母との時間が好きでした



ある日私は保育園で怪我をしました。
お迎えの時間ではないのに
母が迎えに来てくれたのです。

いつも保育園で最後まで迎えが来ない私は
本当に嬉しかったのです。


熱が出たときには
一緒に寝てくれて
夜中に外出しない母を見て
私は思ったのです。


“私が痛がれば、熱を出せば母は私を見てくれる”


痛くないのにわざと痛がる
わざと咳をする
わざと具合が悪いふりをする


“小さな嘘”

いつか大きくなる“嘘”の蕾を
芽吹かせてしまったのです。