「きたきた」

メールの送り主は、やっぱり「りょうさん」だった。

急がなきゃ。慌ててトイレから飛び出して、

鏡をのぞきこむと大事なものを忘れているのに気がついた。

やばい、やばい。

買ってもらったネックレスをつけてなかった。

蝶をかたどった、銀色のネックレスをバックから取り出して

首につけた。結構、気にいってるんだよね。

あまり見かけないデザインだった。

胴体の辺りから羽の先に向かってプラチナの線で模様が

つくられていて、その隙間から肌がのぞく。

羽の先に小さなダイヤが埋め込まれているもので、

一目みて、気に入ってしまった。

「プレゼントしようか?」

「え、でも・・・」

「気にいったんだろう?いいよ、遠慮するなって」

そう、少し前のわたしなら、

なんとも思わないで最高の笑顔で腕に抱きついて、

そして「ありがとう」なんて甘えてみせた。

でも、それが出来なくなってきたのは「りょうさん」を

金づるだと思えなくなってきたからかもしれない。

予備校には、最近ずっといってない。

今は人間関係の予備校ばかりなんだよね。

「本当にいいの?」

「いいよ。すいません、これお願いします」

りょうさんが、店員に声をかけてくれて

愛想笑いの店員がその場で首につけてくれた。