あなたが大好きで尊敬してました。以下の文章は、スポニチさんが、美輪明宏さんが亡くなったことを受け、公開してくださった過去にスポニチさんで連載していた美輪明宏さんの文章です。都内の一等地に総事業費330億円以上を費やして建設された、スポーツジム、夜景ラウンジ付きの豪華な議員宿舎、そうかと思えば、どこかの知事は、まるで湘南族みたいにイルカとクルージング!?まあ、なんという、税金の無駄遣い。いつの世にも国民の血税をまさに湯水のごとく使ってしまう税金ドロボーはいますが、特にこのところ目にあまるものがあります。それでいて、お上の連中は、何かにつけ税金をつり上げ搾り取ることばかり考えているのです。以前、自らも清貧の生活を実践していらした経団連会長だった故土光敏夫さんが「税金はこれ以上、上げる必要はない。官公庁の無駄な出費を抑えさえすれば、今のままで十分にやっていける。むしろ、お釣りが来るくらいだ」と話していたのを覚えています。2度も3度も天下りした官僚が、その都度、民間では考えられないような高額な退職金を手にし、「霞が関」は、そのためになんの実体もない幽霊会社をポコポコつくっているのです。そもそも国の予算制度自体が大きな問題なのです。必要なものに正当な料金を後から支払うべきなのに、最初から金額だけを決めて寄ってたかっての分捕り合戦、使い道は後から。ただただ金を奪い合うことしか頭にないのです。すべての「元凶」がここにあるのです。長年続いたばく大な無駄遣いのせいで、今や「オギャーッ」と生まれたばかりの赤ちゃんがこの世に出て来ただけで、すでに地方で700万円、東京では500万円の借金を背負っているのです。現在の日本の経済状況を一般家庭に例えれば、お父ちゃんが一生懸命働いて稼いできても、バカ息子や親せき、近所のオッチャンが、今日はパチンコ、風俗、ゴルフ、明日は競馬といった具合にバンバン使ってしまうようなものなのです。収入は変わらないのに支出は増える一方、本来なら余計な無駄遣いの出費を抑えさえすれば、それなりにやっていけるのです。これでは、奥さんも泣くに泣けません。それでいて、私たちの生命にかかわる最も大切な「国民健康保険」の保険料が、どんどん高くなっているのです。わずかばかりの年金収入でつつましく暮らしている、70歳以上のお年寄りでさえなんと3割負担、これでは病気で苦しんでいてもおちおち治療も受けられないのです。お金のない老人は「死ね!」と言っているウバ捨て山と同じことなのです。また、「格差社会」の弊害で、あぶく銭を手にし毎晩のように遊興三昧(ざんまい)の連中もいれば、汗水流して一生懸命働いても食べる物にも困り、一家心中するようなかわいそうな家族もいるのです。そして、そういう人たちを黙殺し、生活保護すら受けさせない自治体も多いのです。 国民から搾り取ったお金をわが物顔で使いまくる議員や役人たち。しわ寄せを受けるのはいつも「弱者」なのです。このような無駄遣いを防ぐには、ある程度の権限を持った、政府の力が及ばない「オンブズマン」制度を確立するのもひとつの方法でしょう。ただ、今の日本人のモラルと民度の低下を考えると、それさえも悪用する輩(やから)が必ず出てくるでしょうから、二重、三重のチェック機関も必要です。 では、日本をこんな状態にしてしまった、張本人は誰か。それは実は政治家でも役人でもない、「被害者だ」と言っている国民自身に一番の責任があるのです。「政治のことはよくわかんねえ」という無関心な国民の「無知」が、このような危機的な状況を招いたのです。不平不満を口にするばかりで、いざ選挙になると「組織、知り合いに頼まれた」「応援に来た人がイケメンだから」などの愚かな情実関係の理由で、その不平不満の原因を作ってきた自民党にいつも票を投じてきたオッチャンやオバチャン、ジイサンやバアサンがいけないのです。もう何十年も同じ過ちを繰り返し、自分で自分の首をしめているのに気がついていないのです。困るのなら票を入れなければいいのに。 「ダメだ、ダメだ」と言われながら、自民党政権がどれだけ続いていることか。「金のない人間は死ね」という政策を平然と進める政党なのです。それを止めさせたいなら、選挙で投票しないことです。至極簡単なことです。それでも、自民党に1票を投じるのであれば、「死ね!」と言われても文句を言ってはいけません。そういう人間を自ら選んでいるのですから。これからの日本をどうすべきか。もちろん、現場が荒廃した小、中学校の教育改革も最重要課題です。しかし、それと同時に、何も考えないで漫然と生きている中高年世代の意識改革も必要なのです。理知、知性、教養のかけらもなく、物欲、性欲、食欲、名誉欲の「人糞(じんぷん)製造器」になってはいけないのです。 弱い者が容赦なく切り捨てられる社会、それを推し進めようとする政治家たち。世の中を悪くする原因がどこにあり、どうすべきか。それを見抜くのも理知、理性、知性なのです。以前、男性は女性のことを「女は子宮でものを考える」とバカにしていましたが、そういう男性の方こそ「睾丸(こうがん)でしかものを考えられない」のです。40、50、60代の前半はまだ現役で働いているから実感もないでしょうが、定年、リストラなどで職を失うといかに大変な事態か、身にしみて分かるのです。 わずかな年金と退職金だけの生活で、その先何十年も暮らしていかなくてはいけないのです。さらに国民健康保険の保険料が値上がりを続ければ、どうやって食べていけばいいのでしょう。そうならないために、もっと理性を持って政治のこと、国のことを考えるべきなのです。私は昔から機会あるたびに声を大にして「あなたたち、今に困って自殺するようになるから」「病気になっても病院にも行けなくなります」と言い続けているのです。それなのに、その年代の人たちは「ああ、大変みたいですね」とまるで「対岸の火事」のように受け止めているのです。 みんな、自分だけはいつまでも年をとらず、サラリーマンで働いていられると勘違いしているのです。最近、子供の自殺が問題になっていますが、子供どころか明日はわが身ということに気がついていないのです。人間、時には想像力をきちんと働かせることも大切なことなのです。 まだまだ、お話ししたい事も山ほどあってたくさん「世なおしトーク」をしたいのですが、この連載もとりあえず今回が最後。毎週、お読みいただいて心から感謝しております。ただ、私が今まで話してきたことをまるで人ごとのように感じている方も多いはず。そう、今までの話はそこのあなた、あなたのことですよ!これでギクリとくればまだよし、ピ~ンと来ないならもう度し難し。 では、いつかまた、お目にかかる日まで。ご機嫌よう。美輪明宏さんが最期に発せられたお言葉は、「ありがとう。」だったそうです。美輪さん、こちらこそ、ありがとうございました。ゆみこ