ヒューゴの不思議な発明 | リリィのシネマBOOK

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ぐうたら主婦リリィが、気ままに綴る、映画レビュー
劇場観賞は月平均5・6本、洋画贔屓かな


劇場鑑賞しました
 
ヒューゴの不思議な発明

  


 
 
 
 
制作国 アメリカ (2011年)
 
原題 HUGO
 
原作 ブライアン・セルズニック 
 
監督 マーティン・スコセッシ
 
キャスト
 
ベン・キングズレー (パパ・ジョルジュ)
ジュード・ロウ (ヒューゴのお父さん)
エイサ・バターフィールド (ヒューゴ・カプレ)
クロエ・グレース・モレッツ (イザベル)
レイ・ウィンストン (クロードおじさん)
エミリー・モーティマー (リゼット)
ヘレン・マックロリー (ママ・ジャンヌ)
クリストファー・リー (ムッシュ・ラビス)
マイケル・スタールバーグ (ルネ・タバール)
フランシス・デ・ラ・トゥーア (マダム・エミール)
リチャード・グリフィス (ムッシュ・フリック)
サシャ・バロン・コーエン (鉄道公安官)
 
 
 
 
 
解説
ブライアン・セルズニックのベストセラー小説をマーティン・スコセッシ監督が、自身初の3Dで映画化したファンタジー・アドベンチャー
1930年代のフランス、パリを舞台に、駅の時計台に隠れ住む少年が父の遺した機械人形の謎を追って不思議な大冒険を繰り広げるさまを、ジョルジュ・メリエスはじめ映画創成期へのオマージュをふんだんに、美しく幻想的な3D映像で描き出していく
  
あらすじ
1930年代のフランス、パリ、父を亡くした少年ヒューゴは、駅構内の時計台に隠れ住み、時計の整備をしながら孤独な毎日を送っていた
そんな彼の心のよりどころは、父が遺した壊れたままの不思議な“機械人形”、その修理に悪戦苦闘していたヒューゴは、おもちゃ屋で万引きを働いて店主の老人に捕まり、人形について書かれた大切な父のノートも取り上げられてしまう
そんな中、ヒューゴは老人の養女イザベルと仲良くなり、一緒に機械人形の秘密を探ってゆくのだが・・・
 
 
 

 
 
リリィの評価 ★★★★☆
 
 
感想

 
幻想的かつ緻密な映像美で、引き込まれるような臨場感を作り出し、どの場面も観ている者を瑞々しいイマジネーションの世界へと誘う
ヒューゴの波乱に満ちた運命がノンストップで動き出した物語は、脇にも魅力的なキャラクターを配置し、一筋縄ではいかない感動をじわじわと、そしてクライマックスで一気に解き放ってくれました
 
駅構内に聳える時計台の裏、毎日正確に時が刻まれるよう修整しながら、活気溢れる地上を見下ろす
フランスのパリを舞台にするヒューゴの環境は、まるで「ノートルダム・ド・パリ」みたい
カジモトは醜い容貌ゆえ教会の屋根裏で人目から隠れて鐘の音を鳴らすのを生業にしていたけれど、ヒューゴもまた下界を闊歩する人々を観察して、こそこそと暮らす
何より恐れているのは、駅を巡回する公安官に見つかって、孤児院にしょっ引かれること
そんなヒューゴの孤独を唯一紛らわせてくれるのは、壊れたままの“機械人形”
それを“友だち”と呼び、いつか正常に動いてくれると信じ、不慮の死を遂げた父が最期に遺した細い糸を辿るように、修理にいそしんでいる
転機になるのは、第一印象は最悪であるジョルジュとの邂逅
 
出会い頭、盗みを働いたヒューゴ相手に、ジョルジュは容赦なく辛辣に当たる
ヒューゴの持つ赤い手帳を奪って、「どこでこれを手に入れた?」と問い詰める表情は、いかにも複雑な事情が潜んでいると知れるが、じっと見詰め返すヒューゴの聡明な瞳も、それが大切な物であることを雄弁に物語る
主人公ヒューゴの、この少年らしい探求心と強い意志を秘めた眼差しに、ふと既知感
何のイメージが重なったのだろうと思い、さっそく帰宅後に調べてみると、エイサ・バターフィールド君は「縞模様のパジャマの少年」でも主演を務め、やはり大人社会の傲慢な支配と矛盾に子供の無垢さで抵抗する役どころを見事に演じ切っていました
繊細と強情が同居しているみたいな表情が、すごくいい!
青灰色の双眸は綺麗に澄んでいて、インパクトがあるし、この先どんな成長を見せてくれるか、実に期待が高まる男の子ですね
 
機械人形の謎を解読したいヒューゴに、共謀して親しくなっていく少女イザベルは、健全な色気が可愛いクロエ・グレース・モレッツ
2人が手を繋いで歩くシーンとか、映画館に忍び込んでデートするシーンとか、微笑ましくて嬉しくなる
ヒューゴが機械人形の修理が上手くいかなくて大粒の涙をぽろぽろ零したとき、イザベルが同調したように顔を曇らせ、抱き締めてあげるシーンでは、肉親を早くに亡くした共通の寂しさを胸にしまっている2人に悲しくなった
機械人形を稼動させるのに不可欠な最後のパーツ、それがハート型の鍵で、しかも持ち主がイザベルだったと言う演出は、何気にドラマチック
イザベルはジャンヌから譲り受けたそうなので、もとはジョルジュが恋女房に渡したロマンスが安易に想像できます
 
残念ながら映画史には詳しくなく、実在のジョルジュ・メリエスの功績はさておきますが
何事もいきなりフルカラー、フルデジタルとは当然いかないから、擬人化された満月が煙草を咥えてウインクする斬新な映像や、モノクロフィルムに色彩を塗ったのが、当時いかに画期的だったか推し測れる
映画創成期にオマージュを捧げているらしいですが、監督が新たな映像革命に自信満々と挑んだようにも感じました
物語のジョルジュが葬り去ってしまった過去=映画愛を、再び甦らせていくのに次世代のヒューゴが一役買うのも、とても意味深です
 
自分の存在価値が見出せなくて、でも誰かに必要とされれば、ようやく社会の一員として認められる
健気にひた走るヒューゴ
「今じゃなきゃダメなんだ、今やらなきゃ後悔する、あなたにも身に覚えがあるでしょう」
じわじわきていた感動が、この瞬間爆発したのは、私だけじゃないはず!
 
 


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