Kyuryuの出現によって、心が乱された俺は…
彼が出て行ってからも…ボンヤリとソファに座ったまま動けないでいた…
俺は…まだ彼に心を残していたのだろうか…?
いや… そんな事は絶対にない…
どれくらいボンヤリしていただろう…
気づくと辺りはすっかり暗くなっている…
ふと…彼の言った“Smile″という曲の事が気になったが…
心の中で葛藤があり…聞くのを躊躇ってしまった…
何故なら…
もし…俺と彼の思い出が描かれている曲ならば…
俺は…あの頃を思い出したくないのだ…
その時…
不意に来客のチャイムが…
誰かが来る予定などなかったので不審に思いながら、モニターを見ると…
『おーい、潤』
翔さんだ!
「え?翔さん?なんで?」
『説明するから開けてくんない?』
「あ…ごめん…」
俺がドアを開けると…
何やら色々なお土産を抱えて翔さんが入って来た。
それをダイニングテーブルの上に置くと…
「会議がさぁ、お偉いさんの都合で延期になって…俺には好都合だったから良かったんだけどさ、これで潤に会えるって思ったら嬉しくなって…高速のサービスエリアで爆買いしちゃったよ」
翔さんは…
いつも俺の事を一番に考えてくれて…今まで出会った人達の中で…一番優しい…
胸がいっぱいになった俺は…
翔さんに抱きついた…
「おーい…潤…?どうした…?」
「翔さんが…優し過ぎるから…俺…幸せだなって…」
翔さんは俺の背中に手を回すと…
「潤…何かあった…?」
耳元で囁く…
翔さんには、今まで隠し事などした事は無いし、これからもそんなつもりはないので…
2人でソファに座ると…
ここにkyuryuが来たことを話した。
翔さんは…かなり驚いて…
「潤…大丈夫だった…?」
俺は翔さんに抱きつくと…
「しばらく…抱きしめいていてくれる…?」
翔さんはその言葉に…
「いいよ…」
何も聞かず…ただ抱きしめてくれた…
俺は…翔さんの愛に守られてる…
そう感じた時…
「ねえ翔さん…お願いがあるんだけど…」
翔さんとなら…何でも乗り越える事が出来ると…思った…
「ん…?なに…?」
「俺と一緒に…『Smile』って曲…聞いてくれない?」
「『Smile』?」
翔さんは一瞬キョトンとしていたが…
すぐに真顔になると…
「それは、もしかして…Kyuryuの曲?」
「そうだよ…俺の事を曲にしたらしい…聞いてくれって言われたんだけど…一人で聞く勇気が無くて…」
翔さんは俺をギュッと抱きしめると…
「俺が傍にいるよ…一緒に聞こうか」
翔さんの言葉で聞く決心をした俺は…
スマホを操作して…“Smile″を探し出した…
つづく
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