先日、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観賞してきました
フレディは、45歳という若さでこの世を去りました
20年前、私は大学病院で看護師をしていました
ある日、私の病棟にSさんという20代前半の男性が入院してきました
Sさんは、入院生活のルールを守らず、自由気まま
他の病棟に潜り込んで騒ぎを起こしたり、入浴時間を守らず、他の患者さんに迷惑をかけたり…やりたい放題
その都度、注意をしても「これは俺のルールだ。どうして病院のルールを守らなきゃいけないの?」と全く納得できない理屈を並べ立てるのです
入院してすぐに『困った患者さん』というレッテルを貼られることになりました
そんな状況の中、検査は進み…
Sさんの病状について、説明する日がやってきました
カンファレンスルームには、Sさん、主治医、感染症専門医、そして私
主治医が話を切り出します
「検査の結果、あなたはHIVに感染しています」
その後、感染症専門医が現在の状態や今後の治療について説明
Sさんは…
「ふぅーん、やっぱりね。そうだと思ってた」
「だってさー、名前も知らないような、その日に初めて会ったヤツと遊んでたんだからさー」
主治医が「不特定多数…ということ?」と聞くと
「そうそう、不特定多数!ホント、数えらんねぇ」
「君と…遊んでた人に連絡取れないかな?検査を受けて欲しいんだけど」と主治医が言うと
「だーかーらー、名前も知らないヤツらなの!」
そして
「ま、自業自得だよね」とおどけた調子で言いました
その後も医師の話を茶化したり、妙にハイテンション
しかし
最後にSさんは言いました
「あのさ…母親には言わないでくれる?やっぱり…ショック受けると思うから」
母子家庭で育ったSさん
このような状況でも、母親のことを気遣っている…
これが、本当のSさんなのかも…
私は、Sさんの『自業自得』という言葉が、何となく引っ掛かっていました
病院を退職し、私は治験コーディネーターといって新薬開発の仕事をしていました
そこでもHIV感染に対する治験があり、何人かのHIV感染患者さんと接してきました
皆、過去の行動を悔やみ、自分を責め…
そんな中、必ず出て来るのが家族のことです
「親を悲しませた」
「家族に迷惑をかけた」
そして
皆、『自業自得』という言葉を口にします
人間は強くはありません
つらい現実から逃避したいときもある
不安を紛らわせたいときもある
満たされない何かを埋めたいときもある
それが生命を脅かすことになるなんて…
『自業自得』という言葉で片付けていいのか…
何だろう…この胸が締め付けられるような感じ…
言葉にならない切なさ…
映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、あの時の感情を思い出してしまいました
これは…あくまでも私見です