母は私が9歳の時に、33歳という若さで他界した。
胃がんだった。
当時はまだ、緩和ケアという言葉もない。
ましてや在宅医療なんて、誰も想像しなかったはず。
母は地元の病院で治療し、
最期は東京の病院で過ごした。
九州に住む私たちは、当然母の最期には立ち会えず、
お星様になったとだけ聞かされた。
母が他界して数年後。
何となく…看護師の道を選んだ。
看護師資格を取得してからは、
病院や施設で看護師として働いた。
結婚した後も、育休や休職した時期もあるが、
10年は病院で看護師として働いた。
在宅医療と出会ったのは約15年前。
母が病気になった時代に在宅医療という言葉も、
最期を家で過ごすという選択肢もなかった。
子供にも会えず、知らない人ばかりの病院で、
どんなに不安だったろうかと思う。
病気になっても、
住み慣れた家で過ごす方法があるのだと知って、
母の事を想った。
あの頃そんな選択肢があれば…。
そんな思いもあってか、
私は在宅医療の世界に心酔していった。
私と出会う患者さんが、住み慣れた家で、
少しでも安心して穏やかに過ごせるよう。
訪問看護師として、
人間性や知識・技術を磨いて生きてきた。
そんな私の日常を日記に残していこうと思う。