないことにしている。
そして、最低でも一ヶ月は期間をあけるなくてはいけない。
それでも、一年で10人程度になるのだから、俺は大量殺人鬼ということになるはずだ。
誰にも気づかれず、今度もやり遂げる。
さあ、楽しみのためには、今の生活を大切にしなくてはいけない。
机に座り、いつも通り勉強をはじめた。