奈良は私が学生のときとそう大きく景観を変えない

開発から取り残されたと、人は言うかもしれないけれど、そこが奈良の良さだと私は思っている


そんななかで、私の思い出の奈良と大きく景色を変えたのが近鉄奈良から東大寺へ向かう大通り、奈良国立博物館の向かいに並ぶ家々だ


そこにはかつて「日吉館」と言う名物的旅館があった

その日吉館の女主人「おばちゃん」と日吉館にまつわる人々のエピソードを書いた

「奈良の宿日吉館」という本を読んでいる

本自体、出版されたのが昭和55年という古さ。

図書館で一冊だけ蔵書があったのを借りた




この本を読んでいたら、自分はまだまだ奈良オタクなんて言うにはおこがましい。ひよっこみたいなものだと思い知らされた


奈良を愛し、研究心旺盛な人々が愛してやまなかった日吉館。

私も日吉館の営業の最後のほうに数回利用した

なんと言っても、学生にとって一泊千円で泊まらせてくれるのはとてつもなくありがたかった

たとえ建物がボロボロ、トイレは汲み取り、もちろんエアコンなど無い建物であっても。


日吉館の入り口から入るとすぐの部屋にちょこんと座っていたおばちゃんこと田村キヨノさん。

その半生を読んで、私は何も知らなかった、と激しく後悔するし、自分の無知を今更恥じる。


今は日吉館も、その2軒くらい隣にあった酒屋も無い

その少し先にあった「下下味亭」は、今はその当時とは全く違うおしゃれなカフェになっている

ちなみに、元の下下味亭の店主夫妻も日吉館縁の方だったという


おばちゃんは、自分が死んでこの日吉館が無くなってしまうことを恐れていたと言う

それが現実になっていることを思うと悲しくなる



五條で一ツ橋商餅の店がちゃんと残されて利用されているのを見たとき、日吉館もそうして欲しかった、と強く思った


かつて日吉館に泊まったとき、みんなでスキヤキを作って食べ、残ったご飯でおにぎりを作った。


そのあと友人から、私が握ったおにぎりを

「おばちゃんがこのおにぎりは美味しい、って言ってたよ」

と言われたことを思い出し、あれだけの人にそう言ってもらえたんだ、と今になって喜びが湧き上がってきたのでした



日吉館があったあたり


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