会合で、「長老を神の経路として認めているか」との質問に、長老だからといって無条件に信頼することは危険だと私が話しているところの続きです。
前回書いた児童性虐待の例の次に、長老たちの不公正な扱いによって多くの人が苦しんでいるという例を出しました。
会衆内のいくつかの例を出した後、会衆は別ですが、私のいとこが非常に辛い状況に置かれていることを話しました。
結婚相手がJWでありながらまさかのDV夫で、その問題を訴えても長老も巡回監督も動こうとしないということについてです。
いとこは結婚相手を選ぶことにおいても、「神のご意志かどうか」といつも考えていました。
私たち夫婦に恋愛相談などもしてくれていましたが、私が思うに祈りが具体的すぎるきらいがあり、「1年以内にふさわしい人に出会えるように」と熱烈に祈っていたところにそのDV夫を紹介されたため「ご意志かも」と思って付き合うことになりました。
交際中も、本当に彼のことが好きなのか確信が持てないようでした。
結局いくつかの具体的な祈りの通りに物事が進んだため、「神のご意志だ」と自分を納得させて、価値観や性格の不一致に目をつむりちょっと急いで結婚したように見えました。
結婚後半年ぐらいして我が家に遊びに来てくれたことがありましたが、彼は社交的で話も面白く、いとこをぐいぐいと引っ張ってくれる頼もしい夫に見えました。
「心配してたけどけっこう相性良さそうでよかったね」と私たち夫婦で話したのを覚えています。
しかし後から聞くと、その頃はすでにDVが始まっていたのです。
外面がよく社交的で頼もしいかのように見える彼は、結婚した途端豹変したというか、そのまま本性を出したというか、結婚式前後からひどい有様だったようです。
妻の作った料理に悪態をつく。
食事中会話もせずずっとスマホを見て一人でゲラゲラ笑ったりしながら食べる。
他の人を見下したような罵詈雑言。
そういう振る舞いに意見すると逆上して物を投げつけたりする。
税金や公共料金の滞納を繰り返す。
違反切符を切られても罰金を払わず、出頭要請にも応じず、警官が家までやってくるが抵抗して激しい口論になる。
妻には渋々最低限の生活費を渡し、後にそれすらも渡さなくなるが、自分はネットで次々と高価な買い物をする。
いとこが我慢できなくなり意見を口にすると逆上し、胸ぐらをつかんで床に叩きつけようとまでされたそうです。
ところが会衆の人々の前では普通に仲の良い夫婦を装うそうなのです。
会衆内でも人当たりは良かったらしく、奉仕の僕でした。
父親はその巡回区では古くからの有名な長老で、夫婦で元特別開拓者で巡回監督たちより力が上という感じです。
母親と仲が良く、妻には食事中口もきかないのに、結婚後も母親とは毎日電話をしているようでした。
ついにいとこが長老に相談することになり夫婦で長老たちと話し合いが持たれることになりました。
しかしその話し合いの場で、DV夫は全く悪びれもせず、平気で嘘をつき通したのです。
長老からは「夫婦で努力して解決していきましょう」ということで片付けられてしまいました。
その後も暴言、暴力まがいの行動、無視、浪費など目に余る行いが続き、いとこは身の危険も感じるようになり、ついに実家に戻り別居が始まります。
しかしそれから何年も集会や奉仕は夫の会衆に参加し、実家から車で1時間以上かけて通っていました。
これほど特殊な状況なのに、長老たちは親身になってくれず牧羊を避けようとするのです。
どうやらDV夫が「妻に虚言癖があって困っている」と長老たちに根回ししているようで、DV夫の方が被害者であるかのような印象操作をしていたようです。
長老たちは、「長老たちは別居などの夫婦の問題には立ち入れない」「姉妹の側は結婚生活を続けるために何か出来ることはないか」と言うばかりで、いとこがDV被害を受けているという受け止め方をしないのです。
いとこはなんとか巡回監督に相談しようと、巡回訪問の時に事前に奉仕を申し込むもなんと外れてしまい、牧羊の予定を組まれることもありませんでした。
半年後、再び訪問の予定表に奉仕の申し込みをしましたが、また外されます。
