来月入院します。

1日だけの治療入院。一泊二日のわたしの小旅行は

いつも病院かも。


早めに入院書類を書くのがルーティン。

今月からまた奇数月に入院することになった。


書類で必ず必要となるのは「はんこ」

あたしははんこが大嫌いだ。

出来れば誰かに押して欲しい。

どうしても思い出してしまうことがあるからだ。


十数年前、初めて入院をした。

しかもほぼ医療保護入院に近い。両親からの虐待が

精神的にマックスになって壊れた時だった。

しかもはじめて自分が虐待を受けていることを知る


その後の私はひどいもんで

無感情になり体重は167センチ、39キロ。

骨と皮になってしまった。

生まれてきたこと自体が嫌になり、髪を切り

病院を抜け出して丸刈りにした。


父親が突然病院に訪ねてきた。

母親はすでに病院を出禁になっていた。

私を殺すと病棟に乗り込んで来たからだ。


家族が私の入院費を払わないことは、

ケースワーカーから聞いて知っていた。

そして郵便物は全て病院に転送されるように手続きをしてくれていた。

その中に、保険の満期のお知らせがあった。


私が働きながら払っていた保険だ。満期金は

200万。

母親は保険証券を手放さなかった。


しかしはんこはあたしが病院に持ってきており、

ケースワーカーとは話し合いの上、満期金から入院費を支払うとしていた。


しかし母親は1円たりとも払わないと言ったらしい


はんこがないと保険金が受け取れない。

しかし母親は出禁。私と接見はできない。


父親がやってきたのは

はんこを押させる代理だったのだ。


父親が微笑む時なんてほとんどないのに

違和感のある微笑み。

ガリガリで丸坊主の私を嫌悪感で見ている。


「これにはんこを押して。そうじゃないと俺が大変なんだ」と言う。

母親が荒れているのだろう。


入院費の条件を告げると「無理」だと言う。


そこでケースワーカーが登場。

父親を連れてどこかへ言った。


たぶん念書を書かせられたのだと思ってる。

法的に訴えると父親に話した。


私は入院費を払ったら、両親とは会ってはならないということになった。

弁護士まで登場。


改めて父親が来て、

委任状に私ははんこを押した。涙もでなかった。

その代わり入院費以外は私は受け取ることをあきらめなければなかった。

本気で母親の狂気から逃れるためだ。


父親ははんこを押すと嬉しそうに紙袋を置いて出て行った。それ以来会っていない。


紙袋の中身は、葬式の清め塩、葬式のお茶だった。


この時の事はこれ以上覚えていない。

たぶん意識を失ったと思う。


それ以来はんこが大嫌いだ。

DAISOのはんこしか持っていない。

あの、朱肉にはんこをグイグイと押し付ける

あの行為が嫌でならない。


200万の満期金の方が大切だったのだろう。

娘よりも大切だったんだと今でも思いだしてしまう