プロローグ



『今日は楽しんできなはれ』





今日はお座敷も少ないし、菖蒲さんが逢い引きに誘われたとのことで

花里ちゃんと私は秋斉さんからお休みをもらえた。





・・・多分、数日前からそわそわしていた私達に
気を使ってくれたのもあったんだと思う・・・







今日は近所の神社で夏祭りが開かれていた。







花里ちゃんと金魚すくいしたいね、的当てもいいいね、と
話していたのを偶然秋斉さんが聞いていたようだ。





「あまり遅くならないように」とお小遣いをもらい

花里ちゃんと一緒にお祭りへ遊びに来た。


・・・出店が並ぶ賑やかな雰囲気は、
いつの時代も変わらないんだなぁと思った。

どこか懐かしさもあり、心がワクワクしてくる





キョロキョロしながら歩いていたけど、
気がつくと花里ちゃんとはぐれてしまった。





焦った私は捜し歩くけど、どうしても見つからない。





「どうしよう・・・」





でも花里ちゃんのことだからもしかしたら

置屋に帰って待っているかもしれない





そう思って私はお祭りをあとにした・・・









しばらく歩いて、おかしなことに気づく

来た道と周りの景色が違う気がした

彼女と一緒に来たときは、彼女が「こっちやで」っと手をひいてくれたが

どうやら・・・まったく違う道に入ったようで

だんだん灯りもなく、草の茂った道に私は立っていた







「・・・迷っちゃった・・・」









こんな暗い道を一人で歩いていると

心細さから、先日お座敷でお客さんから教えられた話を思い出し

背筋を冷たい物が走る





世にも恐ろしい・・・怪談話を・・・









怖くなり、とりあえず置屋に帰るべしと
思い当たる方向に歩いて行くと、突然雨が降り出した。



泣きっ面に蜂とは、まさにこのことを言うのだろう・・・

小走りで雨宿りできそうなところを探すと・・・







一軒の古びたお寺が見えた。





(こんな時に見つけるのがお寺なんて・・・)







とは思うものの、雨脚はますます強さを増す





意を決してその古寺へ走り込み、

ボロボロになった扉を開けると・・・







「え・・・・」







そこには、いるはずのなかったあの人の姿があった・・・・




第三夜、いってらっしゃい


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