いとこは、長老たちが事前にDV夫からの情報を巡回監督にも伝えて根回しして、自分と接触させないようにしている、と感じました。
もうまた半年後まで心身が持たないと思い、タイミングを見計らってやっと監督を捕まえ、今の状況を伝えました。
しかし監督は迷惑そうに、「巡回監督といっても、夫婦の問題には関わることができないことになっているんです。」と述べるにとどまりました。
実際に夫婦に代わって決定を下したり出来ないのは分かっていますが、せめてその辛い状況に寄り添ってしっかり話を聞くとか、可能な解決策を何とか一緒に考えるとか、できないものなのでしょうか。
そしていとこも何度も訴えていたのですが、そもそも夫婦の問題という以前に、この夫の暴言や暴力まがいの行動、行政や警察に対する反抗的な態度などは、JW的にアウトなのではないか、きちんと審理委員会で扱われるべき問題ではないかということです。
長老たちからは、「二人の証人がいないし、録音も証拠とはできないので難しい。」と言われたそうです。
こうして彼の悪行者としての裏の顔がずっと放置されているのです。(別居しているため奉仕の僕は削除されました)
古くからの有力長老の息子ということも少なからず関係しているでしょう。
面倒なことには関わりたくないというのが本音でしょう。
DV被害者に対する対応としてはあり得ないものだと思うのですが、今に至るまで10年以上、ずっと状況は変わらないままです。
私たちもこのことをきっかけに、DVをするような人格障害についてよく調べました。
世の中には一定数そういう人がおり、その人格を変えることは非常に難しいので、このままではいとこは壊れてしまうから離れたほうがいい、離婚してなんとか新しい人生をスタートさせてほしいと私たちは思いました。
しかしJWとしては、淫行以外の理由で離婚するならその人には聖書的に再婚の自由はないということになります。
そうすると、相手が淫行を犯してそれが明らかにされるまで待たないと離婚できないというおかしなことになります。
もしそれを待たずに離婚してその後再婚すると、姦淫扱いされてかなり大変な思いをすることになります。
そのままJWも辞めるつもりでないとなかなかそんな決定はできません。
そんな中でいとこは「神の主権が関係するから離婚はできない」と言って耐え続けているものの、運転中に街路樹に突っ込んでしまいたくなる衝動に駆られるほど精神的に追い込まれた時期もありました。
長老が代わっても巡回監督が代わってもずっと正しく扱ってもらえることもなく、心身共にバランスを崩しています。
長くなりましたが、私のいとこがそういう状況にありました。
私はいとこのことを思って半分涙目になりながらその不公正な状況を訴えかけるように話しました。
その話を聞いたM長老が、衝撃的な言葉を発します。
「ん〜まあ、聖書の中には、理解できない理不尽な目に遭ったまま、その理由も分からずに亡くなっていった人がたくさん載せられていますよね。」
私はあまりにびっくりして何も言葉が出ませんでした。
しかもそれを言ったときの表情が半笑いだったのです。
きっと、
(そんな例はいくらでもあるんだよ、だから何度も言ってるけどそこじゃないんだよ、それでも神が立てている権威なんだから認めれるかってことを言ってるんだよ、分からない奴だな。)
と思っていたのでしょう。
魂を売って組織のロボットになってしまったとはいえ、ここまでの仕上がりになると、もはや何を言っても無駄だなと感じました。
私もさすがにこの発言は許せないと感じ、後日巡回監督による牧羊の際にこの発言の話、この会合の様子について話をしました。
それだけが理由ではないでしょうが、その訪問の後にこのM長老は奉仕委員を降ろされ、役職なしの一長老に降格しました。(その後すぐに海外へ逃亡)
さて、この会合では、さらに別の資料も渡されました。
その資料の内容は「組織の理解の調整にどう反応するか」というものです。
これまた踏み絵のような内容です。
次回また続きを書きたいと思います。