80歳のお爺さんといえば、60年以上前の太平洋戦争で
兵隊として戦地へ送られ、命をかけて戦った世代。
もう60年以上も前の戦争で、日本はアメリカに負けた。
しかし戦争は、どちらにも深い傷を残し
無事に生き残ったお爺さんたちは、
今もその暗く生々しい過去を抱えて生きているのだ。
そんな日本とアメリカのお爺さんが、
野球で再びあいまみえるというから驚いた。
こないだ深夜のNHKでやってたんだよ。
太平洋戦争で出兵したいたお爺さんたちが
アメリカで野球ボールチームをつくっていて
「ぜひ日本人と勝負をしたい!」ということで
日本でも戦争経験者のお爺さんを募集し
野球チームを結成することになったのだ。
集まったお爺さんたちは80歳前後。
アメリカとの戦争で多くの仲間を失っているんだけど
「面白そうじゃないか!」とやる気まんまん。
今もアメリカを憎んでいる人も
「アメリカに勝ちたい!」と意気込んでやってきた。
日本チームの名は“オーバーザレインボウ”。
でも本当はみんな不安で、敵として殺し合いをした
アメリカチームとの出会いに戸惑っちゃうんだ。
激しい戦地で、命からがら生き残った人
命をかけて特攻隊に志願した人
戦闘機乗りだった人
もう会うこともないと思ってた過去の敵と野球なんて!!
対決の場は、太平洋戦争が始まったハワイ。
日本とアメリカのお爺さんがご対面するんだけど
積極的に話かける人もいれば
心を開くことができず、近づかない人も。
まさに同じ戦地で戦っていた者同士が
その時の話を語り合うんだ。
ごめんとか、すまないという言葉をいいかけるのではなく
敵だと思っていた相手は自分と同じ人間で
同じく戦争に対して悲しみを持っていたと感動するのだ。
今では外国人は見慣れたもんだし
自分たちは同じ人間ということも知っている。
でもお爺さんたちは、敵を絶対的な悪として
叩き込まれた青春時代を送っているから
そんなことはないと思ってはいても
戦争が終わった後もハッキリと理解できなかったんだとか。
そして野球の試合がはじまり
平均80歳のお爺さんたちが対決。
ヒョロヒョロの球を投げ
それをボコっと打っては
ヨタヨタと走る姿が面白い。
倒れるんじゃなかとヒヤヒヤするけど
なかなか元気な姿で笑顔が絶えず
お互いを励ましあう、良い試合だった。
日本は負けてしまったけど
試合後の両チームのお爺さんたちが
喜びをわかちあい、始めの頃より
ぐっとお互いの仲が近くなり
まるで友達のように肩を組み合って語りあうんだ。
ずっと心を開けなかったお爺さんも
笑顔をみせ、アメリカのお爺さんと笑ったり
涙を流し抱きしめあうお爺さんなどなど
試合後に、弔いの礼を慰霊碑に捧げている時
空にくっきりと見える大きな虹が印象的だった。
涙が出た。お爺さんたちも泣いていた。
それぞれ家に帰り、今回の試合のことを
「良かった」「楽しかった」「話ができてよかった」
「戦争のことは忘れられないけれど、私たちは許し合える」と語った。
英語の勉強を始めた人やアメリカの友と文通をする人
中には「なにもかも最高だった」と語り
家に着き、リビングのイスに腰をかけたまま
眠るように息をひきとった人も。
今回の親善試合を急遽キャンセルした人に
チームメイが「おまえも行くべきだったよ。本当によかったんだから」と言った。
「いや、頭では十分わかっているんだよ。
しかしオレはたくさんの友と部下をあの戦争で亡くした。
どうしても行けなかったんだ。…行けなかったんだよ。」
戦争でなくした友人たちの慰霊碑に挨拶をしたお爺さんは、
天国にいるみんなは怒っているんじゃないかなと語っていた。
でもとても楽しかったと伝えた。
そのままじっと海を眺めるお爺さんが
急に涙を流し出した。
仲間の声が聞こえたと言った。
その時、曇り空のすき間から太陽の光が射し
海を金色に染めていた。
NHK プレミアム10、 「80歳・決着に挑む ~元兵士たちの日米野球」