私がどうしても確認したかったもう一つのこと。

それは賀茂忠行のことだ。

 

賀茂忠行って誰だ?と思うだろう。

私は約2年前にこの人のことを知った。

 

でも魂レベルでは1000年以上前から知っていた。

どういうことかっていうと。

 

私は2年前、ひょんなことから水戸へ旅行に行くことになった。

特に当てもなかったので、偕楽園を見て回った後にお土産でも買おうかと水戸駅周辺をぶらぶらしていた。

そのとき茨城県美近代術館の案内を見かけ、なぜだかふと、あ、明日はここ行って帰ろう、と思った。

 

そして次の日、午前中吉田神社を参拝してから茨城県近代美術館へ行った。

そのときは2階で風景画展を見たんだけど、見終わって1階に降りたら常設展をやっていた。

 

なんとなくここも見ようとふらっと入った。

すると森田曠平さんという日本画家の原画が展示してあったのが目にとまった。

毎日新聞に連載されていた夢源氏剣祭文という小説の挿絵として描かれたものの原画だ。

原画の横に小説のあらすじがかいつまんで書いてあったので、なんとなくそれを読んでいると安倍晴明や鬼になった少女茨木の様子が描いてあった。

 

このとき陰陽師の過去生が見えたばっかりだったので、なんとなく気になって私は東京へ帰る電車の中で、図書館のホームページからこの本を予約した。

 

図書館から本の準備ができたと案内のメールが来たので、借りてきて読み始めた。

 

その小説に賀茂忠行が出てきた。

賀茂忠行とは実在したとされる人物で、陰陽師安倍晴明の師匠と言い伝えられていることを知った。

 

一説には賀茂忠行は安倍晴明にまるで瓶の水を移すかのように陰陽道の真髄を教えた、と言われているのだとか。

 

私はこの人物の描写を読んでいるときに、肌が粟立った。

怖い…なにこれ、私この人知っていると思った。

 

それはもちろん小説なんだけど、賀茂忠行の台詞を読んでいると、その声や話し方が聞こえてきた。

本を読んでいるとき、私は一人で寝室にいたのだけど、賀茂忠行の声が部屋中に響くようにも聞こえたし私の脳内で聞こえるような気もした。

 

 

そんな訳ない…と思いながら、体が震えてきて涙が流れた。

しばらく泣いていたと思う、

泣きながら読み進めた。

 

心の底から懐かしくて、私はこの人を知っていると思った。

賀茂忠行という名前を聞いても私はピンと来なかった。表面上は何も知らない。

だけどもっともっと奥の私はこの人を深く知っていると告げていた。

 

例えば、私たちは歴史上の人物を絵でしか知らなかったら、実際にその人がどんな声や話し方をしていたかは分からない。想像するしかない。

近代の人で映像が残っていたら、顔も声も分かる。

 

でももしその人物に実際に会って、長い間接していたらその人の生身の体温というものも感じている。

無意識にその人のエネルギーをキャッチして交流してるから。

もう会えなくなってもその人のことを思い出したら、顔や声だけじゃなく、その体温もありありと思い出し、その声が空気を振動させて耳に届いていたことを思い出すだろう。

 

この人の声をそばでいつも聞いていた。大事なことを教わった。いくつもいくつも。

 

私はそう感じていた。

 

そして今回の人生でも私はこの人に会っている、と思った。