この映画は1973年のスペイン作品ですが、日本の配給は1985年でした。
僕が映画にどっぷりハマりだした頃、TVで映画評論家がこぞって大絶賛していたのを記憶しています。
でも、当時の僕はSFXやアクション映画ばかり見ていたので全然興味が沸かず、見る気すらなれませんでした。
歳を取ったせいか、フランス映画や昔の秀作映画などを多く見るようになったので、もう理解できるかな?
と思い切って借りてみました。
結局・・・全然理解できませんでした(;^ω^)
しかし、とても印象に残る作品です。
監督はビクトル・エリセ
この方、日本で言うと大島渚さんのように、10年に1本しか作品を作らないという方で
2作目のこの作品で映画史に残る名作を撮ったと絶賛されています。
ちなみに「未来のミライ」の細田守監督や宮崎駿監督もこの映画が好きだそうで
「となりのトトロ」の参考にもなったといわれているようです。←ほんとかな?
一緒なのは姉妹という設定と、妹が迷子になるってところだけの気がしますがww
広々とした美しい平原
蜂の巣のような窓ガラスに灯るあかり
まっすぐな線路
どこを切っても美しく、監督のこだわりを感じます。
主演はアナ・トレント。
主役のアナ(アナ・トレント)がと~~っても可愛いです。
ちなみに「ストレンジャー・イン・パラダイス」のジムジャームッシュ監督が
「アナ・トレントが大きくなったら結婚したい」
と言ったのは有名な話らしいですw
現在のアナちゃんはこちら
現在52歳・・・年上でした('Д';)失礼しました
この映画では小さいのにピアスなんかしてますが、純粋無垢な少女で、この映画の中で唯一
大人になることを拒否しています。
脱走兵にリンゴを差し出すシーンがとても好きです。
姉のエルサ・・・いやそれはアナ雪でしたw
姉のイサベル(イサベル・テリェリア)は大人の世界に憧れる女の子。
猫に指を引っかかれ、血で口紅を塗るシーンはちょっとドキッとします
この子も可愛い
んで、肝心の物語ですが、
先ほど書いたとおり、初見では
意味不~~ですwww
なぜ、分からないのか?
それは、ジュンちゃんがアホだから
正解!
それもありますが、それは、分からないように作ったからみたいです。
この映画が作られた当時のスペインの時代背景に大きく関係しているからです。
フランコの独裁政治が終了する数年前に作られたこの作品には
国政を揶揄する比喩的な表現が隠されています。
養蜂場を経営する父(無意味に働く働き蜂)・・・政権に屈した国民
連絡が取れなくなった愛人を想う妻・・・過去の郷愁に浸り、物事を諦めた国民
大勢で戯れる事が好きな姉・・・権力に迎合していく国民
この監督は政治批判を映画で表現したかったが、当時は検閲などでそれが許されなかった・・・
と言われています。
しかし
確かに政治批判もあったでしょうが
この映画はそこに重きを置いてみる映画では無いと思います。
小さな頃に感じた
喜び、悲しみ、恐怖・・・
この映画は、そんな感情を鮮明に思い出させてくれる作品です。
難解でセリフも少なく退屈な映画なので、大々的におすすめもできないですが
僕は何度見てもいい映画だと思います。
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