大災害が起きると、周辺の建築士に白羽の矢が立つ。
建築士が任意で資格を取得する「応急危険度判定士」がそれだ。
主な業務は、被災地の建物が安全かどうかを判定すること。
僕も数年前に、この「応急危険度判定士」の資格を取得した。
正確には、強制的に取らされたというのが正しいかもしれない。
こんな時期に言うのは不謹慎だが・・・
災害時に、ボランティアとして被災地に呼び出されるからだ。
日々の業務が忙しい中、お金も出ないのに、率先して被災地で働きたいという人はあまり多くないと思う。
とは言っても、時間とお金に余裕があれば、被災者に協力をしたいという気持ちはある。
しかし、応急危険度判定士の業務はそういう直接的な人助けのボランティアではない。
事務的に建物の危険性を判定するだけの地味な仕事だ。
よそ様の家を勝手に判定し、外壁に張り紙をする。
場合によっては住民に「何勝手に張ってるんだ!」怒られる場合もある。
こういうものを張ります

そんな中、先日僕にも県から要請があった。
連休中の要請だ。
みんな頑張ってるんだし、ちょっと怖いけど、これも良い経験だ。
開き直って、僕はボランティアに行くことにした。
家に帰り、妻に出張することを伝えた。
妻は僕以上に心配した。
しかし
要請があってから数日経った今日
県から連絡があった
「応急危険度判定士の要請は九州の建築士のみとし、山口県への要請は中止します」
僕としては行く気になっていたので、残念だった。
しかし、妻に報告すると、「祈りが通じた」と、とても喜んだ。
数日前にはケンカをして、僕に「死ね!」と言ってた息子も、涙を浮かべ中止になった事を喜んだ。
とても複雑な心境だ。
何か協力できないものか・・・
日を追うごとに、ボランティアに行きたい気持ちが大きくなってゆく。