金曜の夜のことですが、
担当編集の方と、打ち合わせの会食からもう一軒飲みにいき、今後の仕事のことをあれこれと決めてから帰路につきました。
「明日(9月23日)は、原田さんの命日だなあ」なんて思いながら。
時刻は23時半ぐらい。
そうだ、生前、ご一緒したバーに寄ってみようと長谷のケルピーの階段をのぼりました。
講談社の原田隆さんは、私が大変お世話になり、また影響も受けた編集者です。
一年前、旅先の香港で倒れ、そのまま亡くなられました。
どんなふうにお世話になり影響を受けたかを書き始めると長くなっちゃうのではしょりますが、原田さんも鎌倉にお住まいだったので、ちょくちょく地元でもご飯をご一緒したり、飲みに行ったりしてました。
長谷の「田茂戸」の帰り、私が見つけたばかりのケルピーをご案内したら、
「いい店だねえ」とおっしゃって美味しそうにお酒を楽しんでました。
亡くなられたのが一年前だから、二年近く前のことだったでしょうか。
ドアを開けると、カウンターの手前にはカップルが一組。
私はひとつ開けたところのスツールに腰かけました。
バーテンダーの大橋さんに、もうすぐ日付が変わると以前一緒にここにきた方の命日であることを告げ、ウイスキーをお願いしました。銘柄はおまかせで。
華やかな香りのウイスキーでした。
ストレートで飲んでも尖ったところがなく、時間と空気を巻き込んで味を成長させていく感じの、ああいうやつ。
そんなことを思いながら、ああ、あと5分で明日になるなあと思った時、
バーテンダーが別のボトルのウィスキーを二つのグラスに注ぎました。
ラフロイグの10年。
カップルの方たちかな?と思ったら、そのうち一つを私の右隣の空席に置きました。
「以前いらした時に召し上がったウイスキーです」
原田さんのためのグラスだったのです。
私がご一緒した際、ラフロイグを飲まれていたそう。
そんなことを話しているうちに、命日になりました。
バーテンダーは自分の手前のグラスを手にしました。
「僕も献杯を」
なんだかいろいろなことが思い出されて、記憶が心からあふれそうになります。
バーテンダーの仕事ってこういうことなんだなと。
ほんの一杯のつもりが、巨峰のシャンペン割、ピンクジン・・etc、とかなり飲んでしまいました。
(植木等か、私は。笑)
バーという空間、やっぱり好きです。
帰る頃、隣の席のグラスを見ると、少しウイスキーが減ってるではないですか。
金曜の夜だし、原田さんが飲みにきているんだなあと思った次第です。
このバー、気に入ってたし。
それにしてもピンクジンは効いた!
翌朝、綺麗な二日酔いになりました・・。
改めて、
原田隆さんに献杯。