次は心理検査です
若い女性のお医者さまでした
優しそうな、
穏やかな喋り方のお医者さまでした
心理検査は
最初は本人のみ
母だけが診察室へ入ります
付き添いは40分ほど待ちぼうけです
しばらく経ち
お医者さまが母が診察室へ残し
出ていらしゃいました
この後、
『家族さんに話をお聞きしますが
お母さまは会話を
聞きたいとおっしゃられてます。
良いですか？』
もちろん良いですと言うと
診察室へ通されました。
母は診察室の横で
前に書いた問診票の記入漏れの
所を一生懸命書いてます
お医者さまは
最近のお母さまはどうですか？
父が倒れる前はもっと
ドンとしたというか‥
自分の気のまま動く
マイペースな
母だったけど
今はしゃべってる時も
すべての時間において
いつもセカセカして
落ち着きがないですし
父の事とかの重要な事は覚えてるけど
それ以外のことは
すぐに忘れてしまって
記憶力が悪くなりました‥
さっきお父さまが倒れられて
1人暮らしは初めてだと
おっしゃられてましたね
そうですね
初めてだと思います
娘の私から見ても
今まで守られて
来たんじゃないでしょうかね
父が料理や家の事を
ほとんどしてましたし‥
父はなんでも
ささっとする人やったので‥
話ながら、
ハッとしました。
母は1人暮らしははじめてだ‥
いやいや‥
子供の頃は体が弱かったみたいで
とっても
大事にされてたであろう話を
祖母から聞いた事があるよ
そうだったよ
７４歳で1人暮らしは初めてなんだ
家の事を全部1人でしないといけない
と思うと
今までお父さんがしてきたから
お母さんわからんもん‥
って口癖に変換されてたのかな‥
幸せなことに
全部やってもらうのが
当たり前すぎて
自分でどうしたら良いのか
わからない訴えだったのかもしれない
そういえば
父が倒れた後
母によく言ってた言葉があるよ
私自身も
自分を落ち着かせようと
母を落ち着かせようと
必死だったから
忘れてたけど
『全部自分1人でしようと思うから
しんどいねん
子供や孫に頼ったらいいやん
お母さんは1人やないんやから‥』
一日に
何回も
何十回も
私も同じ事ばかり
言うてしまってましたわ
自分も人のこと言えんですな‥
