理佐side


触れるだけで熱を帯びていく体。


厭らしく腰をくねらせて。



甲高い嬌声をあげる





目の前のこの子に、どうしようも無く馳せる気持ちを抑えきれない。










────でも



この関係にそんな感情を抱くのは御法度だ。






彼女。基、由依とは所謂体の関係というもので。

口にはしないものの、お互いのプライベートに余計な詮索はしないのが、暗黙の了解となっていた。




こんなに美しい相手に触れることが出来て、一瞬だとしても恋人みたいに愛し合うことが出来ているのに

物足りないのはなんでか。



その答えを導き出せないまま、今日も私は由依に溺れる。




─────────

由依side


由依「っ、、ん、りさ」


理佐「ん、」


由依「好きだよ…」


理佐「うん、」


由依「あんま、見んな…」


理佐「…垂れてる」


行為中の言葉数は少ないくせに、こういう所はボソッと呟くんだから。ほんと、いい性格してる。



散々弄ばれて、ぐちゅぐちゅに蕩けている中に
理佐の細い指がゆっくりと侵入してきた。


由依「ぅ、、んん、ぁ、、っは、ぁ、、」


理佐「可愛いね、由依」


由依「っ────」



理佐の指に翻弄される事を、体が素直に喜んでいて。

漏れる声も、溢れる体液も抑えられない。


「もう無理…」



そう、白旗をあげた時には
もう何度絶頂を迎えたか覚えていなくて。


ただ、カーテンの隙間から覗く月明かりが何時なのかを明確に表していた。



まるで恋人みたいにこうやって愛し合っているけど
私たちは恋人では無いし、ましてや友達でもない。



お互いの欲望を発散する為の、体の関係。


理佐「水いる?」


由依「うん」


理佐「帰るでしょ?」


由依「…泊まってもいい?」


理佐「お好きなように。」


終わったあと、少し素っ気ない態度に
寂しくなる時があるけど、私には彼氏がいて
理佐に対してそんな感情湧くはずかないって
頑張って誤魔化していた。


だけど重ねる度に理佐に対する好きって思いが溢れて
してる時も、好きが溢れて雰囲気に任せて理佐に想いを伝えてみるけど。

理佐から、私が求めている返答が来ることは無い。


理佐「はい、水」


由依「ありがとう…」


こうやって些細な気遣いをしてくれるだけ有難いって思って、この思いには蓋をしなきゃ行けないのに。
理佐を目の前にすると、思うように制御が出来なくなる。


由依「もう寝ちゃうの…?」


理佐「なんで?」


由依「んーん、なんとなく」


理佐「寝る」


由依「そっか」


理佐「どうしたの?」


由依「え?」


理佐「いや、いつもそんな事聞いてこないじゃん」


由依「そうだっけ?」


理佐「うん。まぁいいけど。おやすみ」


由依「ん、」




カチ、カチ





時計の秒針の音だけが、静寂の中で響いてる。






中々寝付けない私は反対側を向いて寝ている理佐の背中にそっと手を寄せた。



理佐「どうしたの」



由依「っ、」



理佐「彼氏となんかあった?」



体制はそのまま、優しい声で問いかけてくるから涙が出そうになる。

由依「んーん、」


理佐とそういう関係になった時の私の悩みは
全部彼で埋め尽くされていたけど、今の私の悩みは理佐でいっぱいいっぱいだよ。



理佐とそういう関係になったきっかけが彼だから
そう思われても仕方ないかもしれないけど。



あの時の理佐は、なんであんな提案を友達でもない私にしてきたんだろう。



今でも不思議に思う。





あれは確か、3ヶ月前────





彼と付き合ってまだ半年の時期だった。


彼はかなりのメンヘラで、私に近づく人が例え友達だったとしても怒ってくるような、そんな人だった。

「由依を信じてない訳じゃなくて、相手が信じられないの」


嫉妬されて私の交友関係を全部切られるのも
泣きながら怒られるのも、私が悪いから仕方ないけど。



「涙」を通り越したら、彼は体で覚えさせようとしてくるから、社会人の私にとってはしんどかった。


まだ社会人2年目。
仕事も出来るって程完璧じゃないし、任された仕事を全うするには、彼とのそういう行為を受け入れてる時間なんてなくて。



1度拒んだ時に、彼がおかしくなった──。


彼氏「なんで嫌がるの」

もう既に、ブラもショーツも脱がされてるから
今更抵抗しても無駄なんだろうけど。


由依「いや、明日早いし…そろそろしんどい」


彼氏「俺の事嫌いなの?」


由依「違うよ」


彼氏「じゃあなに」


由依「次のお休みの時じゃダメ?」


彼氏「今じゃないと無理」


由依「だから今日は無理だって」


彼氏「は?なんで?」


「なんで?」この言葉も私にとっては重かった。

受け入れられない言葉は全部、無視する彼だから
何度理由を話しても、別の日に穴埋めすると言っても
通じなかった。


彼氏「もうこんだけ脱いでんだからいいじゃん」


由依「っ、」



──無理矢理。


この言葉がこの状況で当てはまるか分からないけど。


何度嫌だと叫んでも彼は止まらなかった。


玩具みたいに弄ばれる体。

岩みたいにゴツゴツした指。
私の事なんて何も考えてないような、雑な愛撫。
大して濡れてない中に入ってくる、太くて硬いソレ。


いつも彼との行為は、ただ痛いだけだった。
だけど今日は、痛いと怖いがプラスされて涙が溢れた。


彼は終わったあと、泣いてる私に見向きもせず
隣でのうのうと眠りについた。


月明かりで分かる、ベッドについてる血。




次の日。案の定遅刻ギリギリの出勤となった。
というか、いつもの時間に起きれたのに、また彼に襲われたから。どんなに拒んでも、成人した男性の力には適わなかったから。こんな時間になった


由依「おはようございます〜…」


挨拶をして自分のディスクに座ろうとしたら、
顔を顰めている渡邉部長に名前を呼ばれた。



内心、遅刻ギリギリの出勤を怒られるのでは。
と、不安を抱えながら部長の方に向かうと

「人少ないところ行こ」


そういって、会議室へと連れていかれた。



理佐「小林さんさ…」


入ってそうそう話題を切り出されて、ドキッとする。


理佐「大丈夫?」


由依「っ、あの、本当にすみません。社会人なのに、こんな遅刻ギリギリで出勤して……」


理佐「あぁ〜、違う違う。笑  その事じゃなくて…」


由依「え…?」


理佐「そのー、、めっちゃ言い難いというか、、いやでもこういうのは同性が言った方がいいんだろうけど…」


「スカートに白いの付いてるよ…」




"白いの"


そう言われてギョッとした。