息子の悲願 | ジュンちゃんのひとりごと

ジュンちゃんのひとりごと

その日の気になったもの・出来事なんかを書いていきます

中学生になった息子が
初めて自分の意志で入りたいと言った野球部

運動神経が良い訳では無いが
小さな頃からキャッチボールやバッティングセンターに行って遊んでやっていたので
父親としては、そんな野球に夢中になってくれた事が嬉しかった。

といっても、一昔前は花形スポーツだった野球は、今では道具も高く、親が付き合う事の多い野球部は親達も敬遠し、少子化の現在では、なかなか選手が集まらない。

幸いな事なのか・・・
息子が通う学校の野球部員はギリギリ9名だったので、即レギュラーとなった。

しかし、3年生が3人、2年生が1人、1年生が5人で、1年生の4人は野球未経験というチーム。しかも監督は野球経験のない若い先生。
これでは勝てる訳もなく、毎回コールド負け

負けず嫌いの息子は、毎回ひとり涙していた。
僕はその姿を見て、どうにかして勝たせてやりたいと、選手の投球やバッティングフォームをビデオで撮影し研究したり、スコアブックの付け方を勉強したり、自分なりに協力していたが、やはり、一保護者として出来る事は微力で、なかなか結果につながらなかった。

そんな中
3年生が先日の大会を最後に引退し、野球部員が不足となったため、急遽、選手の数が4人の中学校と合同チームを結成する事になった。
そのチームの生徒は全員野球経験者で、合同する学校の生徒は4人。
つまり、必然的に、うちの学校の1名が補欠となる。
誰が補欠になるかが心配の的になった。


そして合併後の初試合はこの土曜日に行われた。

またしてもコールド負けだった。

いつもなら負けても何の反省もなく帰るところ
負けることに慣れてきた息子達だったが
合併した学校の選手はそうではなかった。
しっかりと反省点を検証し、次の試合で何に気をつけるべきかを議論した。
怒られながらも、行く先を教えて貰ったことで
息子達の目に、希望の光が差し込み、やる気の顔になってきた。

息子は帰ると、自分達に足りない物を僕に聞いてきた。
少しだけ野球をかじった事のある程度の僕としては

もっと声を出せ、気持ちで負けるな

とたいしたことは言えなかったが、息子は真剣に聞いていた。



そしてこの日曜日の3位決定戦(4チーム中)
対戦相手は先日コールド負けを期したチーム
毎回コールド負けだというのに
応援の数は内容と反比例して多くなっていた


試合が始まると




いつものポジションに息子は居なかった




スタメン落ちした息子がグランドに出た時に、一瞬目が合ったが
息子は無理をして笑っているようにも見えた


灼熱のグランドで練習し、練習が終わった後にも関わらず、納得がいかず、僕にバッティング練習の協力をして欲しい、と言ってきた息子
誰よりもこのチームの勝利を願って居た息子は
今、どんな心境で試合を見て居るんだろう・・・


息子より下手な子は居るのに・・・
チームを応援してきた筈の気持ちが揺らぎ
複雑な心境だった


しかし
そこには、賢明に手伝いをし、大きな声を出してチームを鼓舞する息子の姿があった


自分が出られない事など小さな事だと言わんばかりに


僕は、その姿を見て、自分の器の小ささを息子から学んだ


試合は予想外に緊迫した展開となった


4回を過ぎた頃、妻から電話が入った
「勝ってる?息子は頑張ってる?」
息子がスタメン落ちになった事を聞いたら、どう思うだろう・・・
僕は言葉に詰まり
「いま試合中・・・・後で話すから・・・」
と電話を切った。


妻に言うべきか、言わないべきか・・・

言い訳を必死で考えていると


補欠だった息子がいつものポジションに着いた


よしっ!


息子の代わりにベンチ入りする子の親に気付かれないように小さく拳を握る

息子はファーストに着くと今までのうっぷんを晴らすかのように
応援席まで聞こえるほど大きな声を出してチームを盛り上げていた。
たった1日で、こんなに変われるのか?というくらいチームも一体となり、声を出し、お互いを励ました。

息子の打順になると、僕が言ったとおり1球目を見送った
手が出なかっただけかも知れない・・・
しかし、自分を見失い、ひどいボール球が来ても辺り構わず振っていたあの姿はなかった
最終的にファーボールになったが、確実に成長している感じがした。

そして、0対0のまま最終回を迎えた。
味方の打者が打ちそこなったボールが地面に当たりポーンと高く跳ね上がり、サードランナーがホームに帰り、悲願の1点が入った

応援席は沸きに沸いた

次の回を守りきれば初勝利

息子も緊張しているだろうが、大きな声を出して自分とチームを鼓舞した
緊張の中、フライ、サードゴロと打ち取り
最後のバッターの打ったボールがショートのグラブに吸い込まれていった。


アウト!試合終了!

選手達も応援席も優勝したかのように飛び上がった。

嬉しくて涙が出た
隣を見ると、大勢の親たちが僕と同じように泣いていた。

戦っていたのは選手だけじゃない気がした。

みんなでつかんだ勝利だった。


スタメン落ちしはたけれど
最後まで前向きに頑張った息子

感動をありがとう

これからも頑張れ!

父ちゃんはずっとおまえの応援団だ!

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