「西の方に行ってみようかな・・・」
そう呟きながら西の方へ歩き出した。



☆      ★      ☆


そこはシルバーアクセサリーショップだった。
なんだか大人っぽい雰囲気だ。
シンプルだけどお洒落にデザインされたリング達は光りを浴びて、輝いていた。
少々値段は高いが、学生にも買えるように【半額!】と書かれた値札もちらほら目に入る。
「ん~・・・どれも素敵だなぁ・・・」
友達の分はもう決まったが、せっかくだし自分の分も買おうと私は店内を歩いていた。
「ん?」
一つのリングが目に付く。
シルバーリングに王冠をモチーフにしたらしいマークが刻まれており、裏にイニシャルを彫ってもらえる工夫になっている。
「可愛いな・・・」
ちらり、値札を確認。
「やっぱり高い・・・」
買えない訳ではないのだが、お財布がすっからかんになってしまう。
(まあ仕方ないか)
また来ようと考え、外に出る為自動ドアに近付いた。
すると数歩早く、ドアが開いた。

「ん?サクラじゃないか。久しぶり」
「っ!」
そこに現れたのは、もう二度と会いたくない人物だった。
いつもの黒いファーコートを羽織り、手をポッケに突っ込んだ状態で店に入ってきた。
顔が整っているせいか、そこら辺いる男性よりは格好良く見える。
第一印象は誰もが【綺麗な男性】【カッコイイ人】と答えそうだ。
「こんな所で会うとは、偶然だねぇ」
「臨也・・・」

折原臨也。これが彼の名前だ。
新宿を根城に情報屋をやっていて、池袋でも有名人だ。
そして昨年のクリスマスに、私の彼氏だった―――平和島静雄の目の前でキスをした男。
臨也は、平和島静雄が最も嫌う人間だ。

「その調子だと、シズちゃんと仲直りしてないみたいだね」
「・・・関係無いでしょ。大体誰のせいでっ・・・!!」
「関係大ありだよ」
話を遮って臨也が喋る。
「なんでっ」
「だって好きな人が大嫌いな人間と一緒にいるなんて、考えたくも無い」
「なっ・・・?!」
(簡単に好きとか言うな!)
「その反応といい・・・可愛いねぇ、サクラは」
「う、五月蝿い!」
耳まで赤くなってるのが自分でもわかる。


――大嫌いなのに。


「さてと、さっさとクリプレ買って帰るか」
「え・・・?」
そう言って店内に歩み始める臨也。
思わず追い掛けてしまった。
――誰に、買うの?
(まさか、彼女とか・・・?)
そんなことを考えた自分に驚きつつ、臨也の隣に立つ。
見ていたのは女性物のシルバーリング。
鍵をモチーフにした物と、四つ葉をモチーフにした物だった。
「あの二人はこれで良いかな・・・」
「二人?」
「あれ?言ってなかったっけ。俺の妹達」
「・・・は、え?妹?!」
「そ、双子の妹。九瑠璃と舞流って知らない?」
そう言って、空中に漢字を書いてみせる。
「・・・また、凄い漢字で書くのね・・・」
「まったくだね」
ふう、と溜め息をしてみせる。
不覚にもドキッとした自分を殴りたい。
「い、臨也って名前もそうだけど」
なんとか気を紛らわそうと、そう言って私は同じ様に空中に漢字を書いてみせた。
「へぇ・・・」
ニヤリ、と笑う臨也。
「何?」
「大嫌いな奴の名前を漢字までしっかり覚えてるんだ?」
「!!」
――やっちゃった・・・!
「今の無し!忘れて!!」
「やーだよ♪」
ニヤニヤ笑いながら店内を歩く臨也。それを真っ赤な顔で追いかける私。
知らない人が見たら、仲がいい二人か、それ以上のに見えるのだろう。
その時の私にはわからなかった。
そんなやり取りをしていると、店内は一瞬にして真っ暗になった。
「えっ?」
「ん?」
【店内の電気が消えた】と理解するのに数秒。
さっきとは打って変わって何を見えなくなる。
シルバーアクセサリーの輝きも消えてしまった。
外は、明るい。
「停電?ブレーカーが落ちたのか・・・?」
そんなことを呟いていて歩きだす臨也。
それに気づいた私は―――




――ギュッ
「!?」
臨也に、抱き着いた。
「行か、ないで・・・!」
涙声で、私は臨也に言う。
「ああ、そうか。 暗い所が苦手なんだっけ?」
コクコクと首を縦に振る。
「いいよ。一緒に居てあげる」
(よかった・・・)
大嫌いな筈なのに、こうすると何故か落ち着くんだ。


少し経つと店内の照明が回復した。
お店の人達が【申し訳ありません】と頭を下げている。
すると店員さんに近づく臨也。
その横顔は、真っ黒な笑みだった。



☆      ★      ☆



「いやぁ、安く買えて良かったねぇ」
「・・・アンタ、本当に何したの」
電気が回復した後、臨也が店長に近づくと、焦りながら謝った。
そして『全部半額で結構です!』なんて言ったのだ。
臨也のプレゼントのラッピングも、少し他のと違って可愛い気がする。
――まあ、リボンは私が選んだやつなんだけど。
臨也に頼まれてリボンを選んだのだ。
九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんの写真を見せてもらい、二人に合いそうな色のリボンを選んだつもり。
(色の種類が少ないのが少し残念だなぁ・・・。あのお店)
なんてぼんやり考えていると、臨也が呟いた。
「もう辺り真っ暗だね」
「本当。イルミネーション綺麗だなぁ」
なんて感嘆していると、
「サクラ、はいこれ」
「ん? わっ」
手を取って臨也は私の掌に薄いピンクのリボンでラッピングされた袋を置いた。
「メリークリスマス。それと今日のお礼」
「いいの?」
「うん。それに今日は結構素直だったしね」
「五月蝿い!それに、私はいっつも素直です!」
「ははっ。じゃあ、またね」
「あっ、待って・・・」
言い終える前に臨也は手を振りながら人混みに消えていった。
「・・・・・・」
(何だか、変な感じ・・・)
さっき渡された袋を開けてみる。
「あっ・・・これ」
そこに入ってたのは、私が見ていたリングだった。
そこに、メッセージカードが添えられていた。

【MerryX'mas。ちゃんと薬指に付けてよね】

「臨也・・・」
何だか顔が熱くなる。
(もしかして、私・・・)
携帯を取り出し、メールを打つ。
カチカチと文章を打つ。
「・・・送信!」
【ピッ】と電子音と共に画面に【送信しました】という文字が表示される。
「よし・・・!」

そして薬指にリングを付ける。
まだ好きになった訳じゃない。・・・と思う。
少し自分の気持ちに気付いて素直になっただけ。
そういうことにしとこう。
それ意外認めない!



☆      ★      ☆


マナーモードの携帯がポケットで振動した。
すぐに携帯を取り出し、確認する。
「サクラからメール?」
メールを開いて文章を読む。
【リングありがとう。素直に付けといてあげる】
「上から目線、か。サクラらしいなぁ」
【少しだけ自分の気持ちに気付いたみたい。臨也なんか大嫌いだけど大好きなんだから!】
「矛盾してるし。・・・まあいっか」
すぐに返事を打つ。
送信ボタンを押して、俺はまた池袋を歩き出す。
少し顔が熱いのは、気のせいに違いない。



【ねえサクラ、知ってる?】
【嫌よ嫌よも好きのうちって言葉】
【まさにサクラにピッタリの言葉だよね!】











微妙な終わり方www
少し(かなり)編集しながら読んでて笑いそうになりました←
サクラが・・・キャラ崩壊してる(笑)
西は臨也たんルートでした★
ここまでありがとうございました(’-’*)