「子供からカブトムシの事、聞いたよ。

子供の目の前でゴミ箱に捨てるのは、ちょっと残酷だったと思う。子供と一緒にお墓作って、埋めてあげない?」



「はぁー?うぜーな。

何綺麗ごと言ってんの?

自分だってゴキブリはゴミ箱に捨てるくせに。



やっぱりだ。



あーいえばこーいうのだ。



人の話を素直に聞く人ではない。



すぐに話の論点を、すり替える。



「ゴキブリは害虫だよ。カブトムシは

お世話をして飼っていたんだから

一緒じゃないでしょう?

何より、子供が悲しんでいた。

子供の気持ちを、もう少し想像してほしい。」



「はぁー?うっせーな!なんなんだよ。

ったくめんどくせーな!」



ドッカーン!!


そのまま外に出て行った元夫。



あぁ、またか。



音のした方へ確認しに行くと

壁に大きな穴が開いていた。



何回やるんだよ。



ふざけんなよ。



話もまともにできない。



まともじゃない。



これまでならば

時間の経過と共に少しずつ気持ちが回復し

少しずつまた普通の生活に戻っていった。



でもこの時から離婚に至るまで

私の気持ちが回復することはなかった。



離れたい。



これ以上一緒に生活したくない。



こんな生活を終わりにしたい。



こんな穴だらけの家に住んでいたくない。



どんどんそんな気持ちが強くなり

しまいには



子供と2人の生活にワクワクする様になり

離婚が楽しみになっていった。



無理に気持ちを上げるでもなく



自然に、自然と



私は自分の気持ちに素直に行動した結果



離婚していた